あちゅりさんの童話

ある国のお姫様のお話
0
汚物より下が思い付かない @YoppiteOf

そこには、騎士長だけではありませんでした。もう二度と出来るならば噂でさえ聞きたくない神子がそこにはいました。今日は騎士長からやっとこあなたのお顔がまた見れるって聞いてお祝いに来たの。あなたには私の子供もみてほしいし。 主人公は気付いてしまいました。

2014-10-27 18:33:37
汚物より下が思い付かない @YoppiteOf

騎士長は決して自分のためにやってくれたわけではないこと。全て王様と神子からの命令で自分と関わっていたこと。自分の話したことは全て報告されていたこと。 彼は決して自分のような醜い女を愛してはくれないこと。

2014-10-27 18:35:05
汚物より下が思い付かない @YoppiteOf

気付いたときにはこの世の汚い言葉を全て集めたような暴言を神子に向かってぶつけておりました。1度流れた言葉は止まることなく溢れて神子を傷付けました。憎くて憎くて許せなかったのです。自分が王様を取られまいと爆発した二の舞になると頭ではわかっていても止まりませんでした。

2014-10-27 18:36:33
汚物より下が思い付かない @YoppiteOf

乾いた音がしました。騎士長が平手打ちをした音です。そしてカタンと音を立てて仮面が地面へと落ちました。開けた視界には走り去る神子の姿とあのときの王様と同じ拒絶の瞳で見つめる騎士長。あなたはその顔にぴったりの醜い存在だ。 神子を追いかけて去る騎士長を追いかけることは出来ませんでした。

2014-10-27 18:37:50
汚物より下が思い付かない @YoppiteOf

何を勘違いしていたのでしょう。自分は醜くて醜悪な女です。誰にも選ばれない愛されない卑しく汚い存在です。寂しいのも苦しいのも痛いのも全て当たり前で、存在すること全てが許されない。それが自分なのです。何を夢見ていたのでしょう。 心の壊れる音がしました。

2014-10-27 18:40:13
汚物より下が思い付かない @YoppiteOf

気付けば主人公は神子がこの世に舞い降りたときに使われたという聖なる泉にいました。汚してやろうと思いました。 そして主人公はそっと身を投げてしまうのでした。それはそれは醜い涙を流しながら。 しかしこの物語はこれで終わりではありません。

2014-10-27 18:43:22
汚物より下が思い付かない @YoppiteOf

騎士長は神子に追いつきました。彼女はそれはそれは綺麗な涙を流していました。なるほど確かに神子になるだけある尊いお方だと騎士長は思いました。私が悪かったのです。本当は愛しい王を少しでも誑かしたあの女が許せなかったのだと神子は言いました。

2014-10-27 18:45:55
汚物より下が思い付かない @YoppiteOf

騎士長は神子を無事城に送り届け、仕事をこなした後泣いてるであろう主人公の家に向かいました。主君の妻である神子にした無礼な行いが処罰されぬよう必死で働いてクタクタでしたが、自分も傷付けてしまったことを詫びたかったのです。彼女が好きな素朴な花で作った花束を片手に家へ向かいます。

2014-10-27 18:47:04
汚物より下が思い付かない @YoppiteOf

しかしどうでしょう、彼女はどこにもいませんでした。狭い家のどこにもです、気配のけの字もありません。どこかへ出掛けたのだろうと思いながらふと彼女の部屋の机が目に付きました。そこには大切に大切に保管されていた手紙と日記がありました。悪いと思いつつ騎士長はそっとページを開きます。

2014-10-27 18:49:15
汚物より下が思い付かない @YoppiteOf

そこには、彼女の少し右肩上がりな文字で悲しみに満ち溢れた自虐と騎士長のことが書いてありました。ですがページをめくるにつれ騎士長のことばかり書いてあります。手紙の感想から会話の内容、彼の体調が悪そうだったから明日は温かいシチューをご馳走しましょう。なんて。

2014-10-27 18:51:17
汚物より下が思い付かない @YoppiteOf

そして最後のページには 彼ならばもしかしたら私を選んでくれるかもしれない。こんな私のことを、醜い私のことを愛してくれるかもしれない。もしそうなら私はーーーー その先はポタポタ落ちたと思われる何かで滲んで読めませんでした。

2014-10-27 18:52:41
汚物より下が思い付かない @YoppiteOf

騎士長は初めて自分がしたことを後悔しました。彼女には自分だけだったのです。独りぼっちの彼女は自分だけが全てだったのです。 騎士長は走りました。己の全ての体力を使っても彼女を見つけなくてはならないと思いました。 けれど手遅れなのです。何もかも。

2014-10-27 18:57:28
汚物より下が思い付かない @YoppiteOf

騎士長は彼女を見つけました。 主人公は聖なる泉にいました。聖なる泉にあるはずのない茨に包まれてぐったりとしていました。遠目でも彼女が既に息をしていないのはわかりましたが騎士長は認めたくありませんでした。騎士長は茨を切りますが切っても切っても前へと進めません。

2014-10-27 19:08:36
汚物より下が思い付かない @YoppiteOf

彼女が自分を拒絶しているのだとすぐにわかりました。それでも騎士長は切って切って前へと進もうとします。謝りたかったのです。そして自分の気持ちを伝えたかったのです。 騎士長は主人公の名前を何度も、何度でも叫びます。体が傷付いても諦めません。

2014-10-27 19:11:45
汚物より下が思い付かない @YoppiteOf

主人公の前に到着した頃には騎士長はボロボロでした。そっと主人公の頬に手を触れてみても彼女の頬は凍てついた氷のように冷たく、それが意味することを騎士長は信じたくありませんでした。それでも伝えたかったのです。届かなくても、伝えたかったのです。

2014-10-27 19:13:24
汚物より下が思い付かない @YoppiteOf

すまなかった。君の心を傷付けてしまって……。それでも、もう遅くても……私はあなたが……あなたの醜いところが愛しくて愛しくてたまらないよ…… 騎士長はそっとつめたい彼女に口付けをするのでした。

2014-10-27 19:14:58
汚物より下が思い付かない @YoppiteOf

そっと唇を離すと辺りが眩しく輝き始めました。茨も共に消えていきます。するとどうでしょう、身を投げたはずの彼女の心臓は動き始めたのです。そしてほんのりと温かみを帯びる体を抱きしめ、騎士長は涙を流すのでした。

2014-10-27 19:16:52
汚物より下が思い付かない @YoppiteOf

騎士長と醜い主人公は今もあのボロ屋に住んでいます。2人で改築して多少は綺麗で住みやすくしました。今では彼女は自分を卑下することはしません。何故ならそんなところを愛しいと笑ってくれる愛しい唯一が隣にいるからなのです。 おしまい。

2014-10-27 19:19:00
汚物より下が思い付かない @YoppiteOf

つーことで、こんなこと考えてたわけです。 気に入ってもらえたようで何より! イワ姫ちゃんは無事幸せになりました。今日も騎士長が持ち帰った素朴な花で作った花束をテーブルの真ん中に活けて、温かいシチューを食べるのでしょう。 ありがとうございましたー!感想お待ちしてまーす←

2014-10-27 19:21:54