「待ってたよ。店の主人から話は聞いてる」「あなたがその道の達人ですか?」「そんな大げさなもんじゃねえけどよ。生まれてから一度も、あれでは負けたことがねえんだ」「早速お願いします」「そこへ座んな。そしたら俺の顔を見て、合言葉を言うんだ」「合言葉って?」「あっぷっぷ」 #三連ツイノベ
2013-12-01 14:44:44「お母さん見て。お父さんの書斎にこんなのがあった」「これ、お笑い番組のDVDじゃない」「それからさっき、にらめっこの達人に会いに行くって」「まさかお父さん、死ぬ気なんじゃ」「え、『笑うと死ぬ』って都市伝説じゃないの?」「本当のことよ。だから死ぬまで笑っちゃダメ」 #三連ツイノベf
2013-12-01 14:45:32実験の結果
「いいニュースと悪いニュースがあったとき、人はどちらを先に聞くのが幸せなのだろうか?」「それは悪いニュースが先に決まってますよ、博士。悪いニュースで悲しくなっても、あとから聞くいいニュースで嬉しくなれるじゃないですか」「はたしてそうなのか?では早速実験してみよう」 #三連ツイノベ
2013-12-02 22:24:11「君にこの宝くじをあげよう。実は4億円が当たっているんだ」「え、ホント?やったー!億万長者だー!」「でも、そのくじの換金期間は昨日までだったんだ」「え~、マジか?残念」……「やはり、先にいいニュースを知らせたのは失敗だったようですね」「では、順番を変えてもう一度」 #三連ツイノベ
2013-12-02 22:24:53「この宝くじ、換金期間が昨日までだったんだ」「へー、そうなの」「実は4億円が当たっているんだ。これを君にあげよう」「そんなもん、いらねーよ!」……「どうしたことだ?いいニュースをあとから伝えたのに、嬉しがっていないぞ」「博士、何かが根本的に間違っているようです」 #三連ツイノベf
2013-12-02 22:25:49夢の1週間
俺はベッドの上で考えていた。なぜあいつは大金持ちの息子で、俺は貧乏な家の子どもなんだ?生まれた日も場所も同じなのに。一度でいいからあいつと入れ替わってみたい。そのとき、ベッドの横に見知らぬ老人が現れて俺に言った。「お前の望みをかなえてあげよう。ただし1週間だけだ」 #三連ツイノベ
2013-12-09 12:41:59「それでもいい。一度でいいから金持ちの気分を味わいたい」翌朝目覚めると、俺はあいつになっていた。体と心が入れ替わったのだ。それからの毎日は楽しいことばかりだった。俺はこの体験を一生忘れないだろう。夢のような1週間はあっという間に過ぎ去り、俺はまたもとの体に戻った。 #三連ツイノベ
2013-12-09 12:42:36なぜあいつは大金持ちの息子で、俺は貧乏な家の子どもなんだ?ああ、一度でいいからあいつと入れ替わってみたい。そのとき、目の前に老人が現れて俺に言った。「10年前に一度入れ替えてあげただろ?新生児室のベッドで。生後1週間までの記憶なんて、もう残っていないだろうけど」 #三連ツイノベf
2013-12-09 12:43:20サンタの事情
今夜はクリスマス・イブです。男の子の寝ているベッドに、サンタさんが来ました。枕元にプレゼントを置くと、男の子の顔を覗き込みます。白い髭で覆われた口元が微かに動きました。やがてサンタさんはベッドを離れ、部屋から出ていこうとします。そのとき、男の子が目を覚ましました。 #三連ツイノベ
2013-12-12 20:08:37「似合ってるじゃない」「からかうなよ。君に言われた通りにしてきたんだ」「ちょうど寝たところなの。急いでね。そろそろあの人が帰る時間だから」「わかってる。一目顔を見るだけだ。まなみ」「何?」「すまない。俺のわがままを聞いてくれて」「いいのよ。だって今夜は聖夜だもの」 #三連ツイノベ
2013-12-12 20:09:29目を開けたら誰かが部屋にいた。「パパ?」って聞いてみたけど、違った。サンタさんだった。僕を見て泣きそうな顔をしてた。バイバイした後で枕元を見たら、青いスポーツカーがあった。僕が赤ちゃんのときから青い車が大好きだったってこと、サンタさん、どうして知ってたんだろう? #三連ツイノベf
2013-12-12 20:10:24サンタの憂鬱
国家試験に合格し、念願のサンタになれた。「これが君の担当エリアの子どもたちだ。欲しいプレゼントのリサーチも済んでいる」先輩サンタからリストを渡された。「この赤丸は?」「希望の品物を贈れない子どもたちだ。親の経済事情でね」違う。これは俺のなりたかったサンタじゃない。 #三連ツイノベ
2013-12-17 23:32:23「あなた、あの子クリスマスに何が欲しいのかしら?」「気にする必要はないさ。サンタが事前に調べて、あいつの欲しいものを届けてくれるよ」「でも、それでいいの?私、あの子が好きなものを何も知らないのよ」「いいんだよ。親が余計な心配をしなくて済むためのシステムなんだから」 #三連ツイノベ
2013-12-17 23:33:05「君はなぜ希望プレゼントの返信をくれなかったんだ?」「それより、サンタさんはなぜサンタになったの?サンタをしていて幸せなの?」「もちろん。いや、実はそうじゃない」「ねえ、今からどこかに連れてってよ」「そうだな、行こうか。そりもあるし。これが俺の最後のドライブだ」 #三連ツイノベf
2013-12-17 23:34:02サンタの正体
少年はサンタを信じていなかった。なぜなら、サンタは大昔から物語に登場している。実在の人間がそんなに長生きできるわけがないからだ。だがイブの夜、彼のもとにサンタがやってきた。枕元に近づくサンタを、半信半疑で見つめる少年。そのとき、彼はサンタの正体に気づいてしまった。 #三連ツイノベ
2013-12-24 21:45:10「ドジだなお前、絶対気づかれるなって言われただろ?」「でもしょうがないじゃん、気づいちゃったんだから。それにトナカイさん」「何だよ」「こいつが気づいたから、今の俺がいるわけで」「その話はややこしくなるからやめろって。とにかく決まりだから、このぼうずは連れていくぞ」 #三連ツイノベ
2013-12-24 21:46:10子どものときサンタの正体に気づいた俺は、サンタの国に連れてこられ、成長してサンタになった。ここには何人ものサンタがいて、過去の様々な時代の子どもたちにプレゼントを届けにいく。中には子どもの頃の俺もいるはずだ。きっと今夜は子ども時代の俺が、俺の正体に気づくだろう。 #三連ツイノベf
2013-12-24 21:47:34初詣の願い事
紅白がフィナーレを迎えていた。振り返れば、今年は充実した一年だった。元日の初詣で彼女に告白したら、まさかのOKがもらえて、夏からはこの部屋で一緒に住んでいる。来年も彼女と仲良く暮らしたい。そのとき、目の前に死神が現れた。「もうすぐ約束の時間です。旅立ちのご準備を」 #三連ツイノベ
2013-12-28 15:03:04僕は初詣のときに願ったのだ。彼女とつきあえるなら、今年一年で命がなくなってもいいと。僕は死神に言った。「待ってくれ。確かに僕はあのとき願った。けど、まだ死にたくない。助かる方法はないのか?」「ありません。私は死期の決まった人間を連れていくのが仕事です。罪人以外は」 #三連ツイノベ
2013-12-28 15:03:48