【ザ・ヴァーティゴ・グレイト・エクスペリエンス】後編

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ギョーム将軍の軍勢はこの世界の事もしこたま荒らしたわけだけど、このお婆ちゃんの事はお手上げだった。頑固だからね。お婆ちゃんはウエスギをショットガンで照準し、訊いたんだ。「フーアーユー」「お婆ちゃん、アバッ、おれだよ……」ウエスギの後ろ、震え声で名乗ったのがザ・ヴァーティゴだった。

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マディソンお婆ちゃんは、ザ・ヴァーティゴと知り合いだったんだ。彼女はウエスギとザ・ヴァーティゴを迎え入れ、愚痴をきかせた。原料費の高騰とか、そういうのをね。ザ・ヴァーティゴはお婆ちゃんの話し相手になり、ザザから受けた傷を癒やした。二週間は経過したはずだ。

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ようやくザ・ヴァーティゴが身体を自由に動かせるようになった時、奴が現れた。ザザだ。ザザはしつこかった。たちまち、お婆ちゃんの家は戦場となった。パンチや剣、オーバーテクノロジー拳銃、テツノオノ、義眼光線が飛び交った……三十秒くらい。お婆ちゃんがキレて、喧嘩は中断。お説教タイムさ。

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ザザは手を上げなかった。謂れなき暴力とビームでお婆ちゃんを攻撃するのは、彼のような恐怖存在であっても、さすがに気が咎めたらしい。「昔を思い出すよな」怒られながら、ザ・ヴァーティゴはザザにこっそり囁いた。「お前とウエスギと俺の三人で、メチャクチャやって、オーディンのお爺さんに……」

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「……話が逸れそうだ！つまりそういうわけだ」ザ・ヴァーティゴが説明を終えた。「俺はお前のやり口が気に入らない。人質をとって、俺の縁や過去に訴えかけるやり口が。俺達三人集まれば文殊の知恵。ウエスギとザザはお前を知っていたぞ。お前はかつてこの世界を支配しようとしてつまずいた半神だ！」

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『旅の仲間たちの救出が完了した！』宇宙船のエーテルスピーカーがウエスギの声を放ち、バックファイアで公爵の船から身を剥がした。「そういう事だ！」ザ・ヴァーティゴは公爵を指差した。公爵は唸った。「愚かな！反キウイフルーツは今手を延ばせば届く！意地をはって将軍に世界を明け渡すか！？」

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「「「キシャシャーッ！」」」公爵の警告を裏付けるかのように、将軍の宇宙船から宇宙船へ、飛び石めいて回転ジャンプしながら渡ってくる無数の忍者戦士達の雄叫び！公爵は一歩踏み込む。「正しいことをせよ！ザ・ヴァーティゴよ！」「そのつもりだ！だがお前は関係ない。俺がやる！」「許さんぞ！」

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公爵は脅すように片手を宙に掲げた。「以前に述べた筈だぞ。私は彼女の居場所すらも突き止めることができる。そう言ったはずだ。私が最後の安全弁を用意しておかぬとでも思ったか！」楕円形の裂け目が宙に生じた。裂け目の向こうには遠い世界が広がっていた。蔦の絡まるチャペル……或る一人の美女！

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「マリゴールド」ザ・ヴァーティゴは雷に打たれたように立ちすくんだ。「おお……マリゴールド」「そうだ！彼女だ」公爵が笑った。「命令に従え、ザ・ヴァーティゴ！」裂け目の向こう、白いスーツの次元転移暗殺者がナイフをちらつかせ、影からマリゴールドを見守る！「彼はいつでも手を下せるのだ！」

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「お、俺は……」ザ・ヴァーティゴは何も気づかず朝の祈りを捧げるマリゴールドの後ろ姿を見つめ、震えた。「俺は……やはり彼女に会えない。奴を行かせて正解だった」「何？奴だと？」公爵が眉根を寄せた。「アアアアアアーッ！」裂け目の向こうから惨たらしい悲鳴！義眼光線に焼かれる暗殺者の声だ！

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「何だと！何故……何だというのだ！犬猿の仲ではないのか！」「奴は奴なりに非道を許さない男よ！」ザ・ヴァーティゴが言った。裂け目の向こう、倒れて痙攣する暗殺者に、ザザは義眼光線を浴びせ続ける。やがて暗殺者は水銀めいて溶け崩れ、消滅した。幸いマリゴールドは気付かない。

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ザザは裂け目越しに彼らの方を見た。公爵が後ずさった。ザザは裂け目に手を延ばした。そして、裂け目をたやすく乗り越え、甲板上に立ったのである！公爵は驚愕の叫びをあげた！「何だとーッ！？」「義眼光線を喰らえ！」ザザは即座に攻撃した！ZZZZZZZZZAP！「アアアアアアーッ！」

