クロスレファレンス民事実務講義の周辺

「クロスレファレンス民事実務講義」著者の京野哲也先生(@bye02661)の、同書に関するtweetを集約しています。 本編はこちら↓ クロスレファレンス民事実務講義 http://togetter.com/li/229764
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京野哲也 @bye02661

「CR民事実務講義」の周辺(27) 私も回答がない問題。友人Aのノートを借りたBが紛失。B「新品100円のノート買って弁償する。でも買って半年経ってたよね。耐用期間1年として,現在価値50円だから50円返してね」Aは怒るだろうが,慰謝料を別とすると「財物価値」はそうなるのか?

2012-02-27 20:11:38
shoya @sho_ya

@bye02661 現在価値の算定方法はその通りだと思うのですが,清算の仕方としては不合理ではないかと思います。これだと不当利得の講学上の概念である「利得の押しつけ」に近い状況が生じてしまうのではないかと。ですから,100円のノート買って弁償した時点で主観的対価均衡の代物弁済

2012-02-27 20:16:29
shoya @sho_ya

@bye02661 契約が成立したと考えるべきなのではないかと考えました。不束者のtweetですが,ご笑覧いただければ幸甚です。

2012-02-27 20:17:20
京野哲也 @bye02661

「CR民事実務講義」の周辺(28) 27を言い換える「福島原発近くの住人が避難。住宅の損害賠償を「被害直前価値(例えば,建築費から減価償却累計相当額を控除)」とする。被害前と同等の生活回復には,近隣と一緒に新築するしかないはず-それに相当する賠償を法理として基礎付けられないか。

2012-02-27 20:17:08
京野哲也 @bye02661

「CR民事実務講義」の周辺(29) 慰謝料の「相場」が低すぎることはないか。財物に関する慰謝料のリーディングケースというべき大判明43.6.7(刑録)は,加害者の犯罪により父祖伝来の土地を喪った原告の精神的苦痛を認め「50円」の賠償を認めているが現在の価値ではいくら位だろうか。

2012-03-06 10:36:33
京野哲也 @bye02661

「CR民事実務講義」の周辺(30) 明治43年当時の50円は,現在の「100万円」程度か。統計より実感として判る便利な週刊朝日編『続 値段の明治・大正・昭和の風俗史』19pによれば,小学校教員の初任給が10~13円(明治33年),12円~20円(大正7年)。概ね2万倍と考えた。

2012-03-06 20:58:13
京野哲也 @bye02661

「CR民事実務講義」の周辺(31) 明43年判例の事実は明確でないが,住んでいた住居を立ち退かされたという事案ではないように思われ,だとすれば,原発被害者の場合の精神的苦痛はもっと大きいと評価されてしかるべきと思う。財物毀損の慰謝料は原則認められないとされるが,財物と一括りでは

2012-03-06 21:05:37
京野哲也 @bye02661

「CR民事実務講義」の周辺(32) なく,むしろ,不動産の毀損であれば,原則,慰謝料も認められる。交通事故でも「建物」に損害がある場合は,慰謝料も認められるケースが多い。『赤本』2008年版下54p以下の裁判例中,建物に関する10件のうち,9件において慰謝料が認容されている。 

2012-03-06 21:14:29
京野哲也 @bye02661

「CR民事実務講義」の周辺(33) 明43判例,注意深い人は「刑録」に違和感を持たなかっただろうか。なぜ刑事なのかというと,「附帯私訴」の事案なのである。平成19年,いわゆる犯罪被害者保護法に新設された「損害賠償命令」(⇒クロスレファレンス§740)の先祖のようなものである。

2012-03-06 21:20:13
京野哲也 @bye02661

「CR民事実務講義」の周辺(34) 法律家的能力が最も試される時とはある条文の解釈や判例の動向といった既存の法状態についての知識を尋ねられた時ではなく,これまで全く議論されていなかった法律問題,考えたこともないような法律問題に直面させられた時である(平井宜雄「債権総論」の序)。

2012-03-14 08:38:00
京野哲也 @bye02661

「CR民事実務講義」の周辺(35) そのような時に,既存の法律的知識を言わば総動員して,それとの関連を見失わないようにしながら,問題の解決に到達するためのいくつかの異なった考え方を示し,そのうちから筋のとおった一つの考え方を選択し,その論拠を主張し,説得する(平井宜雄)。

2012-03-14 08:44:30
京野哲也 @bye02661

「CR民事実務講義」の周辺(36) これが法律家的能力なのである。この平井宜雄先生の言葉は,我々法律実務家が持つべき能力や意識のありかを明瞭に示している。また,言外に一部の学者や実務家に対する痛切な批判を含んでいると感じる(この序を読み進むとそう感じられる)。再読の価値ある序。

