2014年10月19日

【あわてない散歩】福間健二 #2factory73

ケンカ別れしたまま会っていない人。そういう人のひとりが突然夢に出てきた。その夢を思いながらブラブラ歩いていくつもりだった。あわてるな、と自分に言い聞かせながら。しかし、そうはのんびりしていられなかった。書いているあいだに台風も来たし、脚本を書いて主演した若松孝二監督の『現代性犯罪暗黒編 ある通り魔の告白』69を45年ぶりに見るという事件もおこった。10の「殺していた」は、その映画のなかでぼくがやっていたことである。 音楽は、1969年のヒット曲からゾンビーズの「二人のシーズン」。ふしぎな映像が付いています。 https://www.youtube.com/watch?v=7JM2ghmhGk0
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福間健二 @acasaazul

秋の廊下には何がこぼれているか。何がこぼれていたら、少年的な記号であるモップとバケツは試練の物語を抜けだすのか。それは、液体でも粉状のものでもない。ケンカ別れした心と心のあいだの、どっちの心よりも先に動く影を鮮明にする光だといま思った。(あわてない散歩1)#2factory73

2014-10-10 08:38:52
福間健二 @acasaazul

その光のなかで愛撫される部品たち。人の世が収縮して、ひそかに内蔵された牛が暴れている。見つめあうきみたちの、お腹が痛いのはそのためだ。熱も出る。牛が静まって通過しても、見えていない部品がまだたくさんあってその配置はたえず変わっているのだ。(あわてない散歩2)#2factory73

2014-10-11 08:52:20
福間健二 @acasaazul

閉じ込められている。そうでないとしたら、自分で自分を閉じ込めている。牛たちの見ている画面のなかに。それに気づかせてくれるのも光だ。ゲートがあく。突きだされた脚からの、誘惑授業。資本主義の何にどう抗していったらいいのか。その復習はここまで。(あわてない散歩3)#2factory73

2014-10-12 09:23:38
福間健二 @acasaazul

死んだ男を引きずってこの岸辺まで歩いた。しゃがみこんで見つめあった。ほとんど額と額をくっつけるようにして。聞こえない声を聞いた。わかった。どっちがどっちの部品なのか。人の世を拒んで生きる場所。その風のなかに立った。月曜日。今週の目標は?(あわてない散歩4)#2factory73

2014-10-13 11:38:18
福間健二 @acasaazul

まず、あいさつと整理整頓だ。彼がぼくの死となり、ぼくが彼の死となるように。抱きしめている悲しみを未決の境界にしみとおる液体にして。こんにちは。いちばん動かないお客様。泣くのも笑うのもしかたないけど、この傷口に勝手にキスしないでください。(あわてない散歩5)#2factory73

2014-10-14 09:44:04
福間健二 @acasaazul

蝶とそれを追う視線が階段の上の海を渡った。二度とありえない夏、でも終わっているその輪郭を、帰る場所のないネジたちに食わせる。雨を吸って眠ったふりする装置との交感で動線が変化するだけの、なにひとつ生産しない日。そんな日。身分証明書いるのか?(あわてない散歩6)#2factory73

2014-10-15 10:57:38
福間健二 @acasaazul

踏み込んだと感じた道。犯したと感じた罪。突きぬけなくてはならないと感じた闇。そこから光のなかに歩いてきた。秋、空を映している部品たち。つらいことだ。人の世の、鈍感さと効果。理由のはっきりしない太鼓の音。なぜ牛と闘う。なぜ牛を闘わせるのか。(あわてない散歩7)#2factory73

2014-10-16 09:00:15
福間健二 @acasaazul

笑い声がした。一種のラヴソング、嘘のつきあいを正当化する歌もきこえた。だれかがじっと立って検査されている。ネジ、ネジ、ネジ、何本抜けたら気がすむんだ。疲れと疑いのまじった人間の目をして、この頭もこの心臓もひとつしかないというわけじゃない。(あわてない散歩8)#2factory73

2014-10-17 11:55:18
福間健二 @acasaazul

整理がまだ終わっていない。低気圧の、スーパーマーケットの、頭痛の、自転車置場まで来ていた牛たちの。解体と演技の、実はだまされたい秋の印象批評。本当の人生の楽しみなんてどこにもなくてイワシの缶詰買いすぎた。みなさん、これがきょうの内容だ。(あわてない散歩9)#2factory73

2014-10-18 11:03:29
福間健二 @acasaazul

あわてない散歩。部品と部品。点と点の交感関係。つまり人の世の、きょうの映像に参加して光の恵みを受けるのは彼だ。気がつくと生まれている雲の下、疲れない影と歩いている。ぼくはだめである。この息子はだめである。六人かな、七人かな。殺していた。(あわてない散歩10)#2factory73

2014-10-19 09:58:48

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