【真荒】あなたのいる場所7

弱虫ペダル二次創作 腐向け 真波×荒北
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ひな@復旧中 @newgibbousmoon

【真荒】あなたのいる場所7 受験生には、惚れたはれたの恋愛沙汰に現をぬかしているような暇はない。 それはわかる。 (受験生って忙しいもんね) 荒北を見ると寸暇を惜しんで勉強をしているから、納得できる。 でも、それじゃあ、受験生を好きになってしまった場合、どうすればいいのだろう?

2014-11-30 15:37:37
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 真波にとって、それは重大な問題だった。 (だって、終業式まであとちょっとしかない) 旧図書館で荒北が勉強をするのは、終業式までだと言っていた。 (とりあえず告白?うん。告白しないとだめだよね) だが、受験生の邪魔になってはいけないのだ。

2014-11-30 15:42:33
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 荒北が真波の告白ごときでどうにかなる人間だとは思わないが、何たって大事な時期なのだ。 (大学受験が一番大変だって言うし) これまで、そういった問題を何なくでクリアしている真波にはその大変さがよくわからなかったが、だからこそ尚更大変そうに思えた。

2014-11-30 15:45:00
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon そこで、真波が相談相手に選んだのは年上の頼りになる先輩……女の子のことは俺に聞けと豪語する東堂だった。 あんな風に言うのならきっと恋愛経験も多いのだろうな、程度の認識である。 相手は女の子じゃないが、人を好きになるのにたいした違いはあるまい。

2014-11-30 15:48:50
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon そのあたり、真波山岳という人間はなかなかの大物だったといえよう。 「あのね、東堂さん」 「なんだ?真波」 「受験勉強で大変な人を好きになっちゃったんだけど」 「えっ、ええっ」 「何驚いているんですか?」 「おまえの口からそんな言葉がでるなんて」

2014-11-30 15:51:15
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「何でですか」 「おまえは俗世にはまったく興味がなかったではないか」 「俗世って何ですか」 「今までのおまえは、自分の見たいものしか見てなかっただろう。それが、何をどうしたらそんな顔をして、好きな人ができたなんて言ってくるのかと思ってな」

2014-11-30 15:54:26
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon さすがに東堂は真波という人間の本質を理解していた。 「今もあんま変わってないよ、オレ」 大事なのは自転車で、好きなのは山と坂。 (……それと、荒北さん) 何がどうというわけではない。ただ、好きなのだ。 一緒にいたいと思う。 (それは叶わないけど)

2014-11-30 16:09:05
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「いいや、変わったな。……人間らしい顔になったじゃないか」 クックックと東堂が笑う。 「東堂さんこそ、よくわからないこと言ってるから!」 「で、山バカのおまえをただの男にしたのはどこの誰だ?受験生ということは委員長ちゃんじゃないのだな」

2014-11-30 16:11:08
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「委員長?違うよ。えっとね……えっと……やっぱ、内緒」 荒北が好きなのだと言おうとして、その言葉を飲み込んだ。 本人に伝える前に、荒北と近しい……ケンカするほど仲の良い東堂に言ってしまってはどんな風に耳に入るかわからない。 (フラれるのはいい)

2014-11-30 16:13:30
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 楽観的な真波だって、自分が好きだと言って、荒北が「ああ、オレもだよ」なんて言ってくれるなんて思っていない。 そもそも、荒北があっさりそんなこと言ったら、脳の病か荒北が偽者なのかどっちかを疑う。 (オレ、絶対そういう意味では荒北さんの眼中にないし)

2014-11-30 16:15:15
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon だから、フラれるのは覚悟の上なのだ。 「悪ぃけど、オレにはその気はねーから」とか「バァカ、今、んな暇があるか!」とかそんな風にきっと言われるだろう。 それはいい。 どうせ、真波に諦める気はないから、一回や二回、いや十回や二十回フラれるのは想定内だ

2014-11-30 16:18:26
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 問題なのは、それが自分じゃない誰かの口から伝わることだ。 東堂の口が軽いとは思わない。 でも、真波を傷つけるなよ、とか言って、真波に甘い東堂の親心が発揮されてしまって、真波が好きだということを荒北に伝えてしまったら困るのだ。

