宵の血に依る契約城:一日目昼

──そして、始まる。 ※前日譚含む
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シア @ConcesC_Cia

がらりと口調が変わったウィータスラーウァの言葉に、しばらく言葉を失った。まるで自分自身を別の者の事に言う理由は、解らない侭。少しだけ彼女の過去が垣間見える言葉が、その中には有った。 (嗚呼、貴女は。そして、私は貴女に──) 眼帯に覆われて行く濁りの片眸。表情は曖昧にしか見えない。

2014-12-25 19:01:45
シア @ConcesC_Cia

「……いいえ。私の言葉に従う必要はないわ、ウィータスラーウァ。私が何と言おうと。嫌だったら、貴女は拒絶(いいえ)と言ったっていい」 今度は私が、顔を彼女から背けた。 「私が勝手に思っていたのね。ここでは奪い合ったり盗んだりしないで良いんだって──ごめんなさい」

2014-12-25 19:01:54
シア @ConcesC_Cia

身体の向きを変えた。一度、一瞬だけ視線が重なり咄嗟に逸らして逃げたのだけど。また向き直って聞いたヴァエクの声には、こと、と首を傾げた。 「オレ様の物って……ごめんなさい、椅子も、ヴァエク様の物だったのね」 視界を掠めた夜のような紺青──アルカを見る。 「決めた、って?」 何を?

2014-12-25 19:03:43
ソテル @Conces_lanatus

挑発するように好戦的に、命の息吹を感じるような翡翠の瞳。 やっぱり、いいなぁ。 欲しいなら、夜の内に染めてしまおうか?いや、それは勿体無い。僕は『純血』を『民』にしに来たわけでは無い。 それを、忘れてはいけない。 誘う言葉を考えるのすら、久しく。僅かな時が、会話に空く。

2014-12-25 19:03:54
ソテル @Conces_lanatus

その為にも 「一晩だけかー。折角、可愛い騎士が出来たのにそれは残念。」 網を表すように、罠を香らせるように。 「一晩、を取り消したくなるように、頑張って王さましなくちゃね?」 ソテルは誘惑を堪えながら、甘さを加減して言葉を選ぶ。

2014-12-25 19:06:27
ソテル @Conces_lanatus

手にしたボトルを円卓へ置く。 「荷物は僕の部屋だから一度、取りに行かないと。そこでお茶会でもする?密室が不安なら庭でもいいけど。警護担当の騎士様はどちらがよろしいかな?」 紅茶に月を浮かべるもよし二人きりで花を咲かせるもよし。選択肢を提示して、女性の騎士様を意地悪く朱が見つめる。

2014-12-25 19:07:29
ウィータスラーウァ @VitaslavaCC

「あなたに悪意がないのは、わかるわ。シア、ありがとう」 黒い革が、白く濁った目を覆い隠す。その一瞬だけ、あたしが虚ろではない笑みを浮かべたのは、顔を背けてしまったシアには見えなかっただろう。 「あたしも、そう――」 “あたし”を、必要としない“俺”に。 「――なれば、いいと思う」

2014-12-25 19:20:42
ウィータスラーウァ @VitaslavaCC

瞼を伏せる。“あたし”は落ちていく。記憶と一緒に。 “俺”は、『眼帯を直すのに気を取られすぎていた』ことに気付く。しまったと慌てて向き直る。 「悪い、アケイシア。ちょっと、集中してて……何か言ったか?」 見れば、ヴァエクもいつの間にか近くにいない。逃げようとしても駄目だったのに。

2014-12-25 19:20:55
ウィータスラーウァ @VitaslavaCC

よろりと立ち上がって、室内へ向かって歩く。風に当たったせいで、ずいぶん冷えてしまったみたいだった。手足が上手く利かないような、気がする。

2014-12-25 19:21:00
ヴァエク @elqVaec

「おゥ、決めたぜ。気に入った」 ヴァエクは躊躇わない。 全てやった後で、振り返る。 もっとも、己を見返ることはまずないのだが。 「……それよりもなんだァアルカ。優等生面しておきながら手前も決めるの早ェじゃねェか。やるじゃねェか色男サンよォ。オレ様にもちったあ紹介してくれや」

2014-12-25 19:28:52
ヴァエク @elqVaec

シアの言葉。 逸らされ、再び向けられた視線。 ヴァエクはそれを、逸らさない。 「おォそうさ。そこの椅子も机も料理も屋敷も──手前ら人間も、皆皆オレ様のものだ」 傲慢と強欲、とそんなものを煮詰めればこんな言葉になるだろうか。 「まァ、アイツらになら呉れてやっても構わねェがな」

