自キャラ女体化トーナメント第三話【青柳信子】

自キャラ女体化トーナメントの第三話です。
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ぺんさんセカンド @Pepen_san

夜。空気中の塵が外灯の光を反射し、風の流れが目に見えるものとなる。風は北側から吹き、まるで斬りつけるような冷たさを持っていた。ここは東京北区、首都高速道路。千葉から東京へ結界の影響を受けず侵入可能な唯一の地点にして、物資運搬の生命線。その上を、風を裂いて疾走する二つの影あり。

2015-01-05 22:12:56
ぺんさんセカンド @Pepen_san

「ブォオオオオオオオオオ!」影が唸りを上げる。その影は馬であった。鉄でできた馬、バイクである。跨るは首無しの巨漢と、局部を隠す僅かばかりの布で体を覆った幼女。千葉吸血鬼連合首領、首無し吸血鬼デュラハン本田と、首都高交通機動隊隊員、サキュバスアイドルミニマム武田!

2015-01-05 22:26:59
ぺんさんセカンド @Pepen_san

後方では幾つもの車両が炎上し、ハイウェイを赤く彩っていた。デュラハン本田に追い抜かれた者達の末路である。ミニマム武田も距離を離されれば全身の血を抜かれ、彼らの仲間入りを果たすだろう。これは死のレースなのだ!

2015-01-05 22:38:18
ぺんさんセカンド @Pepen_san

「頭のアンタをぶちどりゃー、吸血鬼連合もおしまいよ!覚悟しろデュラハン!」しかし武田に恐怖は無い。あるのは闘志のみ!他の隊員は連合大隊の処理にてこずっている。応援は望めない。だがこの男を止めなければ、北区は地獄と化すだろう!それを許す彼女ではない!

2015-01-05 22:46:23
ぺんさんセカンド @Pepen_san

「……」デュラハン本田は答えない、何故なら首が無いからだ!代わりに彼のバイクは急加速!ミニマム武田を引き離しにかかる!先にはコーナー。これ以上の速度で曲がりきる技量は、武田には無い!万事休すか!?

2015-01-05 22:58:08
ぺんさんセカンド @Pepen_san

「ヒャアアーッ!」ミニマム武田は……退かぬ!同じく加速、それどころか片手をバイクから離す!そして開いた片手で、車載カメラに向かってピースサインを作った!「全国のファンのやろうどもー!今日だけはてめーらに頼んでやる!さっさとあたしに力をかしなぁー!」

2015-01-05 23:06:22
ぺんさんセカンド @Pepen_san

ミニマム武田の体が光を放つ!ギャルギャルギャルギャル!二人はコーナーを……突破!「よくやったぁー!後で新曲を披露してやる!」武田はそのままデュラハンに接近!ピースを鞭に持ち替え攻撃!デュラハンは剣で対応!騎馬戦だ!

2015-01-05 23:19:47
ぺんさんセカンド @Pepen_san

「ヒィーッ!ハーッ!」嵐の如き連打がデュラハンを襲う!強化時間は有限!武田はここで勝負を決するつもりだ!「ぶちくたばりやがれ!デュラハーン!」「……!」だが、デュラハンも吸血鬼連合首領を張る男!耐える!耐える!果たして勝つのは?血と汗を飛ばし、疾走する二人を、巨大な光が照らす!

2015-01-05 23:31:00
ぺんさんセカンド @Pepen_san

巨大な……光……?今は、夜なのに。「な、なんだぁ?」鞭が止まる。先に異変に気付いたのは、武田だった。進行方向から、二人を照らす巨大な光源。「……!……!!」炎の巨人。そう形容するほか無い存在が、二人の目線の先にあった。

2015-01-05 23:38:15
ぺんさんセカンド @Pepen_san

「うっそだろおおおおおお!?」「ブオオオオオオオオオ!」減速、旋回、再加速!騎馬戦を中断し、来た道を戻る二人!それを捉える巨人の双眼!迫る巨人!逃げるバイク!だが……スケールが、違いすぎる!余りにも!たちまち追いつかれる二人!

2015-01-05 23:49:37
ぺんさんセカンド @Pepen_san

そして振るわれる巨人の腕。最後の瞬間、武田はカメラに向かって満面の笑みを浮かべた。デュラハンは呟いた。「やれやれだ……。」炎に包まれ、二人の姿は見えなくなった。首都高が熱気に耐え切れず、崩壊していく。

2015-01-05 23:56:13
ぺんさんセカンド @Pepen_san

「ヒャッヒャッヒャッヒャッヒャー!やっぱり私は、最強だー!」……崩れた首都高を見て笑うのは、炎の巨人……その胸の中にいる少女。青柳、信子!長い赤髪は熱気により逆立ち、その太い眉は愉悦に歪んでいる!

2015-01-06 00:02:49
ぺんさんセカンド @Pepen_san

「手から火が出たときはびっくりしたけど、こんだけ強いなら大歓迎だよ!この調子でやかましいバイク乗り共に、私の安眠を妨げた事を後悔させてやるわー!」小さい体に似合わない、僅かに膨らんだ胸を揺らし、炎の巨人を進ませる青柳。

2015-01-06 00:09:53
ぺんさんセカンド @Pepen_san

その目線の先は、遠くで争い続ける吸血鬼連合と、交通整備隊の姿!「ふはははー!みんな燃えるゴミにしてやる!」進撃する炎の巨人。彼女を止めるものは、この日、誰もいなかった。吸血鬼連合にも、交通整備隊にも、彼女の火を消せるものは、誰一人としていなかったのだ。

2015-01-06 00:17:12
ぺんさんセカンド @Pepen_san

……こうして、十二年続いた北区首都高争奪戦は、力に目覚めた、たった一人の能力者によって終結した。東京都は彼女と契約を結び、北区の守護者として雇い入れた。以降、北区を狙おうとする者は、誰も居なくなった。

2015-01-06 00:20:47
ぺんさんセカンド @Pepen_san

非常に傲慢で自分勝手ではあったが、歳のせいもあり(なんと12歳!)、彼女は愛される存在となった。争いの絶えぬ北区に、平穏をもたらした炎の英雄、青柳信子として。そして、思い出して欲しい。そんな彼女と、1回戦で闘うのは、誰であったかを。

2015-01-06 00:31:39
ぺんさんセカンド @Pepen_san

西条友喜。大会スポンサーの父を持った、推薦出場者の一人。異能者としての実績は0。金で出場枠を買ったとさえ言われ、世間から忌み嫌われる存在。そんな二人が闘うと決まったら、どうなるか?簡単な問題だ。

2015-01-06 00:37:03
ぺんさんセカンド @Pepen_san

「うおおおおおお!青柳ー!」「やっちまえ青柳ー!金持ちのお嬢様に現実を教えてやれー!」「逃げるなら今だぞ西条ー!」「少しは手加減してやれよ青柳ー!」青柳!青柳!青柳!第一試合と言うこともあって、他の組み合わせそっちのけで、場内は青柳を応援する声で埋め尽くされる。何と言う熱気か!

2015-01-06 00:43:23
白上心中 @Sirakami_Heart

(全く、ギャーギャーと下品な奴らだ……。)

2015-01-06 00:51:24
ぺんさんセカンド @Pepen_san

「まかせろー!私はむてきだー!」飛び跳ね、歓声に答える青柳!『では選手の皆さんは一旦控え室にお願いしまーす!第一試合試合開始は15分後でーす!』アナウンスが流れた後も、声援は止む気配は無かった。西条は一人、控え室へと戻っていった。

2015-01-06 00:50:17
ぺんさんセカンド @Pepen_san

第三話【青柳信子】 終わり。第四話に続く。

2015-01-06 00:58:34
ぺんさんセカンド @Pepen_san

今日はここまでです。続きは明後日の夜当たりにできたらいいなと思っています。よろしくお願いします。

2015-01-06 00:50:45