三連ツイノベ自選第3集

三連ツイノベのまとめ第三弾です。
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おーさん @osayas811

俺の目の前に、1本の大きな木が立っていた。「これは桜の木じゃ」突然木の陰から現れた老人が俺に言う。「お前は昨日、サクランボの種を食べたじゃろう?」「ああ、思わず種を飲み込んじまった。まさかそれが?」「そう、それでこの木が生えたのじゃ。ここはお前の頭の上なのじゃよ」 #三連ツイノベ

2013-11-15 21:18:00
おーさん @osayas811

「その話は聞いたことがあるぞ。これからこの桜を目当てに、大勢の花見客が来るんだな?」「そうじゃ。お前の頭の上で毎日大騒ぎをする。お前はうるさくて夜も眠れなくなる」「でもこの木を抜くと、今度は池ができて、釣り人が大勢押しかけるわけか」「どうする?この木を抜くかね?」 #三連ツイノベ

2013-11-15 21:18:41
おーさん @osayas811

「いや、抜かない。たとえ木でも命に変わりはないからな。花見客だって来たけりゃ来ればいい。自分の頭の上で季節を感じられるなんて最高だよ」「そう言うと思ったよ。これからお前の頭の上は、どんどん栄えるじゃろう」「俺だって惑星の端くれ。繁栄した星になるのが夢だったんだ」 #三連ツイノベf

2013-11-15 21:19:22

桜の下の少女

おーさん @osayas811

「小林、20年ぶりだな」学級委員だった田中が隣に座り、俺にビールを注ぐ。「幹事ご苦労さん」俺は田中を労った。「何とかみんなの連絡先を突き止めることができたよ」「これで全員か?」「ああ、全員集合だ」俺は田中の言葉に違和感を覚え、会場を見渡した。「あいつが来てないぞ」 #三連ツイノベ

2013-11-17 12:50:10
おーさん @osayas811

彼女は校庭の隅にいた。「何してるの?」声をかけると、「桜を見てたの」彼女のそばには散りかけた桜の木があった。「毛虫が降ってくるぞ」俺がからかうと、「きゃっ」彼女が飛び退き、俺に抱きつく格好になった。俺は慌てて言った。「今の冗談」すると彼女は、俺を見上げて微笑んだ。 #三連ツイノベ

2013-11-17 12:50:59
おーさん @osayas811

「そんなやついたかな」田中は赤い顔で呟いた。俺は卒業アルバムを開くと、集合写真を見た。彼女の姿はない。「あれ、ここに桜の木がなかったか?」俺が写真を指差すと、田中が言った。「校舎を増築するために、卒業の少し前に切り倒されたんだ」俺は桜の下に佇む彼女を思い出した。 #三連ツイノベf

2013-11-17 12:51:44

シンデレラの秘密

おーさん @osayas811

「シンデレラはどうして12時に王子様の前から消えたんだと思う?」彼女の問いに、僕は適当に答えた。「魔法が消えちゃうからだろ?」「王子様はシンデレラが元の姿に戻っても好きになったはずよ」「だけど貧しい姿を見られたくなかったんだよ」「ううん、本当は別に理由があったの」 #三連ツイノベ

2013-11-20 22:41:48
おーさん @osayas811

彼女と過ごす初めてのクリスマス・イブ。僕はロマンチックなデートコースを計画していた。だが彼女の希望はカラオケ。年に似合わず80年代のアイドル曲を熱唱した後、「歌いすぎちゃった。風に当たってくるね」そう言い残して彼女は部屋を出ていった。ちょうど真夜中の12時だった。 #三連ツイノベ

2013-11-20 22:42:36
おーさん @osayas811

それ以来、彼女は僕の前から姿を消してしまった。ラインやツイッターのアカウントも消えていた。彼女の友人に尋ねても、誰も行方を知らなかった。クリスマスの夜に消えた彼女。僕は彼女としたシンデレラの話を思い出した。「シンデレラはきっと12時に、自分のいた時代に帰ったの」 #三連ツイノベf

