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@c_yu_n @HaKo_723 透】「……動かせるか?感覚は、どんな感じ?」そして今度は彼の足を見ながらじっとりと、たしかめるように問う
2014-11-26 15:24:40![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
狭間】さする手の感触が止まる。「……、」伏せるようにしていた目を上げ、隣の相手の真剣な表情を見、それからすっと背後に首を回すように振り返って、
2014-11-26 15:26:21![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@kasutado_tis @HaKo_723 狭間】「……足が、ある。」あたりまえの、そしてとても久方ぶりの感覚をどちらにとも取れない向け方で伝え、それから、「……、」太腿ごと、足を僅かに持ち上げて、座ったままトン、トン、と、つま先で足踏みしてみせる。
2014-11-26 15:29:04![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
狭間】重いように感じるのは、筋力が衰えているからだろうか。なかったものがある感触は、戸惑うような、けれどそれがあたりまえであるような感覚をもたらして、どちらが強いのかはまだよく分からない。
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狭間】「………、」けれど、ほんの僅かな動きだが…この半年、ありえなかった動きだ。改めて自分のその動作に目を落として、静かに息を呑むような心地になる。
2014-11-26 15:33:04![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@c_yu_n @HaKo_723 透】どうだ?と聞いて返ってきたのは意外な、当たり前だろうとも思う言葉。けれどその当たり前がなくなって、もどってきた透のしらない感覚を実感したのだ、と思い顔がほころぶ。「なら、よかった。」しんみりと、肩の荷を下ろすように言葉を落とす。それから、
2014-11-26 15:32:52![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@c_yu_n @HaKo_723 透】動いた足を見て問題がないようだ、と判断しほっとして最初よりも少し姿勢を崩して座り直す。「しばらくして、なにか異変があればまた来てくれ。動かせるなら、とりあえずはもう大丈夫だ」
2014-11-26 15:34:19![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@HaKo_723 @kasutado_tis 狭間】よかった、と言ってくれる、杉浦透の声も耳に入っている。けれどそれよりもまず、「………、」隣からきこえた呼ぶ声に、呼ばれて目を上げる。そちらを見る。
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@c_yu_n @kasutado_tis ハイジ】目が合って、続く言葉が思いつかなくて、鼻の奥がツンとする。「・・・・、そか」それしか今は口から上手くでてくれない。
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透】二人の様子を、心持ち離れたところから見ているような気分で眺める。これだ。この光景が、透は好きなのだ。それが見たいがために様々な人を直してきたのだ、と、透もじんわりと、実感するように嬉しさが込み上げてくる
2014-11-26 15:39:22![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@HaKo_723 @kasutado_tis 狭間】「……うん、」声を聞き、瞼を伏せるようにして、しみじみと笑う。ゆっくりと、静かに、ゆっくりと瞬きをする。…それから再び、背を撫でてくれた少年のほうへ、向き直る。
2014-11-26 15:40:01![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@c_yu_n @kasutado_tis ハイジ】笑う表情に、嬉しいようななんで笑ってるんだよと呆れるような心地で記憶に刻みこむ。
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@kasutado_tis 狭間】「…ありがとう、ございます、」さっきのありがとう、とは、似ているようで違う形の、実感の深い感謝を、まず伝える。しずかで大きい印象を受ける笑みの表情を見てから、深く、頭を垂れる。
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@c_yu_n @kasutado_tis ハイジ】それを見て慌てて、ということもなく、彼と同じようにその少年の方へ向き、一度頭を垂れる彼の頭をチラ、と見てから「ありがとう」こちらからも礼を言う。
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@c_yu_n 透】「いいや。」静かに首をふって答え、長い両袖に手を突っ込む。「二人の笑顔が見られた。こちらは、それだけで十分です」彼の形式に従って丁寧に言い、頭をもたげる。そのあと顔をあげ、茶化すようににかりと笑った
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@kasutado_tis 狭間】なんだか深く、丁寧な口調でつづられたその言葉と、年相応というより大人びたような、けれど明朗な笑みを胸の底に焼き付ける。
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@HaKo_723 @c_yu_n 透】「こっちこそ、いいものを見せてもらった」もう一人の少年にも落ち着いて言い、縁側の縁にたつ。「茶をいれてくる。二人とも、話もしたいだろうしゆっくり話していくといい」
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@kasutado_tis @HaKo_723 狭間】「…」傍らの相手にも、すっと立ち上がった少年にも、咄嗟に返せる言葉がない。少し見上げるように目で追う。何を口にしよう、と思ってぼうっとした頭に浮かべようとしながら、彼がそのままこの場を一時去るなら、それを見送る形になるだろう。
2014-11-26 15:52:21![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@c_yu_n @HaKo_723 透】言葉は帰ってこない。都合は悪くないのだろう、と判断しもう一度深く笑みを二人に向けてから静かに歩き出し、奥へ消えていく。その場に残されたのは二人だけ。静かな空間に、ひらりと桜の花びらが舞う
2014-11-26 15:53:58