2014-12-25 19:34:41
アルカ @Conces_arca

シアへ返答を返そうとしたところで入った声に眉を顰める。 「違う。それに、思ってもない事を言うな」 ちらりと緋色を見下ろす。小さい。 「そろそろ広間が閉じる。話すなら、場所を移せ」

2014-12-25 19:35:33
シア @ConcesC_Cia

「?──それは、どういう」 そう、なればいい。彼女が口調の変わったさなかに言った言葉は、何を示しているのだろう。解らない事が幾らかあって、その中でも一番、わからない。口調が戻った。 「あ……」 口調が戻った。記憶が、無いみたいで。 「ううん、忘れて」 説明を繰り返す時間も無い。

2014-12-25 19:47:31
シア @ConcesC_Cia

ヴァエクの口振りに、流石に其れは嘘だろうと、うっすらと眉間に皺が寄った。 「物じゃ、無い。貴方の物でも、誰の物でも……」 閉じていた扇を開いて、口元に宛てがった。貰った補足に、ようやく意味を理解して。 「嗚呼、決まった、って。そうですか」 目逸らしついで、赤い髪へと辞儀をした。

2014-12-25 19:47:35
シア @ConcesC_Cia

アルカの移動を促す言葉に、首を横に振る。二人が決まったと言うのなら、私がその中に居る理由は無いと思ったから。 「アルカ様、何処か、見繕って頂いても良いですか?此処は、勝手が解らなくて」 お願いします、と。軽く頭を下げた。

2014-12-25 19:50:29
プレリ @Conces_prairie

子供のような口調に思わずふき出す。 「楽しみにしてる」 でも、と私は言葉を続ける。 「唯の『王様』なだけじゃ、きっと飽きて騎士をやめてしまうかもしれないよ」 だからこの一夜を、楽しませて(試させて)。 言の葉の外にそんな戯れを乗せる。

2014-12-25 19:51:36
ウィータスラーウァ @VitaslavaCC

(Plちょっと間に合わないので運んでもらえると)

2014-12-25 19:52:20
プレリ @Conces_prairie

「じゃあ僭越ながら、王の部屋を希望しましょう」 提示された話には、少しだけ迷ってから私は屋内を選んだ。 ここの庭は着いた時に見たけれど美しくて、そこで飲むのもきっと格別だろうけれど。 他の脅威にさらされないという点においては室内の方が安全だ。

2014-12-25 19:53:30
ヴァエク @elqVaec

「あァ、いいぜ。話ならいくらでもしようじゃねェか。夜は長ェんだからよ」 アルカの話に、ヴァエクは乗る。 あぁ、これの表情は『ついて行く』という時の表情だ。 「場所はアルカ、手前の好きに選んでいい。好きにしな」 片手。掴んだ襟首は、ウィータスラーウァのものだった。

2014-12-25 19:56:23
プレリ @Conces_prairie

「あ、あと、出来れば城の人達に、食べ物を何か用意してもらえたらいいんだけれど」 此処に来てから碌に食事をしていないことを思い出して、少し眉間にしわを寄せ私は立ち上がる。 「まぁ、とりあえず」 一食程度なら抜いても平気だけれど、お腹が鳴ったら恥ずかしいな、なんて考えながら。

2014-12-25 19:57:12
プレリ @Conces_prairie

「案内をお願いしていいかな?」 私は扉へと足を向けた。

2014-12-25 19:58:52
アルカ @Conces_arca

なら、分かれるか、と口にしようとして。 間に挟まれたヴァエクの言葉に口をつぐむ。 「……私も詳しい訳ではないが。とりあえずは、適当な部屋でいいだろうか」 悩む時間もない。シアにもそれでいいか、と視線で確認し。扉へ向かう。

2014-12-25 19:59:54
フェヌス @conces_rs

——どうやら皆、話は決まったらしい。どこか落ち着かない雰囲気ではあるが。 広間が閉じられてしまうのなら、こちらも移動しなければならないだろう。思って、記憶を手繰って、そうしてから『空色』を見上げた。 「少し、気になる場所があったんだ。そこで良いだろうか」 提案と言うには、明確に。

2014-12-25 20:00:03
匿名企画『宵の血に依る契約城』 @Conces_Castle

——月の瞳は開く。 ——夜に上がる月を見上げ、一対の月が瞬く。 ——嘴の音一つ。窓から舞い上がる翼の一対。 ——広間の扉は、鎖される。

2014-12-25 20:00:09
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