2013-11-20 22:43:44

入れ替わり先生

おーさん @osayas811

「またか」俺はベッドでため息をついた。今朝も、娘のまなみと体が入れ替わっている。ときどきそうなるのだ。しかたなく娘の制服を着て学校に向かう。俺は娘のクラスの担任なのだ。校門に近づくと、「まなみ、おはよう」生徒が声をかけてくる。「おはよう」俺はぎこちなく返事をした。 #三連ツイノベ

2013-11-23 00:06:35
おーさん @osayas811

教室に入る。生徒たちの様子はいつも通りだ。誰もまなみと俺が入れ替わっていることに気づかない。そのとき、学級委員の鈴木が話しかけてきた。「小林先生はお休みなの?」いつもそう。まなみは俺の体になると恥ずかしがって学校に来ないのだ。よし、今日も俺が代わりに授業をしよう。 #三連ツイノベ

2013-11-23 00:07:37
おーさん @osayas811

「新垣さん、先生はどうしてセーラー服を着て授業をしているの?」「ああ、川口さんは転校してきたばかりだから知らないか。あれは先生の趣味なの。娘と体が入れ替わったっていう設定だって。だから私たちも付き合ってあげてるの」「娘?」「それも先生の妄想よ。あの人独身だもん」 #三連ツイノベf

2013-11-23 00:08:58

親離れの時期

おーさん @osayas811

「タカシ、いつになったら結婚してくれるの?」「僕はすぐにでもしたいんだけど、父親が許してくれないんだ」「あなたその年でまだ親の言いなりになってるの?」「変かな」「変に決まってるじゃない。いい加減親離れしなさいよ」「わかった。もう親とは別れるよ。そして君と結婚する」 #三連ツイノベ

2013-11-26 01:50:19
おーさん @osayas811

「あなた、あの子が、結婚を認めてくれないなら、この家を出るって言ってるわ。私たちと別れて暮らすって」「そうか、ついにこのときが来たか」「何言ってるの?あの子があなたと離れて暮らせるわけがないじゃない」「いいんだよ。こうなるのも運命なんだ。相手の人には俺から話そう」 #三連ツイノベ

2013-11-26 01:54:25
おーさん @osayas811

「タカシ、お父さんに話してくれた?家を出られそう?」「まなみさんだね。気の毒だが、タカシはもういないよ。今朝出て行った」「何言ってるの、タカシ。つまらない冗談はやめて」「私はタカシの父親だ。タカシは私の中にいた別の人格だったんだ。君こそ妻の体から出て行きなさい」 #三連ツイノベf

2013-11-26 01:56:57

人形の復讐

おーさん @osayas811

幼い頃、私にはお気に入りの人形があった。食事のときも寝るときも一緒。自分と同じくらいの大きさだったせいもあり、当時の私には、その人形が本物の友だちに思えた。名前はルルちゃん。そういえば、ルルちゃんはどこに行ったのだろう。そのとき、私はとんでもないことを思い出した。 #三連ツイノベ

2013-11-28 01:11:40
おーさん @osayas811

「パパ、ルルちゃんをどこにやったの?」「ああ、あの人形なら物置にしまったじゃないか。もう遊ばないからって。10年も前のことだよ」「嘘。私思い出したの。ルルちゃんはパパに殺されたのよ。許さない。私の大切な友だちを、よくも」「何をする!まなみ、やめなさい。うわーっ!」 #三連ツイノベ

2013-11-28 01:12:51
おーさん @osayas811

「人形に殺されたってことか」「警部、それはこの男の妄想ですよ。現実は、娘を殺した罪の意識から自殺をしたということでしょう」「殺した娘の代わりに、10年間も人形を育てていたとはな。じゃあ物置にしまってあるのは、まさか」「おそらく。さあ、早く外に出してあげましょう」 #三連ツイノベf

2013-11-28 01:14:22

確実な方法

おーさん @osayas811

「いらっしゃいませ」「会社をリストラされて、生きる張り合いを失った。ここに来れば、いい方法を教えてくれると聞いたのだが」「お任せください。そのためのアイテムを取り揃えております。まずはこちらをお試しください」「これは効くのかね?」「昔の物ですが、効果は絶大ですよ」 #三連ツイノベ

2013-12-01 14:43:50
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