北田暁大氏が語る「アメリカのしたたかなプラグマティズム」、あるいは呪われてあれ「G型・L型大学」的発想

社会学者・北田暁大氏の、日本の大学をG(グローバル)型・L(ローカル)型に分け、L型大学を「職業訓練校化」しようという議論に応答した「アメリカ的な実用性」をめぐるツイートをまとめました。
社会学 プラグマティズム 大学 山崎雅弘 北田暁大
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伝左衛門 @yumiharizuki12
すごいこと言うてます。<文系のアカデミックライン(Lの大学には、従来の文系学部はほとんど不要)の教授には、辞めてもらうか、職業訓練教員としての訓練、再教育を受けてもらう> 実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/p…
北田暁大氏の見解
北田暁大 @a_kitada
「2013年から14年というのは、私の中で人間の読解力というものに対する信頼が決定的に崩れ落ちた時期だったとも言える。 多分、レイシストはデビルマンを読み通せるだろう。牧村家に起きた惨劇を惨劇として受け止めるだろう。」呪われてあれ〆鯖 shimesabato.tumblr.com/post/100751824…
北田暁大 @a_kitada
野中広務さんに講演してもらったとき、「中間層をどれだけ厚く深くしていけるか、そこにより多くの人たちが属せるうにすること、それが政治家としての使命だった(大意)」と仰っていたな。GとLに制度的に分けられる社会のあり方を国鉄で思い知った彼と昨今のグローバル人材の人としての器の違いよ。
北田暁大 @a_kitada
東大文系卒のひとの文系不要論とか東大不要論はあまり耳を傾けなくてよいです。自己否定してるようにみせかけて、たいてい自慢したいだけのひとたちですから。
北田暁大 @a_kitada
要するに日本の大学は全部L型になれってことなんでしょうね。@gorotaku @nasastar まああれですね、今この国で「エリートに集中」とかやったら最後、リアルエリートは全部アメリカに持ってかれて残りの大衆の平均値は下がるだけ、というクソみたいな結末に落ち着きますよ
北田暁大 @a_kitada
上野千鶴子さんもそうなんだけど、「ドイツ型からアメリカ型へ」(大学のアメリカ化)っていう図式が根本的に間違っている。あと19世紀末からのアメリカの大学の実用性重視は基礎研究含めた「研究」重視の姿勢であって、「車が運転できること」なんかじゃない。プラグマティズムをなめすぎいくない。
北田暁大 @a_kitada
ドイツでは博士号なしにテニュアとるのはとっくに無理です。ハーバードが最も強固なカレッジ的伝統から抜け出したのは、ちょっと遅れてのこと。学部生ではなく院生重視の「研究」を中心としたシステム作りが、アメリカの大学19世紀末~20世紀初頭の革命。そのとき参考にしたのはドイツの大学だよ。
北田暁大 @a_kitada
しかもハーバードはカレッジの伝統が強かったので、「研究」重視のアメリカ型を真っ先に実現したのは、ジョンズホプキンスとかシカゴ。30年代以降にコロンビアが本格化してくる。社会学でいえば、ハーバードの理論志向は「遅れゆえの強み」だったと思う。いったいどこに専門学校化があるのか。
北田暁大 @a_kitada
宗教色の強いカレッジ(お嬢さんお坊ちゃん学校)から、「研究」重視に移行したのが「アメリカ化」で、そのとき、社会科学、心理学周辺は「不幸」にも、ナチからの亡命知識人を大量に受け入れることができた。突然アメリカが科学の最先端に躍り出たわけではない。政府も財団もジャブジャブ金出してたし
北田暁大 @a_kitada
お金出しませんという政府、新卒大好きです企業がいう「実用」というのは、アメリカのそれと全然違っています。アメリカのしたかかなプラグマティズムを薄っぺらく解釈したら大変なことになるよ。これは日本のみならず、中国も韓国もそうだけど。
北田暁大 @a_kitada
アメリカ大学関係については、勢いで書いた部分も少なくないので、また後日まとめて書きます。とにかく議論の前提として、「英語化」「標準化」「実用化」の意味するところが違うという点からスタートしないとね、という話。査読システムについても人文社会系では議論があった(ある)わけで。
