イラストレーター・中村佑介氏の『イラスト講座⑲』“アートはイラストに成り得るか?”編(2014.12.10)

イラストレーター・中村佑介氏の『イラスト講座』をまとめました。
20
中村佑介のイラスト教室 @kazekissa02

【エンドウ講座⑳】つまり背景を暗くするなり、モチーフ自体を明るくするなり、その色の差を激しく開けることによって、主役を他のものより目立たせていた訳です。これは舞台のスポットライトでも同じ役割を果たします。明らかに右2人が主役ですよね。 pic.twitter.com/2t7B3IWV8x

2014-12-11 00:59:43
拡大
中村佑介のイラスト教室 @kazekissa02

【エンドウ講座21】かなり極端にするとこういう事。エンドウ作品において、先ほど主役に抜擢した少年と鳥以外のモチーフを、脇役と見なし、グレーを重ねてみました。元の絵よりは「どこを見たらよいか」がパッと見て解りやすくなりましたよね。 pic.twitter.com/ryzsaTJPN7

2014-12-11 01:14:15
拡大
中村佑介のイラスト教室 @kazekissa02

【エンドウ講座22】先程のはあくまで例として極端にしましたが、それだとあまりに退廃的なイメージになり過ぎ、世界観を壊してしまうのと、複合体(コラージュ)としての面白さも残したいので、本当はこれくらい薄い色を後に置く方が良いと思います。 pic.twitter.com/XlFCEKo8Ai

2014-12-11 01:16:56
拡大
中村佑介のイラスト教室 @kazekissa02

【エンドウ講座23】そしてせっかくの主役(少年/鳥)を遠くからでも見えるように、少し大きくし、真ん中の方に寄せてやりました。先程の"色の差"だけでなく、"大きさ"や"配置"でも主役を目立たせる事は出来ます。 pic.twitter.com/n6IMKWvrSl

2014-12-11 01:25:35
拡大
中村佑介のイラスト教室 @kazekissa02

【エンドウ講座24】あとはモチーフの形をしっかりと調べ、描き込むことによって、主役をより目立たせる方法もあります。今回は鳥の羽根のカタチを本物と同様に整えて細かく描き込み、目も追加しました。 pic.twitter.com/OUUo9qIxZj

2014-12-11 01:33:12
拡大
中村佑介のイラスト教室 @kazekissa02

【エンドウ講座25】いかがでしょう。このわずか3工程を経ただけで、元の絵より、特に主役が見やすくなり、遠くから見ても興味を持って「近づきたくなるような絵」に変化しました。よく芸人さんの言う「掴み」。アートにもイラストにも必要です。 pic.twitter.com/3V0qpNESdM

2014-12-11 01:40:00
拡大
中村佑介のイラスト教室 @kazekissa02

【エンドウ講座26】もうひとつ集合体(コラージュ)作品として例に挙げたいのが、芸人・ジミー大西さんの絵。ピカソ「ゲルニカ」と比べると、極彩色のめまぐるしい生命力をより強く感じますが、同じ「牛」が主役に置かれていますね。 pic.twitter.com/SoILXUMikE

2014-12-11 02:11:56
拡大
拡大
中村佑介のイラスト教室 @kazekissa02

【エンドウ講座27】ジミー大西さんの作品も、モチーフや色が多いながらも、配色や大きさ、構図によってきちんと主役が主役として見えますが、より面白いのが、集合体が更に別のモチーフに見えるコチラの一連の作品。これは亀、魚ですね。 pic.twitter.com/6vm4EZXv9w

2014-12-11 02:15:41
拡大
拡大
中村佑介のイラスト教室 @kazekissa02

【エンドウ講座28】先程は、集合体の中で"主役"と"脇役"を分けましたが、もう集合体全部を"脇役"(あくまで模様)とし、それが集まった一つのカタチこそ"主役"とする、だまし絵でもよく使われるユニークな方法です。面白いですよね。 pic.twitter.com/nSGamqkxQv

2014-12-11 02:20:28
拡大
拡大
中村佑介のイラスト教室 @kazekissa02

【エンドウ講座29】ならば、エンドウさんの今回の作品は、全体では何のカタチに見えてくるでしょうか? リボン、ちょうちょ…蝶ネクタイなんかいかがでしょう。そうすると、描かれている少年と、大人の差が出て面白いかもしれません。 pic.twitter.com/eVMaqKUvdY

2014-12-11 02:26:04
拡大
拡大
中村佑介のイラスト教室 @kazekissa02

【エンドウ講座30】まずは蝶ネクタイの部分にエンドウさんの絵をそのまま持ってきます。おー、なかなかいいですね。(※ここでは写真との合成をしていますが、実際の作品ではご自分のタッチで描き直して下さいね) pic.twitter.com/sFY73QB8zH

