2014年10月21日

古鷹青葉を見守る衣笠さんbot #34

更新三十四回目のまとめです。 第六戦隊のサブ島沖海域攻略、始まる。
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古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

漆黒の闇の中、滑るように走る影の後に白い波がさざめく。青葉を旗艦とする私たち六隻の艦隊が単縦陣で航走していく。鎮守府を出港した時は朝だったのに、サブ島沖海域に入った途端に周囲が暗くなり空には星がきらめいている。私たちはすでに敵の前衛警戒部隊と会敵、これを打ち破っていた。

2014-10-20 23:04:01
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

サブ島沖海域に入ってすぐの、ほとんど遭遇戦のような出会い頭の戦いだったけれど私たちはほぼ無傷だった。電探の操作に手間取っている間にいつのまにか敵艦隊に接近され同航戦の形を取られていたものの、艦隊の指揮を取る青葉の指示は冷静で正確だった。迷いなく砲戦開始を下令し、自身も砲火を開く。

2014-10-20 23:09:43
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

私たちの火力は圧倒的だった。敵艦隊旗艦の重巡リ級flagshipが反撃する暇もなく青葉の主砲斉射連撃で轟沈すると、指揮系統を失って混乱する深海棲艦は私たちの砲火に一隻ずつ沈められていった。私たちの高い練度に加え、青葉の指揮の的確さが、ここまでの快勝をもたらした。

2014-10-20 23:15:32
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

私は青葉がすっかり往時の青葉に戻っていることを確信した。私たち第六戦隊を率いて信号すらなしで一糸乱れぬ艦隊運動の指揮がとれた青葉。青葉の言葉が発せられる前からそのちょっとした仕草で次の指示を読み取って行動できる私たち。ソロモンの狼が帰ってきた。勿論この勝利には新装備の恩恵もある。

2014-10-20 23:22:30
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

その新装備とは――。 「敵影発見!前方11時方向!戦艦と思しき大型艦を含む六隻編成!」 その時、青葉の鋭い声が飛んだ。電探で敵影を捉えたのだろう。雷ちゃんが近隣の鎮守府に連絡をとって協力を申し入れているので、この海域に味方は一隻もいない。周りは敵だらけ、つまり誤認の危険はない!

2014-10-20 23:29:57
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

また、今の私たちは飛行場砲撃を命じられているわけでもない。つまり古鷹ねーさんたちが沈んだあの戦いのように暗闇の中飛行場を砲撃するために決められた航路から外れることを恐れる必要もない!青葉が右手を打ち振って変針を指示する。私たちは遅滞なくそれに付いていく。今度は反航戦になる。

2014-10-20 23:35:01
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

「深追いして被害を出してもつまりません。鼻っ面を叩いて怯ませたらすぐに離脱、その後は海域最深部へ突入します!」 「了解!」 青葉の指示に全員が声を揃えて応じる。艦隊全員に士気が満ち満ちている。肉眼でも左舷にかすかに敵影が見えてきた。痛烈な一撃を与えるためにはもっと接近しなくては。

2014-10-20 23:42:34
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

青葉が増速を指示した。30ノットを越える高速で突っ込んでくる私たちに、敵艦隊が泡を食って砲戦準備を整えている様子が見て取れる。 「照明弾、放てッ!」 青葉の命令と同時に、加古、古鷹ねーさん、私が新装備の照明弾を放つ。マグネシウムの白い光が闇夜を照らし、敵艦の姿を浮かび上がらせる!

2014-10-20 23:48:19
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

「撃ち方始めッ!」 ドウンドドウンドウン! 一斉に放たれた20.3㎝(3号)連装砲の砲弾が、白い光の中に浮かぶ深海戦艦の影に吸い込まれるかのように命中していく!集中砲火を浴びた戦艦タ級flagshipが、主砲を破壊されて艦隊から落伍する。二番艦の重巡リ級が反撃の連撃を放ってくる!

2014-10-20 23:59:40
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

リ級の狙いはタ級に最も多く砲弾を叩きこんだ青葉だ!けれど、青葉はリ級の砲撃を一瞥しただけで視線を切る。その直後青葉の前後に無数の水柱が立つ!青葉は慌てて放った連撃など命中しないとリ級の主砲の角度から見て取ったのだ。リ級が改めて青葉を狙うも互いに高速ですれ違っているため既に射角外!

