FF6二次創作SS【鎮魂のアリア】その９

みなみ @minarudhia

「まず必要なのは、石です。この握りこぶしくらいがちょうどいいの」 「なんだ、結構簡単なのね」 「まだあるのよ。次はトリカブト」 「トリカブトじゃと？」 「ええ、そして最後なんだけれど…」 フィストは開かれた墓の入口を見た。

みなみ @minarudhia

「……最後の物は私が取りに行きます。お二人は頼まれたものをここで探していて下さい。それで…」 言葉を一旦中断し、フィストはストラゴスとリルムに額を出すよう頼む。 二人がそのようにすると、フィストの唇が立て続けに二人の額へ触れた。 額に口付けられたその箇所が、うっすらと輝く。

みなみ @minarudhia

「何したの？」 「これはおまじないのようなもの。墓は誰が開けたか知らないけれど、いつここからアンデッドが出てくるかわからないから。このおまじないが消えない間は、決して襲われない」

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「どのくらいかかるのじゃ？」 「長くて半日は持ちますわ。では、決して私はこの奥へ」 そう二人に告げると、フィストは死者の眠る闇の向こうへと消えていった。

みなみ @minarudhia

―――

みなみ @minarudhia

「お”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”！！」 「・・・！」 まるでヘイストの魔法でもかけられたかのような恐るべき速さでマッシュの視界に迫ってくる生ける死体。

みなみ @minarudhia

左腕の関節はでたらめな方向にねじ曲がり、腹からは赤黒いものがはみ出ており、そのおぞましさに思わず顔を背けずにはいられない。 しかし、マッシュめがけて右手に持つ手斧を振り下ろそうと死体が跳躍した直後。 グルルルッ！ キランが力強く唸って横跳びにかわす。

みなみ @minarudhia

それを受けてマッシュが手綱を握り直し、態勢を直すと先程まで彼らがいた場所に手斧を食い込ませる死体がいた。 ひゅうんっ 空気を切る音がして弧を描くように飛んできたものが死体の肩口を切り裂く。 ロックの投げたブーメランだ。

みなみ @minarudhia

死体はそれも我関せずとばかりに無視し、手斧を抜くや再びマッシュとキランに向かっている。 今度は至近距離だけにマッシュの反応すら凌ぐ勢い。 ガキン！ 「そう簡単にはやらせないわ！」

みなみ @minarudhia

両者の間に割って入り、手斧を剣で受け止めたのはセリス。 しかし、同時に剣を持つ腕の痺れを彼女は感じていた。 がむしゃらではあるが、その膂力が並のものではないのだ。 力押しで圧される前に手斧を弾き返し、返す刃で相手の胸元に斬りつけるが相手もさるもの。

みなみ @minarudhia

切り裂かれる前に大きく後ろへ下がり追撃をかわす。 しかしその胸へなおも食い下がるように飛び、突き刺さるのは数枚のカード！ 「しつけえな、お前さんも！」 セッツァーがチョコボの上から次のカードを手指に備える。

みなみ @minarudhia

しかし、それに対する死体の動きはさらに加速する。 大回りに右へと迂回し、そのままマッシュとキランの方へと向かってきたのだ。 キランが前に立つセリスの乗るチョコボの上を跳び越す。 それを追おうと跳躍した死体へブーメランが飛び、着地点へチョコボが走る。

みなみ @minarudhia

「はぁーっ！」 ティナがバランスを崩し落ちてくる死体へ剣を振るった。 …剣を握る手に伝わる手応え。 右腕が手斧ごと宙を舞い、死体はその反対側へと落ちていく。 全員が囲む中、それでも死体にはなお力が失われていなかった。 残った左腕で手斧をまさぐろうとしながら、呪詛を吐き続ける。

みなみ @minarudhia

「スコッ…ト…！スコットオオオ…！！」 「こいつは俺達がなんとかしてツケを払わせてやる！気持ちはわかるが往生際が悪いのは感心できないぞ！」 縛り付けたスコットを抱え直しながらマッシュが叫ぶが届いていないようだ。 そこへ、不思議な五色に輝く蝶がキランの耳に停まった。

みなみ @minarudhia

「グゥ？」 キランが反応してから数秒後、その光る蝶が弾け飛ぶ。 「なんだ？今の？」 蝶に気づいていたマッシュが不思議そうに呟いた時、セリスの叫び声が上がった。 「な…なんなのこれ！？」

みなみ @minarudhia

それは異様な光景だった。 死体が倒れている向こう側の暗闇に、おびただしい何かがいた。 それらは闇の中不気味に目を光らせながら、死体――ジュリアスに向かってひたひたとやってくる。

みなみ @minarudhia

そして、ついにそれはロック達の目の前、ジュリアスのそばまでやってくると彼に重なるように一つがすうっと溶けていった。 「！？」 それだけではない。 他の“それ”も後を追って次々にジュリアスと重なるように溶けていく。

みなみ @minarudhia

ジュリアスの“身体”に異変が起きたのはそれが重なり出して軽く２０体を数えようというときだった。 「なんだこれ…どういうことだ！？」 誰かが叫んだかわからない。 そして、五人を覆い尽くすかのように影が伸びていった。

みなみ @minarudhia

to be continue...