2014-11-30 16:29:56
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 東堂には、そういうおせっかいと言うか過保護な一面がある。 (東堂さん、オレのこと、手のかかる変なイキモノだと思ってるようなとこあるし) とりあえず、普通の人間扱いされていなかったことは、さっきよくわかった。 (それは東堂さんでも許せないし)

2014-11-30 16:33:32
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon だから、東堂にも相手は内緒だった。 「……真波が俺に隠し事をするなんてな」 「東堂さん、いつからオレの親になったんですか」 「……わりと、最初から?」 軽く首を傾げる様子がイヤになるほどサマになっている。 「はいはい、おかーさん、だいすきー」

2014-11-30 16:38:13
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon ぴくり、と東堂の眉が動く。 「真波、そこはお父さんだろう」 「え、東堂さんは小うるさいお母さんでしょう」 父というのなら、イメージは福富だった。 頼りになるのは荒北だけれど、荒北には親というようなポジションになってもらいたくない。

2014-11-30 16:41:22
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「……いいや、そこは頼りになる父、と、言うべきだ!!」 びしっと指をさしてくる。 「お父さんは福富さんかな」 わりと無神経なとこも父親ポジションかな、と思う。 自分を棚にあげてよく言うという発言だったが、そこはご愛嬌というものだ。

2014-11-30 16:42:55
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「フク?フクが父で俺が母だと?いやだ、俺が父で母は巻ちゃんだ」 (……うわ、面倒くさいとこにいっちゃったよ) 面倒くさい人間のおかしなスイッチをいれてしまった事に溜息をついた。 「巻島さんが嫌がりますよ」 「そんなことは……」 「嫌がります」

2014-11-30 16:45:32
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon きっぱりと言い切った。 「でもだ、それにしてもフクはないだろう、フクは」 「だって、部長と副部長じゃないですか」 真波の指摘に、東堂はふむとちょっとだけ考える様子をみせる。 「……それもそうか。まあ、今は泉田と黒田だがな」 「そうですけど」

2014-11-30 16:47:10
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon オレにはやっぱり、福富さんと東堂さんって印象強いんで、というと東堂は困った奴だというような顔でわらった。 (あ、戻った) 良かった、と内心、小さく安堵する。 「まあ、いい。で、話を戻そうか」 東堂は真波に真顔で向き直った。 「あ、はい」

2014-11-30 16:50:44
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「あのね、受験生の人を好きになったんだ。けど、いきなり好きとか言ったら迷惑になるかなぁ?」 「……好きだと言ってどうするんだ?」 「?????東堂さん、何言ってるの?好きって言うってことにそれ以外の意味があるの?」 真波は首を傾げた。

2014-11-30 16:56:09
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「……何を言ってるの?はオレのセリフだ」 東堂が額を押さえて、はぁと深い溜息をつく。 「そこは普通、好きだからつきあってください、とかではないのか?真波よ」 「え?だって受験生だからそんな暇ないと思うんだけど。それに、卒業しちゃうんだよ?」

2014-11-30 16:57:54
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「いったい、おまえは何がしたいのだ」 「えっと……気持ちを伝えたい。好きだって言いたいんだけど、受験生の人には迷惑にならないかなって……オレ、そういうのよくわからないから。でも、あの人の邪魔はしたくないんだ」 これ以上の迷惑はかけられない。

2014-11-30 17:02:43
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「あのね、オレ、あの人に何かして欲しいとかはないんだ。ただ、好きなんだ。オレが好きってことを知って欲しいし、フラれるっていうか相手にされないだろうなっていうのはわかってるけど、でも、好きなんだ」 「……あのな真波」 「はい」 真波は姿勢を正した。

2014-11-30 17:04:30
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「とりあえず、伝えて来たらどうだ?」 東堂は生ぬるい笑みを浮かべて言った。 「え?」 「そうすればおまえも落ち着くだろう。……好きなだけで何も求めないと言うのなら、別に相手が受験生であっても伝えて迷惑になることはあるまい」 「ほんと?東堂さん」

2014-11-30 17:11:22
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「ああ」 東堂はにこやかな笑顔で大きくうなづいた。 「うん。わかった。ありがと!お母さん」 真波は嬉しくなって思わず笑う。 「……お母さんはやめなさい、真波」 東堂は軽く目を見開き、そして、不思議な表情で笑みを重ねた。 「はーい」

2014-11-30 17:13:36