中学で植え込まれる英語アレルギーの原因を国文法に探れ

これの続きです http://togetter.com/li/744665
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It happens sometimes @ElementaryGard

受験参考書を引っ張り出した。『古文読解教則本』。懐かしいですね。これに「たり」の用例が並んでいます。「たり」が現代語の「た」のルーツであることは昨日述べたとおりです。

2014-11-14 06:13:01
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「たり」は三つの用法があるそうです(本当はもう一つありますがここでは触れない)。

2014-11-14 06:14:48
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①白き水、はやく流れたり。 これは「流れる」という状態の継続。英語の進行形に似てる。

2014-11-14 06:16:49
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②几帳のうしろに立てたる火の光はあらはなり。 現代語なら「立ててある」ですね。先ほどのは「流れている」。「てある」と「ている」の違い。

2014-11-14 06:21:05
It happens sometimes @ElementaryGard

①は動作の継続、②は状態の継続と考えれば飲み込めると思います。

2014-11-14 06:21:44
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そしていよいよ三つ目。 ③富士川といふは、富士の山より落ちたる水なり。 この「落ちたる」は「落ちている」でも「落ちてある」でもありません。富士山から流れ落ちるという動作が終わって、川がそこに生まれるの意。

2014-11-14 06:25:25
It happens sometimes @ElementaryGard

「落ち」て「流れる」と考えればわかるかな。「流れる」とは原文にないけど想像で補う。②の「立てたる」は「立て」て「ある」。この「ある」は今でいう補助動詞。「流れる」はそうではないのです。

2014-11-14 06:28:57
It happens sometimes @ElementaryGard

で、この「たり」が現代語の「た」になったといわれています。

2014-11-14 06:31:13
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中学で英語を習うとき、どうしても生徒が混乱するのは、時制や完了形や進行形。日本語に置き換えると「~したことがある」とかなんとか公式化して試験に対応しようとするから英語嫌いを増やしてしまう。

2014-11-14 06:33:38
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自分たちの母語をものさしに外国語を測るのがどんなに愚かか、今はよくわかります。夜空を観測して「星が回っている。ということは地球が宇宙の真ん中だ」と断定してしまうのと同じ愚かさ。

2014-11-14 06:34:55
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地球も数ある惑星のひとつでしかなくて、太陽を周回している。どの惑星が一番偉いなんてことはないし、一番劣っているなんてこともない…そういうコペルニクス的発想の転換を中学の英語でどう体感させるか…

2014-11-14 06:38:08
It happens sometimes @ElementaryGard

そのためには母語(ここでは日本語)の相対化が必要です。例えば「~している」には実は五つの用法があって、私たちは意識しないまましっかり使い分けているんだよ、と。

2014-11-14 06:39:42
It happens sometimes @ElementaryGard

そういう「気づき」の経験をさせないまま、英語の進行形(ing)を「~している」と公式化して教え込むし、生徒もそうやって単純化して試験を乗り切ろうとするから、やがて歪みが積もり積もって英語アレルギー、ひいては外国語アレルギーを引き起こしてしまうのです。

2014-11-14 06:45:52
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「~ている」の奥の深さはここが詳しいです。 sites.google.com/site/honyakuko…

2014-11-14 06:47:42
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現代語の「~ている」のルーツはなんだろう。やはり「たり」かな。

2014-11-14 06:51:15
It happens sometimes @ElementaryGard

「たり」は英語でいう完了形と重なります。つまり日本語もかつては完了形的な感覚があって、それが廃れ、中学英語で完了形を学ぶ際に「それ過去形とどう違うんですかあ!」と戸惑う生徒を毎年生み出すという事態に。

2014-11-14 06:53:13
It happens sometimes @ElementaryGard

「英語ってわけわかんない。過去形と完了形なんて同じじゃん」と。いえ、だから日本語にもかつてそういう使い分けはあったんですよ。それが廃れてしまった。

2014-11-14 06:55:27
It happens sometimes @ElementaryGard

という話を小ネタ的に授業で挟むと効果があると思います。厳格に古典文法の仕組みを教え込んだら脱落者続出だから、小ネタとして教える。大切なのは「気づき」体験だから。

2014-11-14 06:57:01
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昨日腐したあさりSFの良さは「気づき」を読者にうながすところ。『まんがサイエンス』もそうですね。そこは高く評価しています。例えばスペースコロニー計画がいかに非現実的であるかをちょっとした計算で「気づき」させるところとか。 pic.twitter.com/IF4QDpToFc

2014-11-14 06:59:27
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It happens sometimes @ElementaryGard

こういうのを語学の学習にも応用できないのかな。まず母語の仕組みを「気づき」させる。「~ている」の用法がいくつもあって私たちはいちいち意識しないまま完璧に使いこなしていることを「気づき」させる、等。

2014-11-14 07:01:20
It happens sometimes @ElementaryGard

小学校のうちに英語教育を始めるという案、あれどうなったんでしたっけ。後で検索するとして、そういうのやるんだったら国語のカリキュラムとどう連携するかをじっくり考えないといけない。

2014-11-14 07:21:03
It happens sometimes @ElementaryGard

外国語を学ぶとは、結局のところ母語について「気づき」を経験することにほかならないのだから。

2014-11-14 07:21:38
It happens sometimes @ElementaryGard

前にも触れたけど『高杉さん家』で大学生のときのハルがみそしるの作り方を課題に出されて戸惑う話と同じ。両親は事故死し、姉代わりのおばも失踪で独り暮らし。みそしるはふつーに食べてきたけれど作ったことがない。みそをお湯で溶けばできると思ったらできない。それでやっと思い知る。

2014-11-14 07:24:09
It happens sometimes @ElementaryGard

当たり前と思ってきたことが実はぜんぜん当たり前ではないのだと。何もわかっていなかったのだと。

2014-11-14 07:24:44
It happens sometimes @ElementaryGard

そういう「気づき」を、外国語の学習をつうじて母語について体験させるカリキュラムを編み出せないでしょうか。

2014-11-14 07:25:29