母語を学ばざるもの、外国語を学ぶことなかれ

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It happens sometimes @ElementaryGard

『外国人が日本語教師によくする100の質問』を再度借りてみた。「食べたがる」と「食べたがっている」はどう違う?などのナイスな質問が並び、ひとつひとつに解説がされていく。1991年刊行だからやや年代ものかな。用語も今のと少し違うみたいだし。説明のしかたもやや回りくどい。

2014-11-18 08:45:19
It happens sometimes @ElementaryGard

さあこの質問に皆さんはどう答えてみせますか。

2014-11-18 08:45:57
It happens sometimes @ElementaryGard

英語なら義務教育で習いますよね。中一で現在形を習い、中二で過去形を習う。未来形や完了形は中三で習うのですか。私の時はそうでした。当時の教科書を引っ張り出して確認。

2014-11-18 08:47:59
It happens sometimes @ElementaryGard

例えばgoは「行く」のことだと習う。goは現在形。だから日本語の「行く」も現在形だ…とうっかり理解してしまう。

2014-11-18 08:49:39
It happens sometimes @ElementaryGard

実はこういう理解は正しくない。以下の例文で説明します。 ①学校へ行く。 ②明日学校へ行く。 どうでしょう。②も「行く」のままですが「明日」がつくから未来時制。

2014-11-18 08:51:49
It happens sometimes @ElementaryGard

つまり「行く」を現在形と考えては本当はいけないのです。「非過去形」とか「ル形」とか「辞書形」とか「現在・未来形」とか、いろいろ呼び方があります。お好きなのをどうぞ。

2014-11-18 08:53:27
It happens sometimes @ElementaryGard

さあ「食べたがる」と「食べたがっている」の違いは何でしょう。「たがる」は動詞「食べる」につく助動詞です。「たがる」単体では動詞として働かないけれど動詞にくっつく(サポートする)ことで動詞的に機能するから助動詞です。

2014-11-18 08:55:45
It happens sometimes @ElementaryGard

「たがる」は現在時制でしか使えない。「明日この子はラーメンを食べたがる」は未来時制ですがなんだか不自然な文ですよね。「この子はラーメンを食べたがる」なら不自然でなくなる。「ラーメン大好きなんですよ子は」の意になる。割と一般論的なニュアンス。ナレーション的です。

2014-11-18 08:59:20
It happens sometimes @ElementaryGard

「ラーメンを食べたがっている」ならどうでしょう。ナレーション的な距離感が消えて、目の前にその子がいて「ラーメン食べたいよー!」とごねてる姿が思い浮かびます。

2014-11-18 09:00:45
It happens sometimes @ElementaryGard

「食べる」や「行く」などのル形は、①現在時制(それもナレーション的な距離感つき)と②未来時制の両方をカバーします。助動詞のなかでも「たがる」は①のみですが、①だと距離感が出てしまう。それで「たがっている」と能動的な感じにして、今この瞬間の生々しいイメージを強調するのです。

2014-11-18 09:09:00
It happens sometimes @ElementaryGard

「ている」は補助動詞です。助動詞ではなくて。「たがる」と違って「て+いる」。「て」が英語でいうandの機能をかすかに漂わせています。

2014-11-18 09:12:52
It happens sometimes @ElementaryGard

「ている」には五つの機能がある話を前にしましたねたしか。

2014-11-18 09:14:21
It happens sometimes @ElementaryGard

①食べている (継続) ②そびえている(形容) ③一度会っている(経験) ④毎朝走っている(習慣) ⑤きゃー博士が死んでいる!(瞬間) この⑤がなぜ「瞬間」なのかというと、ちょっと長い話になりますが。

2014-11-18 09:16:04
It happens sometimes @ElementaryGard

「ている」が使えない動詞もあります。「ある」と「いる」です。「あっている」とか「いている」とは言わないでしょ。「会っている」ならあるけどこの場合は「ある」ではなく「会う」だから。

2014-11-18 09:18:28
It happens sometimes @ElementaryGard

ややこしいのは「わかる」。 ①彼女は話がわかる ②彼女は話がわかっている この②でも一応通じますが①のほうが自然に響きませんか。つまり「わかる」は「ある」「いる」と同じく「ている」が使えない(こともある)のです。

2014-11-18 09:23:58
It happens sometimes @ElementaryGard

同じ「わかる」でも①と②では機能が違います。①は状態動詞としての「わかる」なので「ている」が使えない。一方で②は瞬間動詞としての「わかる」。ある瞬間に「あっわかった!」と頭のスイッチがばちーんと入るから瞬間動詞というわけです。

2014-11-18 09:27:11
It happens sometimes @ElementaryGard

さきほど以下五つの例文を並べました。 ①食べている (継続) ②そびえている(形容) ③一度会っている(経験) ④毎朝走っている(習慣) ⑤きゃー博士が死んでいる!(瞬間)

2014-11-18 09:27:59
It happens sometimes @ElementaryGard

⑤に注目。「死ぬ」はスイッチが切れるのと同じで瞬間的です。だから瞬間動詞と分類される。それで「ている」が使える。

2014-11-18 09:29:06
It happens sometimes @ElementaryGard

③の「会っている」のもとは「会う」。この「会う」は瞬間動詞であると同時に経験動詞(こういう言い方があるのかな?ここでは便宜的に使っています)でもあります。つまりどっちの用法でも「ている」が使える。

2014-11-18 09:31:21
It happens sometimes @ElementaryGard

以下は瞬間動詞「会う」に「ている」をつけた例文 >総理は今、官房長官と会っている 経験動詞「会う」なら >総理は大統領と一度会っている

2014-11-18 09:32:43
It happens sometimes @ElementaryGard

うーんツイッターで文法の話はやりにくいかなあ。まあいいか、自分の頭のなかを整理するために呟いてるんだし。

2014-11-18 09:33:45
It happens sometimes @ElementaryGard

ここからはいつもの話。中学で英語を教わるとき、例えば現在進行形については「~ている」のことだと教わります。というかそう単純化して試験に挑むわけです私たちは。思い出してくださいあの頃を。

2014-11-18 09:35:53
It happens sometimes @ElementaryGard

しかしながら「~ている」も実は五つも用法があること、また「~ている」が使えない場合があること(ここまで長々と論じてきたことです)は教わらない。教える側もろくに知らないし、知っていたとしても教えない。それはもう国語の領域だから。何より生徒の頭がついていけない。

2014-11-18 09:37:03
It happens sometimes @ElementaryGard

「~ている」ひとつでこんなに複雑な計算を私たちは瞬時に行っているんだよーと「気づき」させる経験を、小学校のうちにさせておくべきなのです。そうすれば中学の英語の授業のときにふっと思い出して「ああ、あれか」と有機的につかんでくれる。

2014-11-18 09:38:49
It happens sometimes @ElementaryGard

こういうメソッドを誰か開発してください。終わり。

2014-11-18 09:39:43