【スカベンジャー・アット・ア・バックストリート】#1

知性kaeru @kaeru_in_a_well

【スカベンジャー・アット・ア・バックストリート】#1 #nj_green

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「ハァーッ！ハァーッ！ハァーッ！ニンジャ！ニンジャナンデ！」曇天のネオサイタマを走るスーツ男が一人。「ハァーッ！ヤバイ！ハァーッ！ハァーッ！」彼の名はオヨド。ネコソギ・ファンドに潜入し、株情報などを盗みとろうとしたスパイハッカーだ。 #nj_green

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彼は息を切らしながら人混みを掻き分け、進む。(こんなのテストに出ねえぞ！ニンジャ！ナンデ！)彼は直進し、直進し、右折し、直進し、右折し、左折し、路地裏に逃げ込んだ。「巻いたか！？」膝に手をつき、俯いて大きく息を吸い、「スゥーッ！」吐いた。「ハァーッ！」 #nj_green

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そして前を向き、逃走を再開しようとした。「ドーモ」目の前にニンジャの顔があった。白いニンジャ頭巾とメンポに黒いサイバーゴーグル。「アイシクルニードルです」「アイエエエエエエ！」オヨドはあまりの恐怖に失禁し、その場にへたり込んだ。 #nj_green

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「オヨド＝サン。あなたの奪ったデータを返してもらおう」アイシクルニードルが顔を近付けて威圧した。「アイエエエエエエ！」泣き叫ぶオヨド。アイシクルニードルは無視して指を3本立てた。「今から3つ数える。0までに返さなければ、あなたを殺す」「アイエエエーエエー！」 #nj_green

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「3」アイシクルニードルは3本指を突き出す。「ヤメテ！助けて！」どの道殺されると考えたオヨドは懇願した。「2」アイシクルニードルは無視して指を折る。「アイエエエエエエ！」路地の奥から規則正しい靴音が聞こえてくる。ニンジャの仲間だろう。 #nj_green

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「1」アイシクルニードルの指が1本になった瞬間、一際大きな悲鳴をあげてオヨドは立ち上がり、走り出した。「アイエエエエーエエエエー！」表通りを目指し、走る！「0」アイシクルニードルは無視して最後の指を折った。「時間切れだ。オヨド＝サン」 #nj_green

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アイシクルニードルは逃げたオヨドの方に向き直り、路地の奥からやってきたクローンヤクザ隊を左手を挙げて制した。「よって、ペナルティを与える。イヤーッ！」シュッ！アイシクルニードルの残る右手が閃き、高速で針が投擲された。 #nj_green

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「アバーッ！」ワザマエ！針は狙い過たずオヨドの首を貫いた。オヨドは数歩歩き、倒れる。即死だ。「大人しくデータを渡していれば」アイシクルニードルは懐のタッパーから豚足を取り出し、オヨドに近付く。表通りからは誰も来ない。倒れたオヨドまであと数歩。その時である。 #nj_green

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「イヤーッ！」後方のクローンヤクザ隊の更に後方から、ジゴクめいたカラテシャウトが轟いた。「「「ザッケンナアバーッ！」」」クローンヤクザ隊は振り向くも、額にスリケンを受けて即死！全滅！「何者だ！」アイシクルニードルも振り向くと、そこに赤黒のニンジャがいた。 #nj_green

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「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」赤黒のニンジャは先手を打ってアイサツした。「ドーモ、ニンジャスレイヤー＝サン。アイシクルニードルです」アイシクルニードルは狼狽えた。「なぜここに！」「偶然近くを通っただけだ。片手間に殺される事を恥じるがいい」 #nj_green

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「舐めるな！イヤーッ！」シュッシュッ！アイシクルニードルは針を投擲！ニンジャスレイヤーは針を掴む為に手を翳そうとし、止めた。「イヤーッ！」ブリッジ回避！「イヤーッ！」アイシクルニードルは更に針を投擲！「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは横に転がり回避！ #nj_green

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(((グググ……フジキドよ……少しは利口になったようだな……)))ニンジャスレイヤーのニューロンの奥底から、邪悪な声が響く。(((オヌシの見立て通り、アレはコリ・ニンジャクランの氷針……儂ならまだしも、オヌシのようなコワッパは触らぬが吉よ))) #nj_green

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(黙れナラク)ニンジャスレイヤーは邪悪なる声を降り切った。「イヤーッ！」直後、転がるニンジャスレイヤーに氷針が飛来！「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは跳ねて回避！「イヤーッ！」アイシクルニードルは更に氷針を投擲！「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーは半身で回避！ #nj_green

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「イヤーッ！」シュシュシュシュッ！一瞬のタメの後、大量の氷針を投擲したアイシクルニードルはビルの壁を次々蹴り、Y軸アドバンテージ重点！「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーはダンスめいて氷針を躱す！「イヤーッ！」アイシクルニードルはビルの屋上に到達！ #nj_green

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「イヤーッ！」牽制氷針を投擲すると、全速力で逃走を開始した！「ニンジャスレイヤー＝サン！オタッシャデー！」視界から消えるアイシクルニードル。しかし、敵ニンジャをやすやすと逃すニンジャスレイヤーではない。 #nj_green

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「イヤーッ！」ドウグ社製フックロープの鉤爪をビル屋上の縁に引っ掛けると、自動巻き取り機構を作動させて飛び上がった！「イヤーッ！」デスレースの始まりだ！「イヤーッ！」「イヤーッ！」2人のニンジャはネオサイタマの深い闇へと消えた。 #nj_green

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二人のニンジャが去って数分後、野良犬めいた浮浪者がツキジめいた惨状の路地裏にやって来た。「ヒヒッ！金！チャカ！ヒヒッ！」浮浪者はよく似た背格好のヤクザ達の懐からチャカ・ガンや万札を抜き終えると、スーツ男の死体に目を付けた。サラリマンだろうか？ #nj_green

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「金！ヒヒッ！ヒヒッ！」迷わず進み、サラリマンめいた死体を調べる。サラリマンなら金が倍点。そうでなくても何かしら持っているだろう。「ビンゴ！財布！厚い！」チョージョー。万札とクレジット素子で膨らんだ財布だ。身包みを残さず剥ぐべく服を脱がす。「ヒヒッ？」 #nj_green

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硬い芯に紙が巻かれた何かが出てきた。マキモノだ。具体的価値はわからないが、ただならぬアトモスフィアを放っている。「ヒヒッ！金の匂い！」浮浪者は大事そうに懐にマキモノをしまうと、立ち去ろうとした。「「「ザッケンナコラー！」」」路地の奥から叫び声が聞こえた。 #nj_green

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駆け足で現れたのは3人のヤクザ。背格好は全く同じ！まるで三つ子！いや、死体ヤクザの背格好とも完全に一致している！まるでブンシンだ！「「「スッゾオラー！」」」浮浪者を見るとヤクザ達はチャカを抜き、一斉に引き金を引いた！ #nj_green

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BLAMBLAMBLAMBLAM！ナムサン！この哀れな薄汚い浮浪者もツキジのマグロの内の1匹になってしまうのか！？「ヒヒーッ！」 #nj_green

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「「「シャッコラー！」」」BLAMBLAMBLAMBLAM！ヤクザ達は同時にチャカ・ガンを全弾撃ち尽くすと、同時にタンを吐き、同時にマガジンを入れ替えた。そして、未だ立っている浮浪者にもう一度一斉射撃した。「「「ワドルナッケングラー！」」」「ヒヒヒーッ！」 #nj_green

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BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM！再び全弾撃ち尽くした。しかし、浮浪者は倒れない。 #nj_green