鳩摩羅什と玄奘、二大訳聖をめぐる環境差

※冒頭の会話は本題とは何の関係もありません。なんか仏教やインド関係の話につながるフックとして機能したようだという程度の話です。 ●動乱期の王子、クマーラジーヴァ(鳩摩羅什) ●大唐帝国成立期の冒険旅行家、玄奘三蔵
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非人 @Im_Weltkriege

人類の英知を集結して分かったことなのだが、「最近の若者は」と感じる器官が人間には備わっているということが、神学および統計学から示されたのだ!

2010-12-07 00:15:32
非人 @Im_Weltkriege

ちなみに、その器官は回帰器官と名付けられ、回帰分析を尤もらしいと感じるのはこの器官の故なのである。

2010-12-07 00:18:55
にるば @nirvanaheim

その器官はガウタマ先生が断滅しろって昔から言ってた。

2010-12-07 00:20:00
非人 @Im_Weltkriege

ガウタマ「進歩主義者はこれだから困るんだよ、働けとかうるせーしさ」

2010-12-07 00:23:01
tricken(Tw以外の居場所は固定参照) @tricken

@nirvanaheim そういえば尋ねたいことがあったのですが、鳩摩羅什が仏教漢訳をした時代と、玄奘三蔵がインドへ陸路で行った頃とは、旅路の難度は違ったりしていたのでしょうか? 三蔵に『西遊記』があるのに鳩摩羅什にそれにあたる伝奇がない理由が気になっていまして。

2010-12-07 00:22:47
にるば @nirvanaheim

@tricken 思いつきを並べることしかできませんが(ことが大衆娯楽なこともあり)、いくつか。

2010-12-07 00:47:28
--- @vanaheimr

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2010-03-11 01:25:49
にるば @nirvanaheim

まず、ご疑問に拙い知識を動員しますと、違いはまあ、あったでしょう。これは端的に情勢の違いによるものです。クマーラジーヴァの頃の中国はいわゆる五胡十六国の分裂動乱時代、彼の生国クチャは、華北の争乱に一政治勢力として関わっていました。いわゆるシルクロード交易も正常運行ではありません。

2010-12-07 00:57:26
にるば @nirvanaheim

一方玄奘の頃は、隋唐の争乱があったとは言え、全体的に見れば落ち着いていたと言えます。西域諸国は隋にも朝貢していましたし、唐という新しい統一体制が確立したらしいという状況下で、彼らは唐の情報を欲しがっていたことでしょう。玄奘の逸話にあるように西域への戸口は制限されていましたからね。

2010-12-07 01:02:16
にるば @nirvanaheim

動乱時代のクチャの王族クマーラジーヴァの往来に比べて、まがりなりにも大帝国が確立し、また突厥に唐が優位を得た時期の唐の知識人玄奘の旅路が相対的に楽であったろうとは推察されていいでしょう。

2010-12-07 01:07:07
にるば @nirvanaheim

そして同じく情勢から導かれるのが両者の記録の世への受け取られ方です。端的に言えば玄奘の『大唐西域記』は、名も高き「貞観の治」体制の確立・安定・発展期において(西域の)情報が不足していた最中に書かれ、当時の世に求められるべくして求められ、さぞエキゾチシズムを満足させたことでしょう。

2010-12-07 01:12:47
にるば @nirvanaheim

一方クマーラジーヴァにおける事情は、西域で既に名を馳せていた知識人であり、また華北政権の軍師でもあった彼が、華北と西域という同じ情勢に包括された地帯であれこれあった末に、華北の政権の者に招聘された、というものです。これはちょっと、エキゾチシズムを刺激したものとは言い難いでしょう。

2010-12-07 01:20:42
にるば @nirvanaheim

まあ要は、伝奇的冒険譚の基盤として、クマーラジーヴァを記録した列伝や高僧伝などよりも、玄奘の大唐西域記の方が圧倒的に優れていたであろうことは想像に難くない、ということです。

2010-12-07 01:25:13
にるば @nirvanaheim

あと一つ言えそうだと思うことが、後世の物語作者&聴衆による、両者の受け取り方の違いです。

2010-12-07 01:35:03
にるば @nirvanaheim

端的には、「五胡十六国などという動乱の時代に、氐や羌と言った蛮族に出自がある政権——端的に言えば、正統性に劣る集団に招聘されてやってきた胡人」と「諸王朝の中でも名高い唐の、名高い貞観の治世において、西域に冒険的な旅に出た由緒ある士大夫階級」、どちらを明人が好みそうかという話です。

2010-12-07 01:36:43
にるば @nirvanaheim

元明に成立した四大奇書の内、『金瓶梅』以外はいずれも講談出身ですが、『三国志演義』も『水滸伝』もいずれも君側の奸に反発し、世にはばかる覇者に反抗した非体制的忠義の士を扱っています。明は長らくのモンゴル支配を脱して成立した王朝ですし、エスノセントリズム的基盤を見て大過ないでしょう。

2010-12-07 01:46:29
にるば @nirvanaheim

(ついでながら、『金瓶梅』は『水滸伝』のスピンオフ作品)

2010-12-07 01:46:52
--- @vanaheimr

(補足:『金瓶梅』『三国志演義』『水滸伝』、と来て四大奇書残りの一つが『西遊記』)

2010-12-07 11:22:20
tricken(Tw以外の居場所は固定参照) @tricken

@nirvanaheim なるほど、鳩摩羅什は軍師職でもあったのですね。中国と天竺との間の文化的距離感が異なるがゆえに、鳩摩羅什はエキゾチックにならず、玄奘三蔵はエキゾチックな行為をしたと受け取られた、と。大変勉強になりました。

2010-12-07 01:30:39
にるば @nirvanaheim

@tricken まあ軍師職というとちとアレですが、まあ前近代において、知識人と軍師の境は非常に薄いものですから。要はクチャを一端制圧した政権(後涼)によって、顧問的存在として重用されたのです。その後、後涼を滅ぼした後秦によって、今度こそ仏僧として招聘を受けた、というわけです。

2010-12-07 01:52:59
tricken(Tw以外の居場所は固定参照) @tricken

@nirvanaheim なるほど、五胡十六国時代面白いですね。鳩摩羅什の史伝など読みたくなりました。

2010-12-07 02:03:11
--- @vanaheimr

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2010-03-11 01:25:49
ブート @bootdale

RT @nirvanaheim: 端的には、「五胡十六国などという動乱の時代に、氐や羌と言った蛮族に出自がある政権——端的に言えば、正統性に劣る集団に招聘されてやってきた胡人」と「諸王朝の中でも名高い唐の、名高い貞観の治世において、西域に冒険的な旅に出た由緒ある士大夫階級」、どちらを明人が好みそうかという話です。

2010-12-07 07:40:58
ブート @bootdale

起きたら@nirvanaheimが楽しそうな話をしていた。鳩摩羅什は助っ人外国人だけど、玄奘はイチローなので、イチロー物語のほうが人気があるという話。来た物語より行きて帰りし物語。

2010-12-07 07:41:33