2014-10-21 00:04:59
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

「行っけえっ!」 バシュバシュバシュ! 艦隊の最後尾に位置する吹雪と叢雲が魚雷を発射する。それぞれ9本の魚雷を敵艦隊に向けて放射状に発射し、敵艦に回避運動を取らせる。魚雷を当てることではなく、敵艦に砲撃の狙いを定めさせずこちらの被害を抑えるのが目的の雷撃だ。吹雪たちも心得ている。

2014-10-21 00:12:04
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

重巡リ級や軽巡ホ級が吹雪たちの魚雷を慌てて回避している。陣形が崩れたところを狙って撃てるだけの砲弾を叩きこむ。魚雷の回避と私たちの砲撃で、すでに深海棲艦たちは艦隊の体をなしていない。これなら特に被害もなくこの戦いをやりすごせる。そう私が思った時、海面に加古に向かう白い筋が見えた。

2014-10-21 00:17:18
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

まさか、あれは。 嫌な予感に襲われ、ばっと敵艦隊の方を振り向く。敵艦隊の最後尾にいて、ろくに砲撃戦にも参加していなかったはずの駆逐ロ級flagshipが、異常に私たちに接近してきている! 「加古ッ!」 私が加古の背中にそう叫んだ瞬間、ロ級が新たな魚雷を放った!

2014-10-21 00:22:18
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

最初に私が海面に見つけた白い筋も、言うまでもなくロ級の放った魚雷の雷跡だ。ロ級は速度を調整した一斉射目の魚雷を放った後、接近して二斉射目の魚雷を放ったのだ。いずれも加古を狙って、違う角度から。全身が総毛立った。これは、同時に複数回の魚雷斉射を命中させるロ級のカットイン攻撃だ!

2014-10-21 00:27:49
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

艦時代と違って、艦娘になった今の私たちにとって魚雷はそこまで脅威ではない。艤装のほとんどは水上にあるので水面下で魚雷が爆発しても足回りの艤装に多少ダメージがある程度だ。けれど、一度に複数本の魚雷を食らうとなれば話が違う。推進系が全滅して航行不能、最悪轟沈もあり得る!

2014-10-21 00:35:57
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

斜め前方と斜め後方から自分を狙う魚雷を認めて、加古がその身を沈めた。水面を滑るような航走から力強く足を蹴りだし、魚雷の迫る方へと走り出す! 「加古さん!?」 振り向いた青葉が出撃して初めて取り乱した声を出した。それに目もくれず、加古は走る。二方向から迫る魚雷の間を抜けるつもりだ!

2014-10-21 00:43:12
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

「雷跡を見たらその方向に舵を切れ」が魚雷回避の鉄則だ。けれど、一斉射三本ずつ、計六本の魚雷に向かって走るなんて!見る見るうちに二つの斉射の雷跡の幅が狭まっていく。加古がそのあぎとに向かって駆けていく。鋭い牙にその身を噛み千切られる前に、その間を抜けんがために!加古が走る!

2014-10-21 00:50:13
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

私の目の前を六本の魚雷が走り過ぎて行った。加古はロ級のカットイン攻撃を避け切ったのだ!それを見たロ級が驚愕に身じろぎしたように見えた。その目の前に加古が迫る! 「まだ沈むわけにはいかないんだよ!」 妹たちの仇を取るまでは。加古がそう言ったような気がした。そして、加古の砲撃音。

2014-10-21 00:57:43
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

覆いかぶさるかのように主砲を構えた加古から至近距離で砲弾を食らったロ級が粉々になって轟沈する。その巨大な水柱を背に、加古が艦隊の陣列に復帰してくる。 「加古さん!ご無事ですか!?」 「ああ、大丈夫だよ」 そう言って青葉に片手を上げる加古の眼光は、口調とは裏腹に鋭い光を湛えていた。

2014-10-21 01:02:36
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

陣列に戻って私の前に位置した加古の、その獣のようにぎらぎらと光る眼を見た瞬間、私の心臓が再び早鐘を打ち始めた。なに、これ。加古が危なかったから、今更心配になったの?なぜか、身体の奥底が熱い。出撃の高揚とはなにか違う、自分でもよくわからない衝動めいたものが私の中でくすぶっていた。

2014-10-21 01:10:06
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

自失した私がぼうっと加古の顔を見つめていると、顔を振って目の光を落ち着けた加古が気遣わしげな視線を投げかけてきた。 「衣笠?どした、どっか痛む?」 「う、ううん!何でもない!」 慌てて顔の前で両手を振り、加古から顔をそむける。なぜか今の顔を加古に見られるのが無性に恥ずかしかった。

2014-10-21 01:14:26
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

「見えました!二時方向、海域最深部です!」 吹雪が回した羅針盤が、敵サーモン方面主力艦隊がいる方角を指す。暗闇に覆われたサブ島沖海域で、そこだけ夜の帳が切れて日の光が差し込んでいる。目標は南方棲戦姫が護衛する輸送ワ級。敵艦隊を夜の海に引きずり込み、夜戦で始末をつける。

2014-10-21 01:21:47
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

「皆さん魚雷は再装填しましたね?損傷箇所は?」 単縦陣の陣形を整えながら、青葉が確認する。問題ない旨、皆から返事が返る。それを認めた青葉が向き直った。掲げた右手を静かに振りおろし、増速を指示する。その目は、敵艦隊のいる場所にまっすぐ据えられていた。 「第六戦隊、突撃しますッ!」

2014-10-21 01:28:19

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