『実践 日本人の英語』(マーク・ピーターセン)を読んで考えたこと

ピーターセン本の話題はあまりありません。例によって持論を語ります。
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It happens sometimes @ElementaryGard

『実践 日本人の英語』(マーク・ピーターセン)を再読。新書で、平明な日本語で書かれてるからすぐ読める。それでいてツボを付きまくる。素晴らしい。英文をどう書くかを指南しているのではなく、実は日本語ネイティヴに日本語のメカニズムを自覚させるのが狙いの本だと気が付くひとは少ない。

2014-11-13 06:38:05
It happens sometimes @ElementaryGard

例えば「雨が降ったら試合は止めよう」の「たら」をうっかり過去形に訳してしまうのが日本人の英語。If it rained とかね。ただしくはrainsつまり現在形でないといけない。

2014-11-13 06:41:00
It happens sometimes @ElementaryGard

日本語の「た」は、古語の「たり」の名残りです。これは英語でいう完了形。日本語にもかつて過去形と完了形の使い分けはあったのです。それがやがて曖昧になって「たり」の「た」が生き残って、過去形とも完了形ともとれる使い方になったのです。ピーターセンはここまで述べていないけど豆知識ね。

2014-11-13 06:43:38
It happens sometimes @ElementaryGard

ちなみに過去形を表すものとしては「き」「けり」がありました。高校の古文で習いませんでしたか。懐かしいですね。

2014-11-13 06:45:55
It happens sometimes @ElementaryGard

「けり」はですね、過去形といってもその時点ではよくわかってなくて今振り返ると「ああ、あれはこういうことだったんだな」のニュアンスのときに使います。今でも「そういえばあのとき○○だったっけ」って言いませんか。あれは「けり」が「っけ」に変化して残ってるのです。今ではほぼ方言ですが。

2014-11-13 06:49:07
It happens sometimes @ElementaryGard

「き」だと、「野球の試合の真っ最中に雨ふりき」、つまり直接経験したことを語るときに使います。「降りけり」だと、「その試合は俺知らないけど、そうなんだってさ」の感じになります。

2014-11-13 06:51:18
It happens sometimes @ElementaryGard

なんとなくフランス語の半過去形と単純過去形の関係に似てますね。日本の小説がフラ語になじみやすい理由のひとつがここにあるとみます。

2014-11-13 06:52:14
It happens sometimes @ElementaryGard

前述の「たり」も、実は今も生きています。「泣いたり笑ったり」っていいませんか。あれです。完了形と、それから存続のニュアンスがあります。

2014-11-13 06:57:06
It happens sometimes @ElementaryGard

高校古文のかなめは助動詞です。皆さんやりませんでしたか、ありおりはべりいまそかり。ああいう助動詞の分類研究は明治以後です。明治政府が「国語」を定めたのがきっかけです。東京の山の手ことば(武家屋敷がいっぱいあった)を「国語」つまり「日本語」となった。

2014-11-13 06:59:40
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sites.google.com/site/junbikako… >当時の国文法とは、小国日本が欧米列強に一刻でもはやく追いつくために、英文法を参考にして急ごしらえでつくりあげたものでした。そのため、当然ながら本家本元である英文法の影響を強く受けることとなったのです。

2014-11-13 07:02:49
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>こうして、日本語の実態を反映していない日本語の文法概念が、国文法のなかに盛り込まれることになりした。ちょうど文明開化のさなかに、日本社会の実態を反映していないさまざまな概念が、政治や経済や産業のなかにつぎつぎと盛り込まれていったのと同じように。

2014-11-13 07:03:28
It happens sometimes @ElementaryGard

>明治日本の「文明開化」がいかに偉大なものであったかは何度も触れてきましたが、しかしイギリス人が数百年かけたものを、わずか三十年足らずで吸収しようというのですから、どこかに大きな無理がかかっても仕方がないのでしょう。

2014-11-13 07:04:19
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ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A8%80… >国の辞書があるということは、その国を近代国家として認めさせる手段の一つだったため、当時のイギリス、フランス、アメリカ、ドイツなどでは、国語辞典作りが盛んに行われていた。

2014-11-13 07:09:16
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>明治政府は「日本が近代国家の仲間入りをするためには、日本語という国語を統一する必要があるから、我が国にも国語辞典が必要だ」と考えたのである。

2014-11-13 07:09:30
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>1882年(明治15年)に初稿を成立させたが校閲に4年をかけ、完成したのは1886年(明治19年)である。元々は文部省自体から刊行される予定であったが、予算が無いため出版が立ち消えそうになり、結局1891年(明治24年)に自費出版することになった。

2014-11-13 07:10:06
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ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7… >『言海』執筆の過程で、日本語の文法を、英語に即して体系づけてしまったことは大きな副産物といえるが、日本語の本態を抑圧したという問題を孕む。

2014-11-13 07:11:10
It happens sometimes @ElementaryGard

>『言海』の巻頭に掲げられた「語法指南」は、これを目的に『言海』を求める人もいるほど日本語の文法学の発展に寄与し、後に『広日本文典』として独立して出版された。

2014-11-13 07:11:32
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>19世紀~20世紀にかけて、英・仏・米・独・伊などの、いわゆる「列強」と呼ばれる各国では、国語の統一運動と、その集大成としての辞書作りが行われた。

2014-11-13 07:12:00
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>具体例を挙げるなら、英の『オックスフォード英語辞典』、米の『ウェブスター大辞典』、仏のエミール・リトレ(英語版)による『フランス語辞典』、独のグリム兄弟による『ドイツ語辞典』などがある。

2014-11-13 07:12:11
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>『言海』の編纂も、そうした世界史的な流れの一環としてみることができる。 小泉純一郎がかつてぶちあげた「知財立国宣言」の文脈とどこか似てる。

2014-11-13 07:13:24
It happens sometimes @ElementaryGard

>1891年6月23日、文彦の仙台藩時代の先輩にあたる富田鉄之助が、芝公園の紅葉館で主催した『言海』完成祝賀会には、時の内閣総理大臣・伊藤博文をはじめとし、山田顕義、大木喬任、榎本武揚、谷干城、勝海舟、土方久元、加藤弘之、津田真道、陸羯南、矢野龍渓ら、錚錚たるメンバーが出席した。

2014-11-13 07:13:58
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日本語の文法「たら」についての質問ですが。★明日は、忙しいなら無理しなくてもい... detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_de… #知恵袋_ 終盤の説明が少々腑に落ちないけど、ほかはよくまとまっています。

2014-11-13 07:20:31
It happens sometimes @ElementaryGard

ちなみに外国人に日本語を教えるときは、「た」形とは別枠として「たら」形を教えます。これ基本ね。そのため私たちが義務教育や高校で習う活用形とはやや異なる活用表を外国人用教材では使うのです。

2014-11-13 07:22:21
It happens sometimes @ElementaryGard

社内の完全英語化とか、TOEICで900点以上取れないと幹部になれないとか、くだらないことが続いていますが、問題の根は英語ではなく日本語文法の開発史にこそあるのだから、そこから論じないといけないのに、誰も気が付かない。

2014-11-13 07:25:06