政治不信の時代の投票基準について by屋代聡氏

2014年11月の新宿区長選に際し呟かれていた徒然草をまとめさせて頂きました。
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屋代 聡 @yashirosatoru

政治不信の時代の投票基準について。近々選挙のようなので、3日前の徒然草連ツイを再掲。 twitter.com/yashirosatoru/…

2014-11-12 08:19:57

屋代 聡 @yashirosatoru

何か言っておかなくてはいけない気がする。何だろう。

2014-11-08 23:13:04
屋代 聡 @yashirosatoru

では明日の選挙を踏まえ、また民主主義体制下における選挙のあり方について、思うところを。

2014-11-08 23:18:39
屋代 聡 @yashirosatoru

11月8日。徒然草ー屋代聡

2014-11-08 23:21:53
屋代 聡 @yashirosatoru

政治不信の時代の投票基準について。

2014-11-08 23:22:09
屋代 聡 @yashirosatoru

明日は新宿区長選挙である。東京の中心地の1つ、新宿の未来を占う大事な選挙だ。しかし先日紹介したように、この数年、区民の関心は非常に低い。

2014-11-08 23:24:26
屋代 聡 @yashirosatoru

新宿区長選挙投票率推移は以下の通り。 平成14 年 25.15% 、平成18 年 26.58% 、平成22年 26.33% 投票に行ったのが有権者の4分の1。悲惨としか言いようのないありさまだ。 city.shinjuku.lg.jp/content/000096…

2014-11-08 23:26:50
屋代 聡 @yashirosatoru

前回新宿区長選挙の総投票率は 26.33%だが、20代の投票率は11.59%、30代は20.43 %である。悲惨を通り越して、民主主義がまるで機能していない。一方、70代以上は46.69%。 政治家が保守的な高齢者を優遇し、若者の未来に関心をもたないのも道理である。

2014-11-08 23:29:51
屋代 聡 @yashirosatoru

投票率が50%でも嘆きたくなるというのに、首都の区長選挙でコレである。 この国のデモクラシーは死んだのかと嘆きたくなる。 しかし、果たして新宿区民は政治不信に陥っているのか? 僕はどうにも腑に落ちない。

2014-11-08 23:33:29
屋代 聡 @yashirosatoru

投票率の低さを「政治不信の『あらわれ』」と捉える論調はいつでもある。 しかし不信感が蔓延しているなら、人びとはもっと怒っているはずだ。 さらに言うなら、政治不信は市民の間から”自ずと”湧き出てきたのか、僕には甚だ疑問だ。

2014-11-08 23:35:31
屋代 聡 @yashirosatoru

なぜなら市民の政治不信については、もう30年間は言われつづけている。この間、「政治が信頼できる」という風潮が加速したことなどないではないか。むろん政府や議会が手をずっとこまねいたわけではないし、薬害エイズ訴訟などをみても、市民の期待に応えた例はあった。投票率が上がることもある。

2014-11-08 23:36:32
屋代 聡 @yashirosatoru

それでも中長期的には政治”不信”は加速し、投票率は下落の一方だ。 となれば、これは、政治を取りしきる側が、つまり権力こそが「政治不信を積極的に誘導している」「投票に来なくても大丈夫だよと訴えている」と考えるほうが、筋が通るのではないか。

2014-11-08 23:38:44
屋代 聡 @yashirosatoru

一般的に投票率が高まるのは、何かを変えなければならないと権力に対して憤ったり、異議申し立ての気持ちが一定水準を上回ったりした時だろう。変革を求める時に投票率は自ずと上がる。 それゆえ与党は投票率下落を願い、意図的か否かを問わず、有権者が投票しやすくなる手段を忌避する。

2014-11-08 23:39:37
屋代 聡 @yashirosatoru

良いも悪いもない。与党とはそういうものである。 事実、これまで自民党は投票率を下げて組織票で勝てる状況を創りだそうとしてきたし、またメディアも、反権力の政治的メッセージを放つ者、例えばデモ参加者を、つい先日まで「時代遅れ」「変わり者」であるかのように伝えてこなかっただろうか。

2014-11-08 23:40:14
屋代 聡 @yashirosatoru

一方、数年前、政権交代において権力を握った民主党もまた同様であった。野田内閣が2012年末の選挙で、維新への風をおそれ、投票率が低くなることを狙っていたのは明らかだった。

2014-11-08 23:42:38
屋代 聡 @yashirosatoru

政治家が醸し出す「今回は寝ていてください。悪いようにしないから」というムードは有権者は馬鹿にするものだ。しかし実際には、これが我われに、特に若い世代に、繰り返し与えられてきたメッセージではなかったか。そして根拠なく、若者はきっと悪いようにはならないと思ってきたのではないか。

2014-11-08 23:44:20
屋代 聡 @yashirosatoru

このままでは有権者の行動は「今回も投票に行く」か「今回も寝てる(おそらくそんなには悪くならないだろう)」という2パターンになる。そして権力者は投票率が下がるように発言し、メディアにそう伝えさせ、また教育を通じて”政治的意思は声高に言うものではない”という考えを刷り込んでゆく。

2014-11-08 23:47:43
屋代 聡 @yashirosatoru

現代日本の政治に構造的に組み込まれている(かもしれない)投票率下落を打ち破るのは、並大抵ではないと思う。 もちろん野党が政策の争点を絞ってわかりやすくすればいいというのが一般的な解だろう。しかし僕はこれにはあまり賛同できない。

2014-11-08 23:49:00
屋代 聡 @yashirosatoru

シングルイシューの弊害はもちろん、地方政治は国政とリンクしているのであって、地方の首長が変わっても、中央―地方の構造が変わらない限り、または劇的な政策転換を志向しない限り、打てる手は似たようなものになる。 有権者は選挙前から公約は果たせないことを見抜いてしまう。

2014-11-08 23:50:11
屋代 聡 @yashirosatoru

そして結局のところ、このことも「政治不信」に輪をかける。性急な左派の市民は「何だ、野党が政権をとっても劇的に変わらないじゃないか」とぼやき、改革の足をひっぱる。 そして実は大企業たる新聞・TVメディアも現状が劇的に変ることを望まないがゆえに、そのように世論を誘導しがちなのだ。

2014-11-08 23:53:02
屋代 聡 @yashirosatoru

繰り返すが、どの政党や知事が政権を握ろうともやれること、打てる手には限界がある。 有権者はドラスティックな変化を期待してはいけない。 だから次にいうことが、極めて大事になる。

2014-11-08 23:54:33
屋代 聡 @yashirosatoru

1回の選挙で全てが劇的に良くなるということはない。民主主義は良くも悪くも激変を避けるシステムなのだ。 それゆえ選挙では、”誰に任せたいかよりも、むしろ、誰がよりましか考えて一票を投じることが大事”なのだ。

2014-11-08 23:56:18
屋代 聡 @yashirosatoru

一般的に「どちらも同じようなものだから、消去法でしか投票先を決められない」というのは受動的な行動で、批判的に用いられる言説だが、これは現在のわが国の政治状況を考える時、もっとも建設的な投票パターンではなかろうか。

2014-11-08 23:57:24
屋代 聡 @yashirosatoru

今、我が国の有権者に最も欠けているのは、各候補者の言い分を比較し、どれも相似していると気づくことなのだ。 そしてこの営みこそ、実は民主主義にとって最も難しく、しかし最も大事なことなのだと思う。

2014-11-08 23:59:25