2014-12-11 02:31:59
拡大
中村佑介のイラスト教室 @kazekissa02

【エンドウ講座31】次にシャツの部分に蝶ネクタイの影を付けてやります。こうして絵に現実感を出すことによって、「ほんとにあるかも!?」と不思議な部分がより不思議で面白く感じられます。 pic.twitter.com/U1LPbrvVQZ

2014-12-11 02:35:34
拡大
中村佑介のイラスト教室 @kazekissa02

【エンドウ講座32】次に、コラージュ部分の色の割合が【白>赤】で、白い蝶ネクタイになってしまっているので、白いシャツとの差も出す為に「赤い蝶ネクタイ」に変更。こちらの方が、より"蝶ネクタイ感"は出ますね。 pic.twitter.com/pkGNiSIj2K

2014-12-11 02:39:54
拡大
中村佑介のイラスト教室 @kazekissa02

【エンドウ講座33】ただし赤一色で一体感が出過ぎると、コラージュ作品の面白みも無くなるので、ピンポイントでモチーフを白抜きします。あくまで"赤い蝶ネクタイ"なので、色の割合は【赤>白】で。これで「お、よく見ると何かある!」となります。 pic.twitter.com/C4739tSXbD

2014-12-11 02:43:09
拡大
中村佑介のイラスト教室 @kazekissa02

【エンドウ講座34】今のままだと、絵を上からただペタンと置いただけで、絵全体の面白みに欠けるので、次に襟を前に出してやりましょう。 pic.twitter.com/pIN9cHAbYF

2014-12-11 02:46:37
拡大
中村佑介のイラスト教室 @kazekissa02

【エンドウ講座35】少年の足が隠れてはもったいないので、そこだけ襟の更に前に持ってきます。こんな風に、絵(蝶ネクタイ)と背景(タキシード男)の階層に段階を付けることによって、一体感と現実感、またひとつの画面内での面白みが増してきます。 pic.twitter.com/itY13VvC9u

2014-12-11 02:50:30
拡大
中村佑介のイラスト教室 @kazekissa02

【エンドウ講座36】今のままでは、シャツの白と、蝶ネクタイの白に差がなく、どちらを見て良いのかわかりませんので、あくまで蝶ネクタイの主役感を出す為、背景のトーンを落とします(暗くする)。これで、少年の足がより前に出て見えますね。 pic.twitter.com/WMDSzPrzfK

2014-12-11 02:54:11
拡大
中村佑介のイラスト教室 @kazekissa02

【エンドウ講座37】コラージュ部分(蝶ネクタイ)は無機物が多く、あまりテーマの「生」部分は感じませんでしたので、最後に「生」の象徴として自然の背景を描いて終わりです。これで【社会と自然】や【大人と子供】というコントラストも出ました。 pic.twitter.com/kz925iIjYV

2014-12-11 03:05:28
拡大
中村佑介のイラスト教室 @kazekissa02

【エンドウ講座38】それでは元絵(上段:右)と、今回アレンジした絵(中段:左)を再び店頭に置いてみましょう。いかがですか。好みは置いときまして、遠くから見ても何かしらは伝わり、近づいてじっくり見たくなるのは、後者の方が多いと思います。 pic.twitter.com/Ab1Q4Ij5oF

2014-12-11 03:20:48
拡大
中村佑介のイラスト教室 @kazekissa02

【エンドウ講座39】これがイラストレーションの醍醐味です。答えから申しますと、エンドウさんの絵はアート作品としては成立するかもしれませんが、イラスト作品としてはまだ「弱い」と言った印象です。せっかく良い野菜を売っているのに、呼び込みの声が小さい八百屋さんのような。

2014-12-11 03:29:18
中村佑介のイラスト教室 @kazekissa02

【エンドウ講座40】以上の2パターンのアレンジはあくまで「僕ならこうする」という例ですが、今回お話した「テーマの整理(主役/脇役)」と「遠くても見やすい」を考慮すれば、きっとエンドウさんなりのもっと良い答えが見つかるはずです。

2014-12-11 03:30:54
中村佑介のイラスト教室 @kazekissa02

【エンドウ講座41】そしてそんな意識のコツだけで、エンドウさんの作品も世界観もそのままに、"イラストレーション"として成立する作品になる事は可能ですので、色々試してみて下さいませ。もう十分に「絵の上手さ」はありますので、あとは「見せ方の上手さ」だけですね。

2014-12-11 03:32:55
中村佑介のイラスト教室 @kazekissa02

【エンドウ講座42】長々となりましたが、以上を持ちまして、エンドウさんのアート作品に対するイラスト講座を終わります。遅くまでお付き合い下さった皆さまも、本当に御苦労さまでした。ご清聴ありがとうございました。次はエンドウさんの作品が書店で見れること、楽しみにしています。(おわり)

2014-12-11 03:36:44

▲以上、今回の『イラスト講座』終了です。