【ニンジャスレイヤー二次創作】【ベイルド・ドゥーム・アンダー・ギター・サウンド】#4（完結）

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その中に一人、足を止めるものが居た。ボブである。「ハァーッ！ハァーッ！」ボブはクリアになったニューロンで訝しむ。（（あれは…？あの赤黒のニンジャは…！？））「イヤーッ！」「イヤーッ！」目の前で翻訳チームとイクサを繰り広げるニンジャをボブは初めて見る。そのはずだ。20

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だがボブはその赤黒のニンジャを見ていると懐かしさのようなものを感じる。まるでよく知る古い友人を見ているような。「ハァーッ！ハァーッ！」ボブは逃げることもせず、考え続ける。（（僕はあのニンジャを知ってる？ナンデ？…ニンジャ？））21

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「ハァーッ！ハァーッ！」ボブは服の下から原典の最新刊を取り出す。いつもお守りとしてニンジャ頭巾布で体に巻きつけているそれを。そして気付く。これはニンジャ小説だ。「ハァーッ！ハァーッ！」現代を舞台にしたニンジャ小説。主人公は悪のニンジャを殺すため、戦い続ける。22

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「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」目の前の赤黒のニンジャは戦い続ける。悪のニンジャを殺すため。ボブの荒い息が止まった。23

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そして足を踏み出した。「ぼ…僕は知ってるぞ！あの人は！あのニンジャは…！」そしてその続きを言う前にステージから足を踏み外し、転げ落ちた。床に頭を直撃させたボブは気を失い、会場に散乱するケジメ死体と同様に風景の一部となった。24

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「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーの中段蹴りをバック転回避し着地したエルフニンジャは、更にやや後方に構えるトランスレイターと共に周囲を見渡した。もはや生きたニンジャヘッズは一人も残っていなかった。「貴方！自分がやったことがわかっているますか？」「ニンジャの思い通りにはさせぬ」25

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エルフニンジャはカラテ警戒しつつトランスレイターを宥める。「やめろトランスレイター＝サン。この者の方がカラテは上だ」「よくわかっておる」エルフニンジャが続ける。「我々に貴方と交戦する意思はない。いや、我々は貴方と敵対するつもりはない」「ほう」「我々は貴方の活躍を見てきた」26

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「あえて言うなら我々貴方の…ファンだ。最初は単なるファン活動のつもりだったのだ。逸脱した事は認める。これが貴方の認めるやり方ではないと、今ならわかる」「…」「どうか今回は見逃して欲しい。我々は反省し、犠牲にしてしまった者を弔う。このような活動はやめる。どうか」27

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「…どうしてここを知ったと聞いたな」「…？」「企業に潜み、研修と称し社内の人間を洗脳するニンジャが居た。名をショテンイン」トランスレイターがうろたえた。「ショテンイン＝サンだと…！？」「そう、オヌシらの仲間。奴もオヌシのようなふざけた口調だった。インタビューが大変だったぞ」28

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ニンジャスレイヤーは無人の会場内を見渡した。散乱するケジメ指。ケジメ四肢。首無し死体。生首。彼は翻訳チームへと顔を向けた。その右目は収縮し、センコめいて赤く燃えていた。「オヌシらもショテンイン＝サンと同じジゴクに送ってやろう。ニンジャ殺すべし」29

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「アレー？止まっちゃったァー！」「５０回目？５１回目？これは最長記録ですよ！」インターネット上では二人のニンジャヘッズが踊り続ける欺瞞的動画が５２週目にして中断。画面には「信号ではありません」と表記されている。トランスレイターがイクサに集中するため、接続を切ったのだ。30

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「翻訳チーム寝ちゃったかな？」「ＣＭ連続再生イベント！楽しかったです！」「オツカレサマドスエ！」トゥイッター上のニンジャヘッズ達は巧妙かつ執拗な連続再生にニューロンを傷つけられ、もはや自分達が参加していたのが何のイベントだったのかも思い出せぬ。31

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だが彼らはライブ会場に来なかった、それだけでも幸せである。真のニンジャ性の恐怖を味わわずに済んだのだ。サイオー・ホースのコトワザである。たとえこの後半年間、夢を見るたびにニューロンに欺瞞的動画が流れ続けるとしても、だ。32

