2014年12月21日のNHKスペシャル「メルトダウン File 5 知られざる大量放出」の冒頭のグラフのピークの説明を原論文から抜き読み

昨年末作ったまとめ「2014年12月21日のNHKスペシャル「メルトダウン File 5 知られざる大量放出」をめぐって」http://togetter.com/li/761525 の補足として作りました。
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nao @parasite2006

(続き)[南〜南南西に移動、福島第二原発、北茨城市で空間線量率、東海村で大気中濃度が上昇を起こし福島県南東部と茨城県北東部に乾性沈着。その後東京、埼玉、神奈川に拡散し乾性沈着。15日午後から群馬、栃木、福島で低気圧の雨による湿性沈着]

2015-01-06 11:47:40
nao @parasite2006

★2011年3月15日朝-16日早朝1:2号機格納容器損傷による大量放出 7:00-10:00 <2号機格納容器の圧力低下 7:00-12:00>(続く)

2015-01-06 11:48:38
nao @parasite2006

(続き)[南〜南西に移動、その後時計回りに方向を変える。(富岡町)夜ノ森 7:00, (楢葉町)松館 7:00, (大熊町)大野 11:00, (双葉町)山田 13:00, 午後には中通りに出て郡山、白河、さらに福島市、飯舘村の各地で雨に出会って湿性沈着]

2015-01-06 11:49:08

(中通りに流れ込んだ放射性物質の流れには、いわきと茨城県北部を主に海沿いに南下して関東平野に到達した後奥羽山脈沿いに北上して戻ってきた分と、阿武隈山地を直接越えて流れ込んだ分の2手があったことは、2011年3月中の福島県下のモニタリングポストの測定値をグラフ化して分析したこのまとめ(残念ながらグラフの画像は現在リンク切れで見えなくなっています)でも指摘されていました↓)

まとめ 福島の各モニタリングポストの初期データを細かくプロットしたもの ふくちゃんさんが友人から貰ったという福島の各モニタリングポストの初期データを細かくプロットしたもの。早野先生にまとめを期待されたら超速で作るしかない。。 16114 pv 257 16 users 7
nao @parasite2006

★2011年3月15日朝-16日早朝2:2号機からの放出、午後も継続。量は午前中ほど多くない <2号機ドライウェル圧力低下、午後から夕方まで> [南東の風により飯舘村と福島市に直接移動し、雨に出会って湿性沈着]

2015-01-06 11:49:31
nao @parasite2006

★2011年3月15日朝-16日早朝3:2号機と3号機からの大規模放出 3月15日18:00-3月16日1:00 <3号機ウェットベント数回、ドライウェル圧力低下 3月15日16:05-3月16日6:002号機ドライウェル圧力低下 3月15日18:00-3月16日2:00>(続

2015-01-06 11:52:16

↑Nスペで放出量全体の10%と言っていたのはこのピーク

[2015.2.16追記]
原論文http://bit.ly/1EDyr6u の表5(p.73-74)をExcelに転記しhttp://bit.ly/1vOxBAg I131の放出量率(Bq/h)からCs137の放出量率を計算して両者を合計するとNスペのグラフの縦軸に一致。さらに3/15午後の19:00から3/16の01:00までの放出量の全体(3/12 05:00-3/31 22:00分)に対する割合は9.57%と算出されました。従ってNHKは表5の放出量推定値のグラフ化http://bit.ly/1L3ip5y までは正確に行っていたと言えます。

nao @parasite2006

(続き)[西〜北西に時計回りに移動。15日21:00に浪江町に到達後、反時計周りに移動方向が変わる]

2015-01-06 11:52:59
nao @parasite2006

★2011年3月15日朝-16日早朝4:3月15日真夜中前後、福島第一原発周辺で空間線量率上昇 (続く)

2015-01-06 11:54:15
nao @parasite2006

(続き)[風が東から吹き、雨が福島第一原発に接近。(双葉町)山田 0:00, (大熊町)大野 1:00, (楢葉町)松館 3:00。JAEA東海で3月16日に採取された試料中の131I/137Cs比=50は15日採取の試料中の値7.7より高かった]

2015-01-06 11:54:37
nao @parasite2006

☆2011年3月16日朝-正午:3号機の圧力低下による放出 9:00-11:00 <3号機圧力低下 9:00-11:00> [朝のうち太平洋に向かい、正午ごろ再び内陸部に戻ってきて原発周辺の空間線量を増大。(楢葉町)松館 11:00, (双葉町)大野 12:00)]

2015-01-06 11:55:06
nao @parasite2006

2011年3月16日正午-20日早朝:3号機のウェットベントによる放出。 <3号機ウェットベント 3月17日21:00と3月18日5:30> [西風と北西の風により主に太平洋へと流出]

2015-01-06 11:55:28
nao @parasite2006

★2011年3月20日の早朝-3月24日:放出継続 <3号機ウェットベント 3月20日11:25;3号機で白煙 3月21日15:55, 炉心再溶融と火災の可能性;1号機で灰色の煙 3月23日16:20, 炉心再溶融と火災の可能性>(続く)

2015-01-06 12:05:33

(↑3/16 11:00以降ずっと海に向かっていた放射性物質の放出がはじめて陸側に戻ってきたのが3/19 15:00のことでした。その後の20-21日の放出が岩手県南部(20日夕方〜夜)と茨城県南部・千葉県東葛地域(21日)の汚染の原因となったと推定されています↓)

nao @parasite2006

(続き)[3月20日は福島県北部から宮城県に流出し、奥羽山脈沿いに北上して岩手県と宮城県の県境に湿性沈着;21-22日には関東地方に流出して湿性沈着] (注:Nスペは電源復旧作業が放水中断なしに進むようになったのは22日以降としている)

2015-01-06 12:07:09

(今にして思えば、このまとめの冒頭に出てくる「JAEAの拡散モデルの専門家」とは福島第一原発事故後一貫して放出量推定の研究を続け、今回のNスペ冒頭の放出量グラフの原論文を発表した茅野グループのことでした↓)

まとめ チェルノ事故時の3倍より21日に何が起きていたかの理解が大切 2011年3月21日の茨城県南、千葉県東葛への降雨による沈着の話題を中心に、つくばでのSrの観測データの報道ぶりについての話題も絡めました。 冒頭部分のより完全な内容はこちらのまとめにあります。http://togetter.com/li/336382 3月15日についての別の短いまとめ。http://togetter.com/li/343522 30559 pv 502 17 users 308
nao @parasite2006

★2011年3月25-29日: [3月25日の午後から夜、南東の風に乗って移動、福島県と山形宮城両県の南部に湿性沈着。26日午前中に北西から南東へと反時計回りに方向を変え、3月29日まで海に向かって流れ続けた]

2015-01-06 12:07:50
nao @parasite2006

★2011年3月30-31日: <2号機の内部温度上昇 3月29日13:00-16:00と31日22:00。3月30日炉心再溶融の可能性も> (続く)

2015-01-06 12:09:07
nao @parasite2006

(続き)[3月30日の午前中、プルームが福島第一原発の東から南西方向へと時計回りに方向を変え、関東地方に流入。午後には栃木県と茨城県で湿性沈着。午後から夜にかけて福島第一原発の北西方向の地域を通過したあと、3月31日には海に向かう]

2015-01-06 12:09:33

[2017.6.9追記]
その後2016年6月の日本地球惑星科学連合2016年大会で、産業技術総合研究所が2011年3月30日に研究所屋上で大気中から小型不定形の不溶性放射性微粒子を捕集し、化学組成も気象研屋上で2011年3月14-15日に捕集された小型球形の不溶性放射性微粒子と異なっていることを発表しました。2号機で炉心再溶融が起こった可能性が考えられている時期に対応しています。
発表抄録はこのファイルhttp://www2.jpgu.org/meeting/2016/PDF2016/M-AG24_O.pdf#page=2
の2件目です。

MAG24-02
福島第一原発事故により放出された粒子状放射性物質の物理・化学的性状の解明
*阿部 善也1、飯澤 勇信1、小野 貴大1、中井 泉1、佐藤 志彦2、末木 啓介2、金井 豊3、足立 光司4、五十嵐 康人4
1.東京理科大学理学部応用化学科、2.筑波大学、3.産業技術総合研究所、4.気象研究所

我々は福島第一原発事故由来と考えられる放射性物質を含む固体粒子を大気粉塵や土壌といった環境試料から分離し,非破壊の放射光マイクロビームX線分析を中心に,1粒子レベルでの物理・化学的性状の解明を進めている1,2)。本発表では,我々の研究によりこれまで発見された放射性粒子について,その物理・化学的性状に関 するまとめを報告する。
茨城県つくば市の気象研究所および産業技術総合研究所で事故後の2011年3月にフィルター上に捕集された大気粉塵から,先行研究1,2)に従って放射性粒子を分離した。同様に,2014年に福島県内の屋外プールで採取した堆積物,および2015年に県内で採取した土壌からも分離を行った。分離された放射性粒子に対して,Ge半導体検 出器を用いた1粒子でのガンマ線スペクトル測定と,低真空型の走査型電子顕微鏡による形態観察および組成分析を行った。さらにこれらの放射性粒子を大型放射光施設SPring-8のBL37XUに持ち込み,縦横約1 μmに集光したマイクロビームX線をプローブとして,放射光蛍光X線分析法(SR-μ-XRF)により各粒子の重元素組成とその分布を,放射光X線吸収端近傍構造解析法(SR-μ-XANES)により含有元素の化学状態を,放射光X線回折法 (SR-μ-XRD)により結晶構造を非破壊で分析した。
本研究により,異なる物理・化学的性状を有する3種類の放射性粒子(Group A,B,C)の存在が明らかとなった。Group Aは直径1~5 μmと小さく,基本的に全て球形である。足立ら1)により,事故直後の2011年3月 14~15日に気象研究所で捕集された大気粉塵から発見され,1粒子で約1 Bqの放射能を有し,質量濃度にして %オーダーの高濃度のCsを含むことから,通称「Csボール」と呼ばれる。またCsの他にもRb,Sn,Baなど核燃料の核分裂生成物(FP)由来と考えられる元素を含み,一部の粒子では核燃料由来の可能性があるUも検出されている2)。FP以外にもSi,Fe,Znなど炉の構成材料由来と考えられる元素も含まれている。Siを母体とするガラスだと考えられ,非水溶性である2-4)。長期的な環境影響が懸念され,実際に福島県内の屋外プール堆積物中にもこの種類の粒子が残留していることが明らかになっている。134Cs/137Csは約1であり,2号機または3号機から放出された可能性が高い。ただしCuやNi,Agなど,一部の粒子からしか検出されていない元素も見られ,単一的な生成・放出過程であったとは考えづらい。
Group Bは,福島第一原発北西地域(福島県浪江町)の土壌から分離された放射性粒子である。同地域には,佐藤ら3)により1号機由来の放射性物質が飛来した可能性が指摘されている。球形でμmオーダーのGroup Aとは異なり,Group Bは大型の不定形粒子で100 μmを超えるものもある。粒子自体はGroup Aと同じくSiを母体とするガラスであると考えられるが,CsよりもBaを多く含む傾向にある,Group Aでは検出されていないSrを含む,Sbに富むといった点で,Group Aとは組成的特徴に差が見られる。また粒子内に数μmオーダーでFeや Mo,Sn,Uなどの一部の金属元素の濃集が見られ,SR-μ-XANES/XRDにより,こうした濃集点においてガラスではない相の存在が示されている。
Group Cは,2011年3月30日に産業技術総合研究所で捕集された大気粉塵より分離された放射性粒子である。粒 径はGroup Aと同程度の数μmであるが,球形ではなく凹凸があり,角張った形状のものが多い。上記の2グ ループの粒子とは異なり,Group Cの粒子の主成分はSiではなく,重元素組成にもGroup AおよびBとは明確な違いが見られた。