倫理良書レビュー 堀田善衛 著『方丈記私記』

宗教学者 島薗進氏のツイートをまとめました。
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島薗進 @Shimazono

0敗戦からおよそ25年後、堀田善衛は『方丈記私記』(1971)を書いて、20世紀の戦争による破滅的事態を経て生きる自己と、12世紀の災害と動乱の時代に生きた文人の生きざまを照らし合わせた。3.11後の今読んでみてよい本では? rinri.or.jp/research_suppo…

2014-11-10 09:42:53

堀田善衛 著
 『方丈記私記』 ちくま文庫 1988年刊(初刊、1971年)
http://www.rinri.or.jp/research_support_Shohyo1311.html

島薗進 @Shimazono

1『方丈記』は1185年の大地震の後の人心をこう記す『月日かさなり、年経にしのちは、ことばにかけて言ひ出づる人だになし』大地震の鮮明な記憶も長く続かない。堀田善衛『方丈記私記』(1971)は3.11後の今、思いあたる所の多い本。 rinri.or.jp/research_suppo…

2014-11-10 09:44:31
島薗進 @Shimazono

2「そして、鴨長明はこう続ける。「すべて世中のありにくゝ、我が身と栖との、はかなく、あだなるさま、またかくのごとし」と」。ここのところをよくよく読み返していると、私には、「月日のかさなり、年経にしのちは」、けろりと忘れてしまう」 rinri.or.jp/research_suppo…

2014-11-10 09:44:52
島薗進 @Shimazono

3「人間というもののしたたかさ加減についての認識が裏打ちとしてあるように思われて来る」「このように書くとき、堀田は執筆時から25年前の1945年3月…の自身の経験を思い起している。これは地震や津波の災害ではない、東京大空襲の記憶だ」rinri.or.jp/research_suppo…

2014-11-10 09:45:15
島薗進 @Shimazono

4「…堀田はこの苦難とともにあるという事態が、ある種の社会的、倫理的な自覚につながる可能性をもったことを示唆…これまでの社会が形作ってきた構築物が破壊され…自由な空間が生じ、一人一人が自らの足で立つという意志が芽生える」可能性だ rinri.or.jp/research_suppo…

2014-11-10 09:46:07
島薗進 @Shimazono

5「1945年の若き堀田にとっては、それは社会が新たに組み立て直されるという「期待」にも」通じた。「だが、ほどなくこうした「平べったい夢想、あるいは平べったい期待」が「これまたいかに現実離れをした、甘いものにすぎなかったかと」痛感する…rinri.or.jp/research_suppo…

2014-11-10 09:47:47
島薗進 @Shimazono

6「新たに希望をもって生き直すどころではない。むしろ「無常」と諦めるしかないのか。この諦めとともに身を引く。こうした態度について、堀田は「無常観の政治化」という言葉で要約…宮廷社会で政治的な敗北を重ね、遁世した鴨長明」はなじみ深い態度。rinri.or.jp/research_suppo…

2014-11-10 09:48:29
島薗進 @Shimazono

7「私は思うのだが、あの当時にあって、かくまでのウラミツラミ、居直り、ひらきなおり、ふれくされ、厭味を、これまた大ッピラに書いた人というものは、長明の他にはまったくいなかったのではなかろうか、と」堀田善衛『方丈記私記』rinri.or.jp/research_suppo…

2014-11-10 09:49:53
島薗進 @Shimazono

8「堀田が問おうとしているのは、世の何かにもたれることなく、一人ある「私」が鴨長明においてどのように成り立っているかということだ。方丈の庵に引きこもることによって、長明はその場を得た」そして「生ぐさい」この世に関わり続けた。rinri.or.jp/research_suppo…

2014-11-10 09:52:08