丹生谷貴志ツイートまとめ(2014年10月)

丹生谷貴志さんの2014年10月のツイートをまとめました。
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nibuya @cbfn

詰まらぬ私事。「アイデンティティ」という語の濫用(?)はエリック・エリクソンを引用した江藤淳さんあたりからか、或いは戦後の通俗アメリカン心理学の流布からか、未だに学生さんたちが生真面目な(?)便利さでこの語を使うのに出会うと溜め息が出てしまう。

2014-10-10 10:32:51
nibuya @cbfn

「大都会では誰かがこの世にもはや居るはずもない誰かの顔の出現に不意打ちされることはなんら異常事態ではない。その顔を見つめると相手もあなたを知人と認めて見つめ返す、十中八九は結局、まったく見知らぬ同士ではあるにしても」、といったピンチョンの一節に、前後を無視して立ち止まる・・・

2014-10-12 10:25:46
nibuya @cbfn

『エルヌ』のブランショの巻を買おうか迷うが、表紙に大きくブランショの写真をトリミングしたような本を部屋に置く憂鬱さを想像して断念する。大体がこの写真がブランショの写真であると認証する証拠を僕は持たないし持つ気もないのだが(ブランショに限らず誰であれ、写真に写る者は誰なのか?)。

2014-10-12 10:37:11
nibuya @cbfn

「kyosaku=警策、曹洞宗が修道の修行に用いる棒」ってなピンチョンの一節に、警策使うのは曹洞宗だけじゃないだろうが、とツッコミを入れそうになって調べると「警策」は曹洞では「キョウサク」と読み、臨済では「ケイサク」と読むようで、ピンチョンの記述が正しい。教えられてしまった。

2014-10-12 12:13:50
nibuya @cbfn

ゴミ捨て場は「クール」か「ホット」か、例えば大竹伸郎ならおそらく「ホット」だと言うだろう。恐ろしく膨大で乱雑で定めない「情報」の切れ端の集積。しかし一方でその情報群はその完全に灰色の断ち切られにおいて発信の熱気を死滅させている以上果てしなく、氷結に近く「クール」でもある。

2014-10-13 13:17:29
nibuya @cbfn

ゴミ捨て場をホットと捉える心性はゴミ捨て場の情報断片を自身の主体の中に取り込んでホットな情報に自動的に造り変え、そこに生じた自身のホットさをゴミ捨て場に転写することによって「ゴミ捨て場はホットである」と認識するというプロセスで解析出来る。擬人化され個人化されたゴミ捨て場が現れる。

2014-10-13 13:35:48
nibuya @cbfn

マクルーハンの「ホット−クール相関」は一見あまりに単純だが運用によっては「複雑な批評性」を保っている。例えばピンチョンは氷結に近く「クール」だがその膨大な情報断片の幻惑によって讀む者を熱狂的にホットにし、その心理混乱の中で生ずる転写によって「弩級にホットな作家」とされるとか・・・

2014-10-13 13:54:21
nibuya @cbfn

私事。単にあの英語がどんな風に仏訳されるかという興味で、無論出来るだけ低速度で読むこととフランス語の勉強も兼ねてなんですが、ピンチョンを仏訳で読んだりしてまして、いろいろ面白い一方で、結構怪しい訳や誤訳もあるんで、意味もなく納得してしまう。

2014-10-13 17:52:13
nibuya @cbfn

つまらないこと・・・例えば一時間半の映画や音楽は誰が見ても聴いても一時間半で見終わり聞き終わりますが小説は同じ本を二時間で読むことも出来れば、精読なんて物欲しげな意味ではなくて二ヶ月かかって読むこともあるということ。速度の未規定な伸縮・・・だから何だということはないですが・・・

2014-10-13 18:27:53
nibuya @cbfn

先日神戸で金井美恵子・久美子姉妹と神戸映画資料館で座談講演。お二人にかかると僕はてんで子供扱いなのですが、多分お客さんが思っているより細部で僕は楽しくお二人の「信条」の譲らない「正確さ」を愉しみました。繰り返しますがお二人は何事につけ「正確であること」において比類ないのです。

2014-10-14 08:20:36
nibuya @cbfn

金井さん関係で久しぶりにルノワールの『雌犬』を見たのですが、「ヒモ男」の刑罰が「公開死刑」というのに今更驚いて、しかしフランスはその習慣が長くて、実際1939年まで広場での公開処刑が行われていたわけです。

2014-10-15 09:07:16
nibuya @cbfn

私事。久しぶりに(!)職場のメールボックスを調べたら渡辺直巳『言葉と奇跡』鵜飼哲『ジャッキー・デリダの墓』中原昌也『こんにちはレモンちゃん』上野俊哉『思想の不良たち』 廣瀬純『絶望論』『アントニオ・ネグリ』等々がごっそり詰まってました。気づかずすいません。感謝。

