ニンジャスレイヤー二次創作「ザ・ムーン・イズ・オン・ジ・ウェイン」#1
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ガパオパオ(asiazou)
@noraosamu
「フーンク！」インペイルメントはウンギョウに迫る！「させんぞ！」アギョウがムテキを解きこれを阻まんとする！その時だ！ＢＯＭ！アギョウの周囲で爆発！「アーッ！」たまらずムテキを繰り出す！アギョウの脚が止まる！ＢＯＭ！ＢＯＭ！更に爆発！22
2014-11-23 22:08:31
ガパオパオ(asiazou)
@noraosamu
おお、見よ。アギョウの周囲にコマ爆弾が回っているではないか！ワイルドハントはエアカッターとイクサを繰り広げながら、鞭状武器を巧みに操り、同時にコマ爆弾を射出していたのだ！ワザマエ！「ヌゥーッ！」ＢＯＭ！ＢＯＭ！爆発！アギョウはムテキを解いて動く事が出来ない！23
2014-11-23 22:12:41
ガパオパオ(asiazou)
@noraosamu
「行け！」ワイルドハントが叫ぶ！「フーンク！」インペイルメントは走る！ザオ・ケンを水平に構えウンギョウに迫る！しかしその時！「イヤーッ！」新たなニンジャがアンブッシュ！インペイルメントに立ちはだかる！黄緑装束のニンジャが掌を前に出すと、灰色の雲が周囲に流れ出す！24
2014-11-23 22:16:27
ガパオパオ(asiazou)
@noraosamu
「フーンク！」構わずインペイルメントは前進！白いスプリントアーマーを灰色の雲が包む！「かかった！イヤーッ！」黄緑装束のニンジャが両手を握ると、雲の中で蒼白い光がスパークする！デン・ジツ！高圧電流がインペイルメントを襲う！25
2014-11-23 22:20:25
ガパオパオ(asiazou)
@noraosamu
「フーンク！？」インペイルメントの動きが止まる！「イヤーッ！」黄緑装束ニンジャが強く拳を握る！蒼白い光が勢いを増す！「フーンク！？」雲の中から煙が吹き出す！ぶすぶすと肉の焼ける音がする！そしてついに、インペイルメントの足が止まる！26
2014-11-23 22:24:40
ガパオパオ(asiazou)
@noraosamu
「これまでだな、インペイルメント＝サン」目の前でウンギョウが立ちはだかる。異常巨体が両の手の両頭槌を強く握る。「イヤーッ！」「フーンク！？」右の両頭槌！「イヤーッ！」「フーンク！？」左の両頭槌！堪らぬインペイルメント、ザオ・ケンを構え防御の姿勢！27
2014-11-23 22:28:22
ガパオパオ(asiazou)
@noraosamu
だがウンギョウはお構いなしに両腕を振り上げる！「イイヤァーーーッ！」左右の両頭槌！「フーーーンク！？」ＳＭＡＡＡＡＳＨ！ザオ・ケンを叩き折りインペイルメントを直撃！インペイルメントの巨体がワイヤーモーションめいて吹き飛ぶ！安全柵を破壊し、用水路へ！黒い水しぶきが通用路を覆う！28
2014-11-23 22:32:40
ガパオパオ(asiazou)
@noraosamu
「インペイルメント＝サン！」ワイルドハントは用水路へと走る！しかし黄緑色装束のニンジャがワイルドハントの前に立ちはだかる！「ドーモ。サンダークラウドです」「ドーモ。ワイルドハントです」ワイルドハントはアイサツ終了後コンマ３秒でバク転し、距離を取る。29
2014-11-23 22:37:39
ガパオパオ(asiazou)
@noraosamu
一対四。明らかに不利な状況である。いまここで応戦したとして、改善する余地はない。ならば。「イヤーッ！」ワイルドハントはコマ爆弾を展開！「イヤーッ！」エアカッターがソニックカラテで応戦！ＰＯＭ！ＰＯＭ！ＰＯＭ！爆煙が視界を奪う！四人のソウカイニンジャがカラテ警戒！30
2014-11-23 22:40:12
ガパオパオ(asiazou)
@noraosamu
しかし爆煙が晴れた時には、ワイルドハントの姿は巨大コマもろとも消えていた。「逃げンじゃねェ、腰抜けがァ！」獲物を失ったウンギョウが地団駄を踏む。「無駄死にを選ばずに撤退したか」アギョウは表情も変えずに坦々と呟く。「追わねぇのか兄貴！？」「制圧を優先しろ」31
2014-11-23 22:44:51
ガパオパオ(asiazou)
@noraosamu