北田暁大 @a_kitada
古典語教育を中心とする「上流階級学校」のなかでは、ハーバードやイェールが「自然科学」を科目の中に入れたのは事実。しかし19世紀半ばに至っても、ハーバードは「バチェラー・オブ・サイエンス」より「バチェラー・オブ・アーツ」の方に優位性を置いていた。社会的実用性が前面化するのはその後。
北田暁大 @a_kitada
20世紀初頭にアボットという人が、イギリスの大学=紳士養成所、ドイツの大学=学問・研究の場所、アメリカの大学=「社会奉仕」の場としている。彼が理想として挙げたのが、19世紀末にロックフェラーから大量の資金を得て、セメスター制をとるシカゴ大学。シカゴは伝統がないぶん自由度が高かった
北田暁大 @a_kitada
ハーバードは、エリオット改革により、科目選択制を導入し、大学院の「研究」重点化を図る。ここはさすがで、研究の深化と学生の選択の自律性を両立させ、様々な職業(教師以外の)に対応するシステムを構築していく。後進のシカゴは、自由度が高いぶん、どんどん資金と人材を集めていく。
北田暁大 @a_kitada
「役に立つ学問」というのは、アメリカにおいては法学・医学・神学からの解放と、自然科学の普及、基礎的な「科学」の導入を意味していたわけで、別に職業専門学校を作ろうとしていたのではない。だから、「基礎研究」(大学院生重視)と「役に立つ研究」、社会奉仕が分断されていたのではない。
北田暁大 @a_kitada
シカゴ大学の社会学にしても、社会改革運動との連続と断絶(科学志向)が結びついて20世紀初頭の栄華をきわめたわけで、30年代に入ると、プロジェクト定位型のコロンビアと、理論重視のハーバードとの差異化に意識を向けるようになる。シカゴは2回に渡りマートンを招聘したが、断られた。
北田暁大 @a_kitada
まとまりなくって申し訳ないですが、要するに、30年代に準備され、50年代以降世界的に席巻していく「アメリカ的な実用性」は、先端的な学問を移入する亡命知識人、二つの大戦、アメリカでの農業の高度化、ニューディール期の社会政策…様々な要素の複合的所産であり、「伝統」などではございません
北田暁大 @a_kitada
「開国」していきなり脈絡なく「ドイツ型」を移入した日本の帝国大学システムが特異なのであって、「実用性」を恨んでも仕方がない。しかし、アメリカの大学における「実用性」が、観光案内とか車の免許とかそういうのでは全然ないこと、このことは確認しておく必要があると思う次第です。(終)
北田暁大 @a_kitada
あ、基本典拠はルドルフ『アメリカ大学史』、アボット『社会学科と社会学』あたりです。
北田暁大 @a_kitada
ほんまね、学部入試の偏差値とかで大学評価する「社会人」やら「世間」とかが想像する「社会に役立つ」なんて貧しいものよ(あと院卒をコミュ障とかいって排除する会社社会)。それをアメリカ化なんて言ったらアメリカに失礼。これ、試験大好き日中韓に共通の問題ですよ。
北田暁大 @a_kitada
「アメリカ化に反対」するのではなく、「アメリカ化と呼ばれる現象」を注意深く観察し、それを安易な「実用性」「英語化」と一緒にしないことが大切だと思うでありんす。 今度こそほんとに離脱。
山崎雅弘氏の現代版「焚書坑儒」への憂い
山崎 雅弘 @mas__yamazaki
大学を企業構成員の養成機関化する現政府の政策案について、もし計画通りに実行されれば「物事の本質を突き詰めて考える人間」や「古今東西の知見と自国の現状を対比して考える人間」を減らすことができるかもしれない。歴史上「知識人」を自国の宝ではなく「危険分子」と見なした政権はいくつもある。
山崎 雅弘 @mas__yamazaki
カンボジアを一時期支配したポル・ポト政権も、政治宣伝の邪魔になる医師や教師などの「知識人」を虐殺した。1939年にポーランドを併合したナチスドイツも、ワイダ監督の『カティンの森』で描かれたように、占領後ポーランドの大学を閉鎖し、邪魔になる大学教授や医師などの「知識人」を虐殺した。
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コメント

