海上自衛隊の飛行機乗りを満期定年した実父が数年ぶりに劇場に見に行く映画としてキムタク実写ヤマトを選んでいます。あさって行く予定ですが、どうしたらいいでしょうか。

私の父の海上自衛隊生活、航空学生からP-2J、P-3C搭乗・指揮、そして統幕本部勤務、P-X開発、定年までの話。ちなみにきっかけはその温厚で実直な父が、定年後もろくに取らなかった休みで実写版大和を見に行こうと言い出したこと。父は無事、映画館から帰ってこれるだろうか!(じょじょ、冗談です~)
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米田淳一:JAM国際鉄道模型コンベンションDM10自由環状線 @YONEDEN

父の常識は私にとっては超常識だったの、勉強になる。P3-Cから落下傘を地上のマークに狙って落とす競技というのがあるという。そんなの狙いつくの?というと、落下傘だって弾道は計算できるんだぞと。父のクルーはそれが得意すぎて、落下傘が標的を直撃、発炎マークの火も移って炎上ということも。

2010-12-03 16:57:07
米田淳一:JAM国際鉄道模型コンベンションDM10自由環状線 @YONEDEN

概して航空宇宙についても軍事についても、私はまだまだ父にまだ学びきるには程遠い状態。それで小説なんて書いているから恥ずかしいけど、本当のプロは、現実なんてわかりきっているからリアルさよりも発想のぶっ飛び方のほうが面白いと。当直室には「火葬戦記」も揃っていて案外楽しんでいるという。

2010-12-03 17:01:06
米田淳一:JAM国際鉄道模型コンベンションDM10自由環状線 @YONEDEN

創作物に現実と違う、ってツッコむ「自称プロ」は、だいたいダウトという。だって当事者じゃないんだから現実と違うのはあたりまえだし、逆に現実過ぎるとおいおいだれがいらん事言ったんだ、と思うらしい。それより重要なところは別にある、兵器のスペック書くなら人間をかけというポリシーだった。

2010-12-03 17:07:26
米田淳一:JAM国際鉄道模型コンベンションDM10自由環状線 @YONEDEN

落下傘の弾道計算は、例の「はやぶさ」カプセル回収もそれらしい。ちなみに管制破壊されたH-2無印のエンジン回収のNHK「プロX」についての父の話がおもしろすぎたのだが、まあプロ同士の名誉も苦しみも共有している、というところ。宇宙開発との直接の交流はないが、すぐに察しはつくらしい。

2010-12-03 17:12:44
米田淳一:JAM国際鉄道模型コンベンションDM10自由環状線 @YONEDEN

父はすごくは出世できなかった。退官時2佐。でも勉強は頑張っていたのに胃をそのとき手術することになり、学科はがんばれても体育系が参加できなかったので、一生付いて回るハンモックナンバーが上がりきらなかった。でもそういう出世よりも、プライスレスな仕事ができたことに喜ぶ感じ。

2010-12-03 17:18:52
米田淳一:JAM国際鉄道模型コンベンションDM10自由環状線 @YONEDEN

そういう父なので、実写ヤマトでツッコミを入れるのは用語とかディテールじゃない。物語としての必然性、人間の描き方かもしれない。そういうところの手抜きとか不条理は父は嫌いだけど、でも美術とかのディテールは結構おもしろがるのです。うちのCGとかもそれはそれで「理解」してるし。

2010-12-03 17:29:33
米田淳一:JAM国際鉄道模型コンベンションDM10自由環状線 @YONEDEN

それと自衛隊は体育会系活動必須。父はラグビーのウイングをしていた。背は高いけど痩せているので、お前と当たると身体にササるんだよな、と笑われていた。厚木ではサッカーチームが頑張っているけど、でもそういう人たちも脳筋ではなく、ギターも弾いたり歌も歌ったり。文化的だった。

