「ジ・アフターマス」 #2
ナムアミダブツ!ガントレットがスコープを赤外線モードに切り替えた時には、既に勝負はついてしまっていた。もはやその場に残されていたのは、横たわるセンチピードの死体のみである。
2010-11-13 22:02:02センチピードの死体のみ?ウカツ!ガントレットはニンジャスレイヤーの姿を追おうとした。いない。見失った!視界が狭い!ガントレットは慌てて、特殊メンポに固定したスコープを装備解除した。「アイエエエエエ!」
2010-11-13 22:06:23ガントレットの口から情けない悲鳴が漏れた。スコープを外したガントレットの眼前にニンジャスレイヤーが立っていたからだ。なんたる速度!確かにガントレットは索敵のセオリーを誤り、いたずらに時間を浪費してしまった。だがドラゴン・ゲンドーソーを担いだまま、絶壁を駆け上がったとでも言うのか!
2010-11-13 22:30:22「ドーモ、はじめまして。ニンジャスレイヤーです。こちらはドラゴン・ゲンドーソー=センセイです」ニンジャスレイヤーが挨拶した。ナムサン!「ドーモ、ハジメマシテ、ガントレットデス」「イヤーッ!」「グワーッ!」
2010-11-13 22:37:09ニンジャスレイヤーの右手がガントレットの首を鷲掴みにし、吊り上げた。ガントレットは両足をむなしくばたつかせた。ニンジャスレイヤーはガントレットを睨みつけた。「幾つか訊いておく事がある」「話スコトハ何モナイ……」「イヤーッ!」「グワーッ!」
2010-11-13 22:46:18ニンジャスレイヤーのマンリキのようなニンジャ握力が、容赦無くガントレットを締めつける!「答えろ。答えるなら、カイシャクしてやる。黙っているなら、痛めつけてから殺す」「グワーッ!」
2010-11-13 22:48:55「答えろ。貴様らはソウカイヤのニンジャか」「コタエルモノカ…グワーッ!」ニンジャスレイヤーのニンジャ握力が強まった。「その質問は不要だ」担がれたドラゴン・ゲンドーソーが口を挟む。「そやつのメンポマスクの額を見よ。クロスカタナの意匠。それはソウカイヤのエンブレムだ」
2010-11-13 23:03:58「なるほど。では次だ。この地に他のニンジャはいるか」「コタエルモノカ…グワーッ!」ニンジャ握力がさらに強まる!メンポマスクのゴーグル部分のガラスが割れた!「他のニンジャはいるか」「イ……イナイ」「イヤーッ!」「グワーッ!」「本当か?」「ホント、ホントウダ!」
2010-11-13 23:08:11「信用できんな」「バンザイ・ニュークデ、オマエタチハ死亡シタモノト判断サレテイル」ガントレットはメンポマスクの空気孔からヒューヒューと息を漏らす。「センチピード=サント俺ハ、ヘルカイト=サンニ知ラレズ、オ前ラノ首ヲトリ、手柄ヲ得ヨウト……」
2010-11-14 02:02:36ニンジャスレイヤーとドラゴン・ゲンドーソーは顔を見合わせた。「……こやつの声音に嘘の響きは無い」ゲンドーソーが厳かに告げた。「ホントウダ。オレタチ2人ハ、ソモソモ別ノ暗殺任務デ、コノ場所ニ……」
2010-11-14 02:13:08「アバーッ!」背後の破砕音、そして絶叫に、ニンジャスレイヤーは素早く振り返った。「アバババババ、アバババーッ!」ナムアミダブツ!それは何たる異形か!
2010-11-14 02:18:39背後の地面を割って飛び出したのは、多足の怪物……いや!どうやらそれはセンチピードである!胸から下が消失し、肋骨の下から、金属製のムカデ状サイバネティック・多足胴体が伸びている。それは素早く地面を這い、両手の爪状武器でニンジャスレイヤーに襲いかかった!「アバーッ!」
2010-11-14 02:22:31「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは片手でスリケンを3枚立て続けに投げつけた。「アバーッ!」センチピードは飛来するスリケンをかわし、這い進む!そのメンポはむごく砕け、既に致命傷を負っている事をうかがわせる。「道連れだニンジャスレイヤー!俺と一緒にバラバラのガンモになりやがれーっ!」
2010-11-14 02:27:18「Wasshoi!」ニンジャスレイヤーは再びドラゴン・ゲンドーソーの体を天高く放り投げた!そして、突然のアンブッシュで地面に投げ出され、匍匐で逃れようとしていたガントレットの首筋をつかむ!「アイエエエ!」
2010-11-14 02:31:10「イヤーッ!」迫りくるセンチピードに向けて、ニンジャスレイヤーは力任せにガントレットの体を投げつけた!「アバーッ!」「アイエエエエ!」両手の爪状武器でニンジャスレイヤーを捕らえようと掴みかかったセンチピードは、かわりにガントレットを受け止めていた。「なにーっ!?」
2010-11-14 02:38:31「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは垂直に高く跳び上がった。空中で、ドラゴン・ゲンドーソーを抱きかかえる。眼下ではガントレットと組み合ったセンチピードが狂ったように叫んでいた。「畜生!畜生ーっ!ダメだーっ!」次の瞬間、センチピードの時限式自爆爆弾がタイムリミットを向かえ、着火!
2010-11-14 02:41:53「「サヨナラ!」」サイバネティック・ムカデ・ボディとギリーニンジャ装束、二人の異形ニンジャは断末魔の叫びを同時に発し、炎に包まれながら爆発四散した。
2010-11-14 02:44:59爆風が散るのを待ったかのような絶妙のタイミングで、ニンジャスレイヤーはゲンドーソーを抱えたまま、ひらりと着地した。「……ニンジャ殺すべし」ニンジャスレイヤーは低く呟いた。
2010-11-14 02:50:25「センセイ、ご無事で」「フジキド……見事であった、ゴ、ゴホッ!ゴホッゴホッ!」緊張の糸が切れたか、ドラゴン・ゲンドーソーは激しく咳き込んだ。ニンジャスレイヤーはイラクサの生える断崖上を見回した。
2010-11-14 02:53:03「奴等、こんな荒野の真ん中に徒歩で来たなどという事はありますまい。近くに移動手段があるはず……あれだ!」ニンジャスレイヤーは目当てのものに駆け寄った。「センセイ、今しばらくのご辛抱です!」迷彩シートにてカモフラージュされていたのは、小型のセスナである。
2010-11-14 02:55:51「操れるのかフジキド……」ゲンドーソーはニンジャスレイヤーの肩の上でゼエゼエと荒い息を吐いた。「なんとかします」二人乗りの小型飛行機の後部席へぐったりしたゲンドーソーを座らせ、自らは運転席に座る。キーがささったままだ。僥倖である。もっとも、無くてもどうにかするつもりだった。
2010-11-14 02:59:50「今しばらくのご辛抱です」ニンジャスレイヤーは繰り返した。ガタガタと激しく不快な振動を伴い、小型飛行機は滑るように前身をはじめた。そして、浮き上がった。稲妻を走らせる厚い黒雲と無残なクレーターを背後に、カトンボのような飛行機はフラフラと飛んだ。
2010-11-14 03:04:16