2014-10-17 01:57:26
nibuya @cbfn

・・・しかし誤解を恐れずに(!)言えばここ数年、無論自分も含めて「男というもの」に基本的にウンザリしていて・・・といって「女性」に期待を抱いているわけではまったくないのですが・・・しかし例えばこれまたピンチョンで恐縮ですが、彼の小説の主要シフターが「女たち」であることに・・・

2014-10-17 02:06:27
nibuya @cbfn

フローベールのジョルジュ・サンドへの手紙。手元にあるのは中村光夫さんの訳で昭和13年に出た茶色に変色したもの、別に古書趣味はありませんがたまたま。ともかく、サンドへの今の評価とは無関係に、19世紀の「男の作家」たちにとってサンドのような人が持った磁場はどんな感じだったのか・・・

2014-10-19 12:01:43
nibuya @cbfn

フローベールが仏教研究のノートをとりながら手作りで小さな仏像を作って「かわいい」と書いている記述。研究者なら誰でも知っているのだろうエピソードですが、彼が机で?粘土か何かで想像で仏像を作っている姿を想像する。ちなみに、フランスの仏教研究は日本で一般に思われているより進んでいた。

2014-10-19 12:25:22
nibuya @cbfn

外出する余裕がなかったのでようやく『ジャージー・ボーイズ』。フォーシーズンズは僕には世代前ですが、子供の頃FENで間斷なく流れていたりで、映画はヒット曲だけとはいえ全曲フルバージョンで覚えているだけではなくて子供の頃の福生や立川やらの街の雰囲気を思い出して熱中してしまう。

2014-10-22 05:28:07
nibuya @cbfn

イーストウッド監督は自然にカトリック系後発移民にカメラが向くのでしょう、早撮りでも、その「粗さ」が見事に映画になっていて細かいところ手抜きしない。マンハッタンを河岸に見るニュージャージーの移民の青春ってやつなんでしょうか。セルジオ・レオーネへの久しぶりの挨拶の気分もあるでしょうか

2014-10-22 05:30:13
nibuya @cbfn

タイトに考えれば、原則上現在「職業欄」に「哲学者」と書くのを許されるのは米系論理哲学系の人に限られると敢えて考えてます。ディシプリンの性格規定上の話。ですから例えば「現代フランス系」という範疇の日本人の学者(?)が「哲学者」を「名乗る」のを信じないことにしています。

2014-10-24 01:27:21
nibuya @cbfn

クレジットが難しいかもしれませんが、きっと誰かがやるでしょうが、ピンチョン全作に出てくる音楽を全部並べると面白いかもしれません。佐藤良明さんあたりがラジオですでにやってるかもしれませんが。まあ意外に好み(?)がストレートですが趣味はいい。

2014-10-24 10:01:49
nibuya @cbfn

『LAヴァイス』(この邦題はマイアミヴァイスのもじりなんでしょうがあんまり好きじゃない)はビーチボーイズetcでしたが『ブリーディング・エッジ』は東海岸風にスティーリー・ダンとかNASのThe world is yuors、マフィアめいたおじさんが自作のラップを歌いだすとか・・・

2014-10-24 22:20:39
nibuya @cbfn

・・・冒頭近くでは「境界症状集団」を乗せたリハビリ船の乗客全員がマドンナの「ボーダーライン』を大合唱する場面があったりします。意外にピンチョンは奥さんやらお子さんの知識も借りて家族総員で書いてるんじゃないかと感じることがあります。デパート特売での戦略とか男じゃちょっとわからない。

2014-10-24 22:28:34
nibuya @cbfn

素朴な問題--「この世界の本質的な受け入れ難さ」というオプセッションが「本質的」という形容を文字通り本質的に(!)伴って全面的な主題であること、羨ましいかどうかはともかく、例えばアメリカ小説・・・これはたかのしれた居心地の悪さとは異なる訳で・・・ラウリーやゲッディス?

2014-10-25 10:41:25
nibuya @cbfn

そう思うと日本の小説のあらかたは「この世界の居心地の悪さ」の主題化(?)の反復のように見えもする。「居心地の悪さ」という感覚はいうまでもなく「居心地のいい場所」を前提として対象化されるので・・・漱石さんから春樹さんに至るまで・・・

2014-10-25 10:52:33
nibuya @cbfn

どうでもいい話--世代として(?)Appleしか使う気がないのですが、しかし仕事柄使えるワープロの性能が不満。Wordは使い勝手が嫌い、Pagesはルビが振れるようになってもこの「振りがな」機能が不完全すぎて使えない。結局EGWordが使えるヴァージョンにOSを据え置くしかない!

2014-10-25 18:52:57
nibuya @cbfn

Pagesの「振りがな」機能は例えば「躊躇」とかのルビは何とかなっても、エース・ヴェンチュラの決め台詞「オール・ライティ・ゼン!」みたいなのに「な〜にもかもケッコウだぜ!」というルビを振るみたいな芸当(?)が出来ないわけです。EGWordではできる(Wordでも出来るんでしょう)

2014-10-25 19:05:15