魔の階 最終対話 『豪奢なる広間の場』

左右と中央、三本の上り階段から繋がる場。ありとあらゆる贅を尽くされた調度の並ぶ広間に、動くものはただ三人。
0
前へ 1 ・・ 5 6
《狼》ウィス @StairwayWis

「俺はもう言っただろ?」《蛇》を見返す。『烙印』が認めた事の意味を言いはしない。《蛇》も《蝙蝠》もそれを得てここに来たはずだ。「ただ、そうだな」脇に置いておいたグラスを拾い上げる。 「ディアのこれに当てられたみたいだな。俺ももう一つ欲が出た」揺れる深紅の澱を眺める。

2014-10-20 13:59:58
《狼》ウィス @StairwayWis

目を移す。赤を見る。やはり顔は笑ったままだと自分ですら分かる。 「俺のできない事をしろよ。じゃなきゃ俺が『魔王』にならなかった意味が無い」出来るだろうと確信をもって。 「お前を『魔王』にしてやる」

2014-10-20 14:06:02
《蝙蝠》音成カイ @teudev

シグナルレッドは視線の先で行き交う色を見つめていた。揺れる深紅。深緑との間と月色との間。 「……、──────」 薄く唇を開く。《蝙蝠》の烙印のあたりで詰まっていた息が静かにこぼれだす。 「ああ。もちろんだ。必ず」 うなずくとともに吐き出された[シ]はかすれていた。

2014-10-20 15:04:05
《蝙蝠》音成カイ @teudev

かたく握っていた右手をひらく。一度おいやったグラスをふたたび手にする。 「必ず、得る《烙印》に相応しい魔王となろう。《蛇》の欲、《山羊》の宴、《蜥蜴》の愛憎、《狼》の導き、《蠍》の恐怖。《蝙蝠》はその全てでもって人間が恐怖する世界[楽譜]を作ろう」

2014-10-20 15:11:03
《蝙蝠》音成カイ @teudev

「人間が手を取りあって、集った《烙印》の力[曲]を凌駕するその日まで。《蝙蝠》はその努めを果たすと……ここに誓おう」 《蛇》と《狼》の手にしたグラスに向けて掲げた。

2014-10-20 15:11:41
前へ 1 ・・ 5 6