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ZZZZZZZZZZAP！「アアアアアーッ！」「そいつは任せたぞ！」ザ・ヴァーティゴはカラテを構えた。「「「キシャアアーッ！」」」宇宙船を跳び渡る忍者戦士達が、今、甲板に到達する！「かかってこいや！」一方ウエスギは宇宙船を加速させ、飛翔する……目標はギョーム将軍の母艦だ！

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「吾輩は風魔大手裏剣衛門也！」ひときわ禍々しい忍者鎧を来た敵忍者が見栄を切った。背中には巨大な風魔手裏剣を背負っている。「死ねェー！」大手裏剣投擲！「「「ヒャアー！」」」同時に、手下忍者達が一斉に甲板めがけ跳躍！ザ・ヴァーティゴは怯まず、懐から超自然の武器を取り出した！

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ナムサン……それは巨大なトゲ付きハンマーである！「イヤーッ！」飛来した大手裏剣を打ち返す！「アバーッ！」撥ね返った大手裏剣が襲い来る風魔忍者数人の首を刎ね飛ばした！「イヤーッ！」さらにザ・ヴァーティゴはハリセンで手近の風魔忍者の顔面を打擲！首の骨が折れて即死！

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「イヤーッ！」さらにザ・ヴァーティゴは両手で棒を構える。棒同士は糸で繋がっており、その糸の上を、半球を2つ組み合わせたような特殊形状の独楽が滑っていた。ナムサン！その独楽は悪魔（ディアボロ）！「イヤーッ！」糸をたわませ独楽を放つ！「アバーッ！」独楽を顔面に受けた風魔忍者が即死！

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「「「シャアアー！」」」風魔忍者達が次々に飛び移ってくる。ザ・ヴァーティゴはトミーガンを構え、それらを次々に蜂の巣にする！BRATATATATATATAT！「アバーッ！」「アバーッ！」「アバーッ！」「イヤーッ！」後ろから襲いかかった風魔忍者に熱いおでんを投げつける！「アバーッ！」

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「イヤーッ！」返す刀めいてブーメランを投擲！「アバーッ！」風魔忍者の胴体切断！「シャッ！」「シャーッ！」風魔忍者が次々に襲いかかる！ザ・ヴァーティゴはハートが先端にあしらわれたワンドを構える。シャララン……幻惑的なサウンドが鳴る……「イヤーッ！」それで殴る！「アバーッ！」即死！

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次に現れたのはネームド風魔忍者！「俺の剣術を受けよ！」毒の刀を構える。ザ・ヴァーティゴは懐からカジキマグロを取り出した。「ならば俺は槍で攻撃する」「シャアーッ！」風魔忍者は毒の刀を振り上げる。「イヤーッ！」ザ・ヴァーティゴはカジキマグロの角で風魔忍者を刺し殺した！「アバーッ！」

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「さあ次の相手はどいつだ」ザ・ヴァーティゴは武器をミキサーに……否、ミキサー剣に持ち替え、包囲敵を睥睨した。「シャ、シャアーッ！」一人が飛びかかる！「イヤーッ！」「アバーッ！」ミキサー殺！左手で抜き放つは燃え盛る剣！「イヤーッ！」「アバーッ！」真っ二つ焼殺！

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「貴ッ様ァー……」風魔大手裏剣衛門が歯噛みした。「調子に乗りくさりおってからにィー！」「イヤーッ！」「グワーッ！」ザ・ヴァーティゴは風魔大手裏剣衛門をガラガラで殴りつけた。そして君達の方を見て言った。「第一子誕生おめでとう！」

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「何をのたまいおってやがるかよーッ！」風魔大手裏剣衛門は大手裏剣を再び投擲！「イヤーッ！」「終わらせてやる」ザ・ヴァーティゴは呟き、もう一度君達の方を見て言った。「これでも君達の送ってくれたハガキの一部なんだ。惜しくも採用されなかったアイデアも凄く沢山ある……全てに感謝したい」

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大手裏剣が迫る！ザ・ヴァーティゴは懐から巨大なY字パチンコを取り出し、スリングショット部で大手裏剣を受けた。ゴムが伸び、凶悪武器を受け止める。風魔大手裏剣衛門は己の運命を悟り、目を見開く。パチンコは大手裏剣を撃ち返した！BOOOOM！「アバーッ！」首切断！「サヨナラ！」爆発四散！

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「アアアアアーッ！」ZZZZZZAP！「アアアアアーッ！」ZZZZZZAP！ザザは引き続き公爵をビームで焼き続ける。公爵は半神だ。そう簡単に死にはしない！「しばらく頼むぜ」ザ・ヴァーティゴはザザに言い、甲板の先端に歩いて行った。そして前方の空間の歪みめがけて片手を翳した。

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ザ・ヴァーティゴのネンリキによって、空間の歪みの中から緑に脈打つ果実が生じた。それはキウイフルーツのようでありながら、この世に存在する何よりもキウイフルーツから遠い物体であった。即ち反キウイフルーツだ。これが諸問題の根源……次元マンゴーと対をなす事象エネルギーの精髄である！