宮崎駿『風立ちぬ』の演出について

やっとまとめることが出来ました。正直、まとめるつもりも無かったので、断片的な呟きばかりで読みにくいですが…宜しくお願いします。
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武田真悟 @shingo0627

しかも前述(小津安二郎の構図)しましたが、菜穂子と二郎はふたり並んでこの虹を見るんです。「美しいもの」をふたりが並んで見る…この映画中、唯一の描写がここです。二人が並んで虹を見るシーンです。 そして、この後の菜穂子の台詞です。 「生きているって素敵ですね」 と呟きます。

2014-10-01 02:51:29
武田真悟 @shingo0627

映画を全て見て、この結末を暗示させるようなセリフにドキッとしないわけがありません。いきなり何言うんだよ…と。 でも、菜穂子はそう呟く。 そして、その菜穂子の台詞を聞いて、やっと能動的に、二郎は菜穂子の方を「見る」んです。僕はこの瞬間、二郎は菜穂子に恋したと確信しております。

2014-10-01 02:55:33
武田真悟 @shingo0627

以上が二人が恋に落ちた瞬間はどこかの僕の回答です。。皆さんはいかがでしょうか。。 よくよく考えるとやはり凄い演出がたくさん施されていると思います。僕は、まだまだこの映画について語りたいことがたくさんあるんですけど、一旦はおしまいにします。端折った分はいつか書けたらなぁと。

2014-10-01 02:59:05
武田真悟 @shingo0627

何故、こんなに『風立ちぬ』に執着しているのか分からないし、囚われすぎだと思うんだけど、それでもそれについて話したいと思うのは、宮崎駿について語っている書物では、その演出の素晴らしさがちゃんと指摘されてないからだと思います。宮崎駿ってもっと凄いんです。

2014-10-02 10:06:26
武田真悟 @shingo0627

あ、でも、宮崎駿という作家に関して最も決定的な言及がされているのは、ユリイカに収録されている高橋洋さん塩田明彦さん新谷尚之さんの鼎談なので、是非とも読んでみてください。くっそ面白いですよ。

2014-10-02 10:36:59

端折ってしまった箇所について詳しく述べていきます。

武田真悟 @shingo0627

さてと…話はどこからでしたっけ?もちろん『風立ちぬ』の話ですけど。 あれですよね、まだ言及されてない演出、もしくは見落とされている描写があるんじゃない?っていう話でしたよね…

2014-10-02 20:36:56
武田真悟 @shingo0627

例えば、二郎にとっての「美しいもの」が最も美しくなる瞬間ってどこですか?って言ったらやっぱりクライマックスの戦闘機の飛行成功シーンですよね。ここについて言及している批評というのは、菜穂子が起こした(かのような)風が吹いたことで飛行機は最速を記録する…という読みが多いですよね。

2014-10-02 20:45:01
武田真悟 @shingo0627

それも素晴らしい指摘なんですけど、なんかちょっと腑に落ちないなぁと思っていて…だって、そんな愛する人の最期の力(?)まで使って達成した、大好きな飛行機の最も美しい瞬間ならば、二郎は目を逸らせないと思うんですよ。それくらいの美への執念があるじゃないですか。そう思いません?

2014-10-02 21:03:12
武田真悟 @shingo0627

でも、二郎はよりによってこの時に菜穂子の方=山を見るんです。自分が一番好きなものから目を逸らして… 何で山の方(菜穂子の方)を見たんでしょうか。そこにはまた違う何かがあるんじゃないでしょうか。それについて今日は書きます。

2014-10-02 21:03:41

何故、二郎は山の方を見たのか?

武田真悟 @shingo0627

映画を観るのに大事なのは、普通はこう描かないとか、なんか変だなぁという感覚だったりするんです。 戦闘機がスゲー速くてかっこ良く飛ぶって描写を映画でどう描写します?想像してみて欲しいんですけど…ギュイィィーンって横に飛びませんか?ま、横に飛ぶものだから当たり前なんだけどさ。。

2014-10-02 21:15:02
武田真悟 @shingo0627

菜穂子が山へ帰っていく列車内のショットがカットアウトして、飛行機のシーンに切り替わる時、二郎の飛行機ってどう飛んでますか? 縦に飛んでますよね(笑) これって変だなぁと思いませんでしたか?僕は思ったんですけどね…。

2014-10-02 21:15:51
武田真悟 @shingo0627

一番好きな飛行機が一番美しく飛ぶ瞬間ですよ。ビュイィィーンって横に飛ばすじゃないですか、普通。物凄いスピードでカッコ良く…なのに縦に飛ぶって(笑) でも、ここは縦に飛んでるからこそ、こんなに素晴らしく、そして泣けるシーンになってるんです。宮崎駿の演出の凄さです。続けます。

2014-10-02 21:21:58
武田真悟 @shingo0627

この縦に飛んでる戦闘機、何かに似てると思いませんか。 …あの、紙ヒコーキに見えませんか? 二郎はこの縦の飛行に、菜穂子と一緒に遊んだ、あの紙ヒコーキの姿を重ねてるんじゃないですかね?と言うか、そうとしか思えないんですけど、どうでしょうか。

2014-10-02 21:31:24
武田真悟 @shingo0627

だから、菜穂子のことを思い出すんじゃないでしょうか。菜穂子と過ごした幸せな時間を。それまでの二郎ではありえなかった変化です。好きなことをしている最中に菜穂子のことを思い出すなんて。そして飛行機から目を逸らして、菜穂子の方(山)を見る…でも、もう菜穂子はいないんですよね。

2014-10-02 21:34:54
武田真悟 @shingo0627

宮崎駿の描く男女のメロドラマは縦の動きで表現されることが多いのはよく知られたことだと思いますが、ここでは二郎の夢である飛行機と菜穂子との恋愛という、同時に叶うことのない相反する二つの要素が、縦の動きという描写一つで繋げられ、同時に表現された素晴らしいシーンだと思うんです。

2014-10-02 21:36:13
武田真悟 @shingo0627

この二郎の「見る」という主題が最終的にどうなっていくのかはまた呟きます。 他にも「風」についてや「瞳の光」「菜穂子との出会いにおけるカメラアングル」とか…もちろん「美しさ」についてもいつか話していきます…いや、話せるか分かりませんが。たまに話していきたいと思ってますので。。

2014-10-02 21:36:33

二郎は「最初から菜穂子のことが好き」というわけでは無かった?

武田真悟 @shingo0627

『風立ちぬ』について其の幾つか目。

2014-10-12 17:00:39
武田真悟 @shingo0627

『風立ちぬ』を観ていて、一番「えっ!?」って思う瞬間って二郎の学校に計算尺とシャツが届けられた時じゃないでしょうか。学校を駆け出した二郎が見る幻影は菜穂子ではなく「お絹」だった…この場面じゃないでしょうか? え、何で?って誰しも思いますもんね。

2014-10-12 17:02:04
武田真悟 @shingo0627

で、そういえば…って考えてみると、震災の時に二郎はシャツに含ませた水をお絹には口に含ませてあげたのに、菜穂子には「君は自分でやれよ」とばかりに手渡すだけでしたよね。お絹は怪我してるからかなって思うけど、お絹の怪我は足ですし、手は自由に使えるんじゃ…(笑)

2014-10-12 17:03:50
武田真悟 @shingo0627

色々考えると、二郎って最初っから菜穂子のこと好きだったわけじゃないのかな?っていう話に行き着きます。それについては岡田斗司夫さんの解説に詳しいのでそちらを確認していただきたいですyoutube.com/watch?v=Hrecsu…

2014-10-12 17:05:06
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武田真悟 @shingo0627

で、前置きが長くなりましたが今日はその先の話です。内容論的に二郎が菜穂子のことを最初から好きではなかったということを読み取ったとして、じゃあ、なぜ宮崎駿はそんな演出したの?っていう話です。二郎と菜穂子の恋愛物語として考えた時にノイズになってしまうのでは…?何故なんでしょうか?

2014-10-12 17:06:36

宮崎駿は何故、二郎は菜穂子のことを最初から好きだったわけじゃないという演出を施したのか…?