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ライブ会場内にももはや音楽は流れない。機械奏者達は煙を噴き上げ沈黙している。圧縮された空気とスモーク、そしてアトモスフィアが緩やかに出口へと流れ出る中、３人のニンジャが対峙する。赤黒のニンジャはジュージツを、そして相対するプラチナ装束と黒ＬＥＤ装束のニンジャもカラテを構える。33

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「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーがカラテシャウト共に地面を蹴り、翻訳チームへと迫る！散乱するケジメ指が反動で宙に浮く！「来るぞッ、殺す気でかかれ！トランスレイター＝サン！イヤーッ！」「何も問題ありません！イヤーッ！」エルフニンジャとトランスレイターは同時に地面を蹴り、前へ！34

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ニンジャスレイヤーは地面すれすれの姿勢からジャンプパンチ！「イヤーッ！」襲われたのはトランスレイターだ！「イヤーッ！」トランスレイターは咄嗟にサイバネ腕をクロスしガード！全身に巻きつくＬＥＤ文字盤に「カラテ」「カラテ」「重点」「ヒサツ」「多様性」「カラテ」と表示される！35

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その横からエルフニンジャがインターラプト！「イヤーッ！」「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは振り下ろされる袈裟斬りカラテチョップをカラテガード！「イヤーッ！」「イヤーッ！」そのままエルフニンジャがニンジャスレイヤーをカラテ攻防に持ち込む！トランスレイターはバック転で距離を取る！36

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「イヤーッ！」「ヌゥーッ！」エルフニンジャがケリ・キックでニンジャスレイヤーを突き飛ばす！宙を飛ぶニンジャスレイヤーに両手を向けるトランスレイターのＬＥＤ表示が「ケジメ」に満たされる。「今な！イヤーッ！」ＺＡＰＺＡＰＺＡＰ！天井より無数のケジメギロチンがワイヤー射出！37

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「イヤーッ！イヤーッ！イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは天井各位から迫り来るケジメギロチンを巧みなフットワークとカラテチョップで粉砕！タツジン！「イヤーッ！」だがケジメギロチンはいくら破壊しようとカラテシャウトと共に続々現れ、ニンジャスレイヤーを翻訳チームへと近づけさせぬ！38

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ケジメギロチン破壊するニンジャスレイヤーの視界を回避したエルフニンジャが、突如目の前に出現！「イヤーッ！」中腰からの強力なカラテストレート！「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは腕をクロスさせ胴体ガード！その時、エルフニンジャが光った！「ヒカル・ジツ！イヤーッ！」「グワーッ！？」39

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ニンジャスレイヤーはとっさに双眸を閉じるも、瞼を透過した激しい至近距離発光がニューロン衝撃を与える。「ヌゥーッ！」ニンジャスレイヤーに生まれた隙を狙い、トランスレイターが両腕サイバネ展開した機関銃を連射！「イヤーッ！」「グワーッ！？」ＢＲＡＴＡＴＡＴＡＴ！40

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更にそこへエルフニンジャがカラテラッシュを叩き込む！「イヤーッ！」「グワーッ！」「イヤーッ！」「グワーッ！？」弾き飛ばされたニンジャスレイヤーにケジメギロチン飛来！「イヤーッ！イヤーッ！」ニューロン活性を取り戻したニンジャスレイヤーはこれを破壊、２連続側転で距離を取った。41

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エルフニンジャがカラテ警戒を怠らずに告げる。「この会場は翻訳チーム研修のために改造されたいわばドージョー。いくらニンジャスレイヤー＝サンと言えどモスキート・ダイビング・トゥ・ベイルファイアだ」トランスレイターも続ける。「フーリンカザンな！カラテ倍数は３億倍！」42

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トランスレイターの３億倍という表現には明らかにに誇張が含まれるが、実際このライブ会場内でのイクサは翻訳チームの実力を遥かに底上げしていた。彼らのコンビネーション的なイクサ自体も、二人の作家が一つの作品を作り上げる光景めいてカラテ、ジツ、テックを組み合わせており油断が出来ぬ。43

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「天井からカミソリを吊り下げればフーリンカザンが。楽なものだ」ニンジャスレイヤーは動じずに返す。「ならば越えてみよ！イヤーッ！」エルフニンジャがカラテを仕掛ける！「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーが応戦！「イヤーッ！」トランスレイターがケジメギロチン作動！44