ケンペイvs座礁艦隊! あとパンツ ~フライングフィッシュ・オブ・アラビアン~最終話

憲兵ぱんつ天狗vsデコベリショ叢雲ちゃん最終話です。 括目してぱんつ見よ!
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RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

テンポを合わせるため再掲する。

2014-12-28 21:59:36
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

その時ケンペイ天狗の体へ巨大な金属構造体が横殴りに衝突し、扶桑から引き剥がした。彼女の真上ギリギリを通過した反重力飛行艇は、そのまま砂丘に頭から突っ込み、不時着した。 83 (再掲)

2014-12-28 22:00:06
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

(パンツ・サンダーボルト番外編 フライングフィッシュ・オブ・アラビアン#5終わり。まもなく#エピローグに続く)

2014-12-28 22:04:55
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

パンツ・サンダーボルト番外編【フライングフィッシュ・オブ・アラビアン#エピローグ】

2014-12-28 22:05:56
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

反重力飛行艇はコクピット部分がひどく潰れていたが、エンジンその他は生きていた。ひとまず喪失ではないな、セプクは免れんが。と、キャビンの座席でうずくまっていたミュグラ少佐は溜息をつき、ベルトを外した。衝突直前にパイロットシートから逃げたが、首尾よくケンペイ天狗には当てたようだ。 1

2014-12-28 22:10:31
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

身体中が軋むように痛い。衝撃とベルトの圧迫で、左の鎖骨と何本かのあばらが折れたようだ。少し呼吸が苦しい。肺に穴が空いていなければいいが…、どうせ死ぬなら変わらんか。悲鳴を上げる手足に鞭打って、機体から這い出る。日はすっかり出ていた。時計を観る。気を失ってはいなかったようだ。 2

2014-12-28 22:14:26
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

ヤバレカバレな行動かもしれなかった。自分以外を全員降ろし、特攻した。扶桑を助けるため? 否、もとよりこんなものであのケンペイ天狗を殺せるはずもない。奴に殺されるか、生きて帰ってもセプク。扶桑は捨て艦。運命は変わらない。それでも、目の前で彼女が殺されるのだけは御免だった。 3

2014-12-28 22:18:03
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

「扶桑」ミュグラ少佐は、数十メートル後方で仰向けに倒れている扶桑へ歩き出す。どうやら彼女にはかすめてもいない。妖精さんテックを濫用たオートパイロット様々だ。そうでなければやらなかった。激痛にくじけそうになる身体を奮い立たせる。彼女はもっと酷い傷を負っている。 4

2014-12-28 22:21:28
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

数分が何時間にも感じられた。急激に変化する砂漠の気温が余計に体力を奪う。だがミュグラは彼女のもとへたどりついた。扶桑は胴部に幾つもの穴を穿たれてはいたものの、機関部はかろうじて無事であった。「扶桑」ミュグラの呼びかけに、瞼を開けて応じる。 5

2014-12-28 22:24:14
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

「申し訳ありません。ケンペイ天狗を殺せませんでした…」悲痛な面持ちで扶桑は言った。「いいんだ」ミュグラはかぶりを振った。「ここが俺たちの年貢の納め時なのかもしれん」反重力飛行艇の方を見やる。ボロボロの第二種軍装を着た天狗が立っていた。 6

2014-12-28 22:27:39
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

ケンペイ天狗も無傷では無かった。全身の折れた骨を、叢雲のパンツから得たなけなしのエネルギーにより、深海棲艦の自己修復で治療しているのだ。だが十分ではない。仮に今扶桑が中破程度に留まっていれば、ケンペイ天狗を殺すことができたであろう。 7

2014-12-28 22:32:48
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

「少佐、いけません。下がって」扶桑はよろよろと起き上がり、死闘の果てにただ一門残った35.6センチ連装砲を向けた。だがミュグラはそれを手で制した。「少佐…?」「よう。あんた、ブラック提督を殺すんだってな」ミュグラはケンペイ天狗へ向かって言い放つ。 8

2014-12-28 22:38:41
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

「てことは、あんたに殺されりゃ、俺も提督ってわけだな」不敵な笑み。「俺はこれまで、この扶桑と一緒に悪どい事をたくさんやって来た。グンレイに反抗的な鎮守府を潰したことだって一度や二度じゃない。つまりあんたに殺される理由が十分あるってことだよな。なあ」 9