「……チッ、つまんねえの」ウンギョウはへしゃげた安全柵を小突く。「まだ抵抗を続ける警備部隊がいる。それで充分だろう」アギョウが見向きもせずそそくさと歩く。エアカッターとサンダークラウドも続く。「そんなんじゃ足らねェよ」先を行く３人を、ウンギョウは気だるげに追った。32
2014-11-23 22:48:41
ガパオパオ(asiazou)
@noraosamu
一方その頃、インペイルメントは用水路を流れていた。重金属に汚染された濁流が彼方へと連れていく。息をせんと巨体が抵抗をするも、叶わず。深手を負ったその身を小さく丸める。だんだんと薄れゆく意識の中で、鼻腔が雨上がりの匂いを捉える。33
2014-11-23 22:53:41
ガパオパオ(asiazou)
@noraosamu
通用路を越え、外へ。これから何処へ行くのか。生きていられるのか。並のニンジャであればかような事を考えよう。しかしインペイルメントは何一つ考えることなく身を任せた。黒い濁流は宵闇へ流れ、更に黒さを増す。何処までも続く闇。その中にひとつ、朧げな光を見つけた時。彼の意識は途切れた。34
2014-11-23 22:57:15
ガパオパオ(asiazou)
@noraosamu
『今宵は満月』だと、各社のＩＲＣニュースがひっきりなしに告げる。『まん丸なお月様』『重金属酸性雨が止み見頃』『ミステリアスな夜』『恋が生まれる』過剰なまでに飾られた言葉がネオサイタマのＩＲＣを埋めつくす。文字の洪水がシキヨのニューロンを埋め尽くす。37
2014-11-23 23:10:16
ガパオパオ(asiazou)
@noraosamu
しかしシキヨにはどの言葉もピンと来ることはない。そもそも『月』という文字のどこがまん丸なのだろうか。はらい、おれ、はねるこの文字の、一体どこに丸いという要素があるのだろうか。月が満ち、欠けるという事がいかなるものか。ＩＲＣのテキストでしか月を知らぬ彼女には、理解できなかった。38
2014-11-23 23:13:37
ガパオパオ(asiazou)
@noraosamu
シキヨは生まれつき目が見えなかった。目に映るのは、永遠の夜とＩＲＣの文字情報。幼い頃に移植された生体ＬＡＮ端子が、シキヨの夜に緑色の雨を降らせる。そんな彼女にとって、月とは闇に瞬く緑の文字が象る『月』のカンジそのものであった。39
2014-11-23 23:16:58
ガパオパオ(asiazou)
@noraosamu
サイバネ義眼を移植するにあたり、生体ＬＡＮ端子の移植は必須であった。シキヨの両親は金策に奔走し、幼子に緑色の光を与えた。だが、そこまでだった。カネが保たなかったからだ。そして１０年を経た今、彼女にとって視覚とは緑色の文字情報の事を指すに至った。40
2014-11-23 23:20:17
ガパオパオ(asiazou)
@noraosamu
さんざに降った雨は止み、ぽたりぽたりと雫が落ちる。タマ・リバーの波打つ音が聴こえる。稼働をやめて久しい廃工場の一室。フートンの中で静かにしていれば、近隣の音は容易に聞き取ることができる。工場内の音であればなおさらだ。階段を登る音。そしてシキヨの部屋の扉を開ける音。41
2014-11-23 23:25:44
ガパオパオ(asiazou)
@noraosamu
「姉さん、上手く回収したよ」キゲンは耐重金属レインコートのフードを脱ぎながら、手元のサイバーキンチャクを弄ぶ。ジャラジャラと音をたて、その中身が潤沢であることを伝える。シキヨがフートンの中で起き上がる。照明のない部屋の中、月明かりが薄い唇を照らす。姉の口元に笑みが零れる。42
2014-11-23 23:29:54
ガパオパオ(asiazou)
@noraosamu
部屋がチカチカと、赤く明滅する。「うん、久々にトビッコ・スシが食べたいな。姉さんは何が食べたい？」再び赤く点滅する。「じゃあ明日のスシは全部トビッコにするね」キゲンが一人笑う。同時に部屋が赤く点滅する。赤い光がシキヨの白い歯を、細い鼻を赤く染める。そして。43
2014-11-23 23:32:55
ガパオパオ(asiazou)
@noraosamu
『ダメよ』赤い電子ドットが点滅する。『ちゃんとタマゴも買ってね』シキヨの目元を塗りつぶして、メッセージが流れる。「わかったよ、姉さん」キゲンは姉の目元を流れるメッセージを読み、答える。シキヨがかけるサイバーサングラスのメッセージをじっと見、答えること。これが二人の会話だ。44
2014-11-23 23:36:47