2010-12-03 17:36:45
米田淳一:JAM国際鉄道模型コンベンションDM10自由環状線 @YONEDEN

昔は自衛隊の広報映画というと、ヘンにびしっとしてたけど、父たちのフライトの様子を家族向けにホームビデオに撮ったのがあった。慣熟飛行とはいえ、プロは緩急のメリハリが凄いんだなと思わされた。映画だとなんか12人のクルーがざっざと行進してP-3C乗ったりする。そんなことない。笑える。

2010-12-03 17:59:43
米田淳一:JAM国際鉄道模型コンベンションDM10自由環状線 @YONEDEN

P-3Cの場合、搭乗員が電源入れて、そのあとセンサーマンだのレーダーマンだのがバラバラに、ポツンポツンと乗ってくる。やる仕事が別なんだから、それぞれの準備にかかる時間も別。その準備は地上だけじゃなく、機内でのイニシャライズ作業もあり、それも所要時間はバラバラ。それに合わせる。

2010-12-03 18:02:34
米田淳一:JAM国際鉄道模型コンベンションDM10自由環状線 @YONEDEN

でもそれは逆算してやっていることで、ちゃんと予定時刻には全員揃い、P-3Cの後ろドアのところのスペースで機内で朝礼。これもものすごく簡潔。必要なことをきっちり確認し、さいごに機長がすこし「じゃあみんな頼むな!」みたいに言って、それで完了、任務に向かう。むしろ実際的でかっこいい。

2010-12-03 18:06:29
米田淳一:JAM国際鉄道模型コンベンションDM10自由環状線 @YONEDEN

父が進路相談していた私に「飛行機乗りたければ海自だぞ」と笑っていた。P-3Cは1機に12人、パイロットから音響の専門家、コンピュータエンジニアもいれば、重たいソノブイを手で装填する「身体でご奉仕」と冗談でいう肉体労働担当もいる。それがまとまらないとP-3Cはうまく働かない。

2010-12-03 18:09:50
米田淳一:JAM国際鉄道模型コンベンションDM10自由環状線 @YONEDEN

結局チームワークであり、そういうところだとゲームとかジャンプ漫画にもあるエッセンスは共通。だから彼らもそういうの好き。逆に私が子供の頃、RPGでフラグ立てるの見せたら、「なるほど、やることは一緒だな」と納得していた。手順を踏んで情報を収集、そして目標達成はフローとして同じという。

2010-12-03 18:13:59
米田淳一:JAM国際鉄道模型コンベンションDM10自由環状線 @YONEDEN

対潜戦では同じ海自、潜水艦と対潜哨戒機の間での交流もある。父は潜水艦も見せてもらったという。日本の潜水艦は基本対潜戦部隊の敵役だったが、旧海軍、それも佐久間艇長以来の伝統がある。優秀な潜水艦は優秀な対潜戦部隊を育てるのに役立つ。しかも今は待ち伏せ攻撃も得意。どちらもマジ強い。

2010-12-03 18:20:59
米田淳一:JAM国際鉄道模型コンベンションDM10自由環状線 @YONEDEN

だから中国なんかで潜水艦事故があると、事故る潜水艦じゃ対潜戦部隊も育たない、まだまだだなと思いつつ、でも同じ潜水艦乗りなんだ、救難要請あれば国際協力で海自の潜水艦救難艦派遣してもいいのに、といっても、中国はそれを嫌がった。人命と平和よりもメンツらしい。騎士道精神もない。

2010-12-03 18:24:11
米田淳一:JAM国際鉄道模型コンベンションDM10自由環状線 @YONEDEN

信頼関係築きたいならもっと交流して、見せるところ見せ合ってもいいのにと。別に海自は見せたところで奪われない揺るぎない技量を持っているのだ。性能を見せるのは論外だが、見せ合うことでお互いが不信と敵意ではなく、同じプロとしてのスマートさを理解し合えば、緊張が暴走にならないのに。

2010-12-03 18:31:09
米田淳一:JAM国際鉄道模型コンベンションDM10自由環状線 @YONEDEN

昔はおおらかだったので、そんなP-3Cの機内で、長時間の任務の間の緩急が。捜索哨戒海面への行き帰りでは仕事が無い者は昼寝、機内後ろでは機械が故障しないと出番のない者が機内でホットプレートで焼きそばを焼いて皆に振舞ったり。機内でクリスマスや正月を迎えることもあり、ケーキも食べたと。

