パンツ・サンダーボルト番外編「フライングフィッシュ・オブ・アラビアン」
- ryorinovels
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作者注)このお話はケンペイ天狗、スエズ鎮守府、ならびに「パンツ・サンダーボルト」そして座礁艦隊とは一切関係が無い。ただの自己満足です。いいね?
2014-07-05 13:55:23【注意な】本記録は事実確認が取れておりません。各世界線を横断しつつそのどれとも関係が無い。パラレルワールドのさらにパラレルであると思われます。よって、本記録に関して各世界線への直接のコンタクトを厳に禁じます。以上をご理解の上参照してください。【完全スタンドアローン】 2
2014-07-05 13:53:36都市部を避けて東へひた走る男。日本海軍の第二種軍装を着用し、テング・オメーンを被ったその男。時速60キロで疾駆するその男!「ハァーッ、ハァーッ、ハァーッ、ハァーッ…!」読者の皆様はもうご存知であろう。ブラック提督を殺すため、深海より蘇った復讐者、ケンペイ天狗である! 5
2014-07-05 14:08:33「制限時間はアト9日ト19時間、現在地はヨルダン・アカバ北東、ネオヨコスカまで9,680キロメートル、時速は60キロです。ファイト!」 低空を並走する監視ドローンが無慈悲なマイコ音声でケンペイ天狗へ告げる。そう、彼は今、とある提督の代わりにネオヨコスカまで走っているのだ。 6
2014-07-05 14:10:48制限時間は10日!移動手段は徒歩!そしてなんと、水分、食糧の補給は一切認められない。食べて良いのは女性ものの、かつ脱いでから一時間以内のパンツのみ!ブッダ!海軍の暗黒スポーツでもこれほど理不尽なものは無い! 7
2014-07-05 14:15:24なぜこんな達成不可能な縛りがあるのか? それは、本来この契約を遂行するはずだった提督の性質にある。エジプト・スエズの鎮守府を率いる彼は、パンツを食べるのだ。聞き間違いではない。スエズの提督は日常的に秘書艦のパンツを摂取し消化している! 8
2014-07-05 14:18:29ではケンペイ天狗は?当然無理だ。深海棲艦の力を取り込んだ彼ももとは普通の人間。パンツなど食べようものならたちまち腸閉塞で病院送りである。つまり彼はこの5時間、乾燥した中東の地をひた走りながら、水の一滴さえ口にしていない! 常人ならば既に熱中症を起こして倒れている状態! 9
2014-07-05 14:23:39それでもケンペイ天狗は走り続ける。スエズの艦娘達に降りかかるはずの理不尽を、自身が肩代わりするために。60kmで巡行していれば、猶予は3日ある。だが頼みの龍驤はIRC通話に出ず、パンツを補給する手だても未だ無し。おまけに先ほどから後方を、黒いSUVが数台追走している。 10
2014-07-05 14:33:36突如SUVが増速!ケンペイ天狗を取り囲む!「ザッケンナイキューッ!」「スッゾイキューッ!」天板や窓から身を乗り出したのは何体ものクローンイ級!その手には連装砲、あからさまな妨害である!「イヤーッ!」ケンペイは弾かれたように50口径対物リヴォルヴァーを抜き放つ! 11
2014-07-05 14:40:33BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!機関銃のような横薙ぎの六連射「グワーッ!」六体のクローンイ級が轟沈!スピードローダーでリロード! 12
2014-07-05 14:44:06BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!「アバーッ!」さらに六体のクローンイ級が轟沈!スピードローダーでリロード! 13
2014-07-05 14:45:13BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!「アバーッ!」さらに六体のクローンイ級が轟沈!スピードローダーでリロード!「ザッケンナイキュー!」車からこぼれ落ちたイ級の死体の代わりに車内から新たなイ級が顔を出す!一台に何体乗っているのか? キリが無い! 14
2014-07-05 14:47:27ケンペイ天狗は一瞬思案し、リヴォルヴァーを撃つ!BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!「ナンイキュー?」しかしイ級は誰も倒れない。ミスファイア?否!全てのSUVがコントロールを失って蛇行する! タイヤを撃ち抜いたのだ! 「アババーッ!」全車横転、脱落! 15
2014-07-05 14:51:18妨害を退けたケンペイ天狗は巡行を再開する。「ハァーッ……ハァーッ……!」しかし地獄の10000キロマラソン、わずかなペースの乱れも彼の体力を奪ってゆく。コンディションを整えるため、速度がやや落ちる。少しのタイムロスがいずれ大きく影響してくるのだ。止まることはできない。 16
2014-07-05 14:56:05この契約が失敗すればスエズの提督はセプク、艦娘達は日本から遠く離れた地で路頭に迷うか、グンレイの息のかかった提督の下で非人道的な扱いを受けるのだ。なんとしてでも制限時間内にネオヨコスカへ辿り着かねばならない。 17
2014-07-05 14:59:00ケンペイ天狗は地平線を見据える。この先には広大なアラビア半島の砂漠が広がっている。テロリストとアラビア連邦・日本PKO連合軍が内戦真っ最中の危険な地域だ。しかし迂回している暇は無い。「イヤーッ!」己を奮い立たせるシャウト!走れ、ケンペイ天狗!走れ! 18
2014-07-05 15:06:32「ファッキンドギーシット!」国連軍中佐、ジョン・エンブリー中佐は汚い罵声を上げ立ち上がった。黒い革製肘掛け椅子が床に倒れる。「何なんだアイツは!?二個分隊規模のクローンイ級がああも簡単に…」「だから言っただろうエンブリー=サン。クローンイ級程度では足止めにもならんと」 21
2014-07-05 21:32:06モニターの半分が切り替わり、日本軍人、モチオ・ツラバヤ大佐を映し出す。そう、彼らこそスエズ提督を陥れるはずのこの暗黒スポーツ賭博めいた計画を実行した張本人たちである!彼らの計画はちょっとした手違いで、偶然にもスエズに居合わせたケンペイ天狗に知られてしまったのだ。 22
2014-07-05 21:36:25このままでは二人ともケンペイに殺されてしまう。しかし彼らの予想に反して、ケンペイ天狗はなんと自らスエズ提督の代わりに走り出した!もしもケンペイがネオヨコスカへ時間内に到達すれば契約は完遂と見なされ計画は失敗、責任を取らされセプクする羽目になる。 23
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