2012-03-14 08:51:16
京野哲也 @bye02661

「CR民事実務講義」の周辺(36) お店を「使う」という表現は好まない。会社等では「弁護士を使う」という表現も用いられる。では「医者を使う」と言うだろうか。医師と弁護士は似ている面が多いが,弁護士は「純粋に病気を治す」とは違う面があると思われている事が分かる。使われたくはない。

2012-03-30 09:00:13
京野哲也 @bye02661

「CR民事実務講義」の周辺(37) 「~を主張するのに~の事実が要件になると解すべきか否か」が実体法上問題となる。解釈が固まっていない法律問題は多いが,この「要件」を「要件事実」にすると難しさは飛躍的に大きくなる。10進法の「9」は2進法で「1001」と書くが,どこか似ている。

2012-03-31 15:10:48
京野哲也 @bye02661

「CR民事実務講義」の周辺(38) 「要件」であることは疑いない概念,例えば「背信性がないこと」が,どういう間接事実がある場合に認められるのか,講学ではなかなか学べない。しかし実務では決定的に重要である(CR§389~396参照)。要件事実間の論理的関係よりも遙かに重要である。

2012-04-01 21:37:24
京野哲也 @bye02661

「CR民事実務講義」の周辺(39) 会社326「株式会社には,一人又は二人以上の取締役を置かなければならない」 これって悪文ですよね。「一人又は二人以上」は,論理的には「一人以上」だから「幾人か」の方が日本語としては自然。名詞の「数」を要求する言語ならしょうがないのでしょうが。

2012-04-15 22:04:56
京野哲也 @bye02661

「CR民事実務講義」の周辺(40) 会社法326条は日本語として違和感あります。「一人又は二人以上の取締役を置かなければならない」は,「会社の機関として取締役を置く。取締役は一人でも足りる。」という意味でしょう。制度を記述するのに「なければならない」と書く必要があるでしょうか。

2012-04-15 22:11:23
京野哲也 @bye02661

「CR民事実務講義」の周辺(41) 「一人又は二人以上」を日本法の法令用語として受け入れてしまったわけですが,「動詞の人称変化がない」という美点を持つ我らが言語(中国語・韓国語も同)の特長は譲りたくない。動詞人称変化がないが故,文法的には「主語」も存在しない!(「三上文法」)。

2012-04-15 23:16:59
京野哲也 @bye02661

「CR民事実務講義」の周辺(42) 市井の言語学者「三上章」さんが1960年発刊の「象は鼻が長い」は33刷,今も買える本ですが,英文法を無理に当てはめた官製国語文法に対峙し,独創的・根本的な批判をしている。I love you.に相当する国語は「私はあなたを愛してる」ではない。

2012-04-15 23:24:34
京野哲也 @bye02661

「CR民事実務講義」の周辺(44) 「解説弁護士職務基本規程」の2版が配付されました。初版で気になっていた部分を見てみました。旧30p(20条)に,「弁護士が直接依頼者に会わず第三者を介在」して受任することが例外的に許容されるように書いてある部分⇒2版では削除(CR§70参照)。

2012-04-21 09:22:11
京野哲也 @bye02661

「CR民事実務講義」の周辺(45) 「解説弁護士職務基本規程」2版84p~「遺言執行者」等の利益相反に関係する問題は,平成18年以降重要な議決が続いていて,旧版の簡単な記述から大幅に加筆。古い世代の弁護士の感覚とは違う。職務の中立,公正性に対する信頼が重要(CR§712参照)。

2012-04-21 09:32:36
京野哲也 @bye02661

「CR民事実務講義」の周辺(46) 「解説弁護士職務基本規程」2版83p「公正証書作成」の際,弁護士事務所の職員を相手方の代理人として手続をすることは,「利益相反となることもあるので注意が必要」。この点旧版と変わってないが,旧版時代から「もっと注意喚起が必要」と感じていた箇所。

2012-04-22 09:40:43
京野哲也 @bye02661

「CR民事実務講義」の周辺(47) 弁護士職務基本規程に関し,CR民事実務講義では基本規程の「条文索引」を付けた。4つの索引は,全て私と一太郎の協働で作ったものである。利益相反について,規程27条⇒即決和解の際(§53の注),公正証書に関して(§583)触れた箇所が参照できる。

2012-04-22 09:47:15
京野哲也 @bye02661

「CR民事実務講義」の周辺(48) この国の「戦後」は,「知識人」の影響が強く教育の現場にも及んでいて,我々世代は大いに「刷り込み」されていると感じることがあります。例えば,「日本人は権利意識がない」。法律実務に携わっていて,「権利意識がもっとあった方が良い」と思うでしょうか。

2012-05-06 22:50:25
京野哲也 @bye02661

「CR民事実務講義」の周辺(49) 被害を受け,声を上げたくとも上げられなかった人達は大勢います。しかし,「権利意識が足りないよ」と知識人が言うような問題でしょうか。その声を受け止めるべき側の問題では。次に,今の日本の法律状態として「権利意識が乏しい」と言いうるのでしょうか。

2012-05-06 22:54:11
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