2010-12-03 18:36:32
米田淳一:JAM国際鉄道模型コンベンションDM10自由環状線 @YONEDEN

パイロットでさえも優秀な自動航法操縦があるので暇になるP-3C。地上で綿密に準備すれば離着陸と不測の事態以外は余裕があるので、お菓子(特に「おっとっと」が皆好きだった)を食べつつ異常に備えた。また昔は機内での喫煙もできロッキードの社紋入りの灰皿もあった。父の宝物にもなった。

2010-12-03 18:40:55
米田淳一:JAM国際鉄道模型コンベンションDM10自由環状線 @YONEDEN

父の仕事はその「準備」の指導もあった。先を読み、先手を打つ。地上でできることはそこでやり、できるだけ空中で慌てないようにと。だからそれがうまく行けば空ではP-3Cの機内は長閑そのもの。父は「無人機でもイケルかもなあ」などと。でもP-3Cの後継機は有人機となったのは周知のとおり。

2010-12-03 18:44:59
米田淳一:JAM国際鉄道模型コンベンションDM10自由環状線 @YONEDEN

P-3Cの良さはその機内スペースの余裕、電力の余裕、そしてプログラマブルな機器だった。今はファームやドライバを更新できる機器が民生品に多いが、P-3Cもそうやって中身が更新されてきた。その発送の先にF-2のレーダーもFCS-3もある。先に準備しあとから訂正できるのは実に便利。

2010-12-03 18:49:40
米田淳一:JAM国際鉄道模型コンベンションDM10自由環状線 @YONEDEN

自衛隊でも民生品の利用が始まるのだが、父はそれも大いにすすめるべきと言っていた。大して変わんないのに「錨のマーク」付けた途端に2倍3倍の値段ってぼったくりだよと。装備開発では市場でしのぎ削り合っている民生品の競争のほうがずっと厳しい。防衛部門の競争はぬるすぎとご立腹であった。

2010-12-03 18:54:03
米田淳一:JAM国際鉄道模型コンベンションDM10自由環状線 @YONEDEN

そして無人機ではなかったP-3Cの後継機、父は51空で見ることができた。しかしCADデータのデジタルモックアップだけ。でも父はそれで十分と納得し、満足していた。このいまどき木型模型でやいのやいのやっても、という。艦船のほうは今でも木型模型をやっている。文化の違いかもしれないと。

2010-12-03 18:57:38
米田淳一:JAM国際鉄道模型コンベンションDM10自由環状線 @YONEDEN

艦船なんかなんでいまどきあんな乗員がうじゃうじゃいるんだろうな、民間船なんか頑張って自動化して少人数でやってるのに。それに「システム艦」って言ったって「あんなの全然システムじゃない」。そういう辛口の父も、イージスシステムにはなるほどと思うところがあるらしい。

2010-12-03 19:05:49
米田淳一:JAM国際鉄道模型コンベンションDM10自由環状線 @YONEDEN

以上、元海自飛行機乗りの父がキムタク実写ヤマトに期待しているのがちょっと心配になりますの追伸終わり。TL汚しすまんでした。ちなみに父の酒飲み話もあるので資料扱いとかしないように。保秘で問題はないけど(父はそういうところはちゃんと守っている)、つまんない無粋な真似はやめてと。以上。

2010-12-03 19:10:49
米田淳一:JAM国際鉄道模型コンベンションDM10自由環状線 @YONEDEN

とはいえトギャるぐらいは大丈夫です。ただ、時々いるのね、どこそこが正確じゃないとか、どこそこが秘密なんじゃないかといらん事いう粘着が。父が言うには、秘密というのは墓場まで背負う重荷だから、知りたがってむやみに増やすのは馬鹿馬鹿しいし、それを子に課したりはしないよ、という。

2010-12-03 19:17:51
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