杉山真大@震災被災者 @mtcedar1972 2014年10月27日
このまとめに限らず、何かとシバき政策とかネオリベチックな政策が提案されたり実施されようとすると、「アメリカ化ガー」ないし「グローバル化ガー」ってハナシに単純化し、それで国内での利害対立とか権益などの問題を見過ごす言説にこそ用心すべきなんだよね。内田樹などその典型例だけど・・・・・
倉沢 繭樹 @mayuqix 2014年10月27日
まとめを更新しました。
地下猫 @tikani_nemuru_M 2014年10月27日
・・・これがプラグマティズムって、鶴見俊輔あたりが見たら何というかねえ(w
巡礼者 @Hagiasophia765 2014年10月28日
http://twitter.com/Hagiasophia765/status/526482308967047168 あの政府資料読んだけど、これ以上の感想は沸かんわ。ま、せいぜい「成果総量」の話をしていれば良いと思うよ。ジャッジする連中は、「成果総量」の話じゃなくて、コストとかパイの、更に言うなら「上澄み液的なクオリティ」の話をしているんだから。学問的価値とか、学問的厚みとか、そもそもアウトオブ眼中だって
言葉使い @tennteke 2014年10月28日
違ったらごめんだけど、開国してドイツ式を学んだのって、軍隊組織を学のにひっぱられたんじゃないの?
言葉使い @tennteke 2014年10月28日
http://gnusoku.blog41.fc2.com/blog-entry-3416.html の>>819あたりからを読むと、ドイツからだってまともに学べていたんだか、すっごく疑問。
はるを待ちかねた人でなし @hallow_haruwo 2014年10月29日
まとめられてる北田暁大氏のひとつめのツイートの元のブログは悪人正機とかも思い起こされてとても興味深いものではあったんだけど、このまとめの中での位置づけがちょいわからなかった。「職業訓練校化」しようと言ってる人達がニーメラーというのでは元のブログの文意とずれるだろうし…、まとめ主さんがこの問題に対して私達はまさしくニーメラーであったという自戒?あるいはまとめの中で問題提起をしている人も他の問題に対してのニーメラーであるって意図?デコってあるし強烈な意味付けがあってのことだと思うのだけれど。
倉沢 繭樹 @mayuqix 2014年10月29日
hallow_haruwo 別に深い意味はありません。「呪われてあれ〆鯖」というタイトルが北田さんらしいお茶目さを表していると思ったので、「呪われてあれ」というフレーズを使いたかっただけです。強いて言うなら「人間の読解力というものに対する信頼が決定的に崩れ落ちた」という北田さんの述懐が、近年あらゆる領域で見られる「感情の劣化」(宮台真司)現象と通底しているように感じられた、ということがあります。
倉沢 繭樹 @mayuqix 2014年10月29日
hallow_haruwo かつて宮台先生は、エリート校の学生の「日本なんて貢献するに値しないクソだ」という発言を紹介して、「グローバル・エリート」の「市場さえあれば国なんてどうでもいい」という意識を解説していました。「経済回って社会回らず」的な状況に陥ることへの宮台先生の危惧だと思います。「感情の劣化」は「感情のポリティクス」と共犯関係で、本質的な問題を不可視にします。
倉沢 繭樹 @mayuqix 2014年10月29日
hallow_haruwo 今回の「G型・L型大学への分断」の議論も、「感情の劣化」が広がった「クソみたいな日本」の現代的な課題を逆説的に示しているという点で、北田さんの述懐を冒頭に置いてみました。長々とすみません。
はるを待ちかねた人でなし @hallow_haruwo 2014年10月29日
@mayuqix お返事ありがとうございます。納得いたしました。まとめの本論が勉強になったと同時にひとつ目のツイートとブログに刺激を受けたのですが並べるとつながりが分からなくてついコメントしてしまいました。
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