2014-12-28 22:42:25
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

「少佐、だめです!」扶桑は血と重油の流れる身体を押し出して、ケンペイ天狗の前に立ちはだかった。「彼は提督ではありません。少佐を殺さないで。さもなくば私も死にます」扶桑は生きている砲を艤装から引き剥がすと、自身の顎に下から押し当てた。 10

2014-12-28 22:47:46
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

「扶桑やめろ。どうせ俺はセプクなんだ。だったら、提督として奴に殺された方がマシだ」「いいえやめません。私たちはまだ生きている!」「扶桑!」「ミュグラ少佐、私はあなたと一分一秒でも一緒にいたい。たとえこの先に死が確定していたとしても、それを少しでも先延ばしにしたいのです」 11

2014-12-28 22:53:14
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

扶桑の目は覚悟を映していた。それは海軍を離れてもか、という質問を、ミュグラは飲み込んだ。答えは自明だ。「もしこの瞬間に貴方に死が訪れるなら、私はこの場で後を追います」扶桑はミュグラに向き直り、彼の背をかき抱いた。「お慕いしております。ミュグラ少佐」 12

2014-12-28 23:04:26
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

ミュグラも応じ、扶桑を抱きしめる。さあ、いいタイミングだ。天狗よ、一思いにやってくれ。刹那もしないうちに50口径の徹甲弾は自分の頭を撃ち抜くだろう。最後のその瞬間まで、可能な限りこの最愛の女の温もりを感じていよう。天国でも地獄でも構わない。人と艦娘が死後も共に居られるなら。 13

2014-12-28 23:09:02
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

爆音が響いた。しかしミュグラの意識はまだ此の世にあった。「グワーッ!」ケンペイ天狗が榴弾の火に包まれ仰け反って倒れる。ミュグラは爆音の主を探す。座礁艦隊の叢雲が、改造単装砲を構えている!「まだ遅延が不足している!目標の足止めを続行するわ!」その場の全員に聞こえるほどの大声! 14

2014-12-28 23:16:23
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

「ヌゥーッ…!」忌々しくケンペイ天狗は苦悶し、跳躍!「イヤーッ!」そのまま踵を返して、走行を再開した!「逃がさないわよ!」叢雲も機能停止したホヴァー・ユニットを捨て、徒歩で追撃!「お、おい待て!」ミュグラの制止に反応することなく、二人はあっという間に砂丘の向こうに消えた。 15

2014-12-28 23:20:38
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

後に残された二人は、口を半開きにして見送ることしかできなかった。暫しの沈黙が続く。ミュグラはばつが悪そうに頭をぽりぽり掻いた。それだけでも腕が痛い。「助かっちまったみたいだな」「はい」扶桑は困ったように微笑んだ。「イテテ…しかし、ケンペイ天狗は健在。海軍に帰ってもセプクだ」 16

2014-12-28 23:30:11
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

ミュグラ少佐は…ミュグラは周囲を見渡して、砂と太陽以外には何もないことを確認する。「どうせどこ行っても死ぬんだ。お前さえよければ…その」「先ほど申し上げました。ご一緒致します」「よし、そうと決まれば」ミュグラは懐からセプク用の短刀を取り出した。海軍軍人なら常に携帯している。 17

2014-12-28 23:33:51
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

包み紙を解き鞘を抜き捨て、刀身に紙をまき直し、そこを握る。中東の朝日が切っ先に反射した。「…やっぱり怖いな。ミシマ・ユキオの短編を思い出しちまう。内臓がドバーッと出るんだぜ、あれ」「介錯致しましょうか」扶桑が砲身を抱える。「いや、いい。もう再装填出来んだろ。お前は楽に来い」 18

2014-12-28 23:38:57
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

ミュグラは正座し、短刀を腹の左前に当てた。額から汗が垂れる。深呼吸を数度行うと、幾分か恐怖が和らいだ。「苦しむ姿は見せたくない。刺したら撃て」「…はい」扶桑はミュグラに正対して座り、砲身を顎の下、鎖骨の間に押し当てた。撃ち出された徹甲榴弾は、正しく生命機関を破壊するだろう。 19

2014-12-28 23:47:17
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

「行くぞ」ミュグラは両手に力を込め、短刀が滑らぬよう固定する。扶桑も砲の激発装置に指をかける。ミュグラは短刀を三寸ほど離し…。 20

2014-12-28 23:50:49
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