噴石って何か、ちゃんと知ってる?

噴石は気象庁用語です。気象庁発表を伝える新聞やテレビではよく目に耳にしますが、火山学の専門論文ではいっさい見ない言葉です。みなさんは、気象庁が使う噴石の意味をちゃんと理解していますか?
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月野うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase

きょうの報ステサンデー見たけど「噴石」の飛ぶ範囲を完全に誤解してる。ハザードマップにもとづくこの図は「大きな噴石」つまり火山弾に対するものであり、想定火口から4kmの範囲を描いたもの。山頂から20kmを描いたものではない。 pic.twitter.com/E4fZx4Qyqp

2014-10-19 18:35:57
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月野うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase

想定火口は山頂だけでなく、山頂から北西-南東に伸びる山腹もふくむから、そこから4kmを描けばこのような図になる。

2014-10-19 18:37:08
月野うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase

いっぽう20kmというのは「小さな噴石」つまり火山れきが風に舞って風下に降る範囲であり、それはハザードマップには描かれていない。

2014-10-19 18:38:23
月野うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase

これはテレ朝だけではく、たぶんほとんどのマスコミが誤解してると思う。あたまいたい。気象庁が「噴石」という用語にこだわりすぎた結果だと思う。

2014-10-19 18:40:28
月野うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase

「小さな噴石」つまり風下に降る火山れきの範囲の例は「富士山火山広域避難計画」の32頁の図を参照してほしい。噴火時の風向と風力によって範囲は変化する。pref.shizuoka.jp/bousai/e-quake… pic.twitter.com/ECSRI2BRVi

2014-10-19 18:47:34
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月野うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase

「20km」というのは、この下図に描かれた粒径5cmの「小さな噴石」の到達範囲の例から来ている数字。

2014-10-19 18:51:40
こびわ⚒ @kobiwa_net

確かに火山弾というと熔岩の破片が空中で固まった物というイメージがあるけど、その定義を外してしまうのは面白い取り組みかも。「弾」というと危険なイメージがあるし、「石」といえば「弾ほどじゃないけど気をつけないと」のイメージがある。 togetter.com/li/733990

2014-10-19 18:51:44
月野うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase

「噴石」の用語の問題点と、「大きな噴石」をすべて「火山弾」と呼ぼうという提案は、すでに2005年の論文に書いた。sakuya.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_…

2014-10-19 18:53:51
月野うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase

「火口から飛来する大きい岩の意味として,市民が使用している言葉は「火山弾」であろう.行政担当者や市民は「噴石」よりも「火山弾」に対して,その現象に相応した恐怖感を覚えているように見える(Fig. 2)」sakuya.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_…

2014-10-19 18:55:45
月野うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase

「したがって,火口から飛来する大岩の危険性を市民に対してもっとも適切に伝える防災用語として,火山弾がふさわしいと考える.一方,学術上は,高温であった証拠を示す特定の形状をもった火山岩塊に対して,火山弾の語が定義されている(久野,1976).しかし、

2014-10-19 18:56:07
月野うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase

続)これは専門家側の特殊な用語法とみるべきである.防災上は,高温であろうが低温であろうが,落ちてくる岩の危険性に変わりはないし,いまや学術上も熱履歴の推定法が形状以外にないわけではない」

2014-10-19 18:57:04
月野うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase

続)よって,従来の火山弾の定義,および意味が複数あって混乱している噴石の語を廃し,噴石に代わる火山防災用語として,火山弾を採用すべきと考える.sakuya.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_…

2014-10-19 18:57:41
月野うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase

この2005年の論文の後、気象庁は火山弾を「大きな噴石」、火山れきを「小さな噴石」と呼び分けるようになって混乱の収拾につとめたが、どうやら徒労に終わったようだ。

2014-10-19 19:00:09
月野うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase

今たぶん多くのマスコミや住民は「富士山の山頂火口から20kmの範囲に火山弾が落ちてくる」という恐ろしい勘違いをしてる。

2014-10-19 19:03:39
月野うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase

火山弾は火口から4kmしか飛ばないという経験則がある。ハザードマップの「大きな噴石」の範囲はそれにもとづいて描かれている。

2014-10-19 19:05:27

火山れきと火山弾をしっかり区別しよう

早川由紀夫 @HayakawaYukio

火山れき(小さな噴石)の写真。比較のために。2004年9月1日の浅間山爆発で、火口から5.5km地点に降った火山れき。 pic.twitter.com/sdxQRzBFkr

2014-10-19 21:27:12
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早川由紀夫 @HayakawaYukio

同じ爆発で1.7キロ地点にできた衝突クレーター。インパクターである火山弾(大きな噴石)が、地面に衝突してジャンプしたがクレーター内に留まっている。 pic.twitter.com/5tBw4p6Zga

2014-10-19 21:33:18
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早川由紀夫 @HayakawaYukio

噴石結論。気象庁が、桜島で長く使っていた用語法 ・大きな噴石 → 噴石 ・小さな噴石 → 火山れき に戻すまでは、あいまい用語である噴石の語を排除して、 ・大きな噴石 → 火山弾 ・小さな噴石 → 火山れき と情報伝達せざるを得ない。

2014-10-21 07:40:04
早川由紀夫 @HayakawaYukio

「噴石」の前に、つねに「大きな」あるいは「小さな」をつけて発話することは、できない。しかし、つけない限り、この語の正確な情報伝達はできない。ならば、その語を自分のボキャブラリーから排除するしかない。

2014-10-21 07:41:56
早川由紀夫 @HayakawaYukio

まとめ。気象庁が言う噴石は、火山弾と火山れきを含む。火山れきはヘルメットやシェルターで避けることができるが、火山弾はヘルメットで避けることができない。大きな火山弾はシェルターも押しつぶす。

2014-10-21 07:48:27
はぎわら ふぐ @hugujo

皆の衆!気象庁の噴火警報・予報に出てくる「大きい噴石」「小さい噴石」っていう言葉、ついついそのままサラリと聞き流しちゃうけれど、中身はこんなわけで生きるか死ぬかの違いでっす。 pic.twitter.com/hSzHulGwI5

2014-10-21 14:07:49
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踏み越えがいま必要

はぎわら ふぐ @hugujo

@HayakawaYukio 先生、既にある用語「火山弾」と違ってしまうのは本当に良いのですか?(ワタシは厳密な定義を本当に知らなかった)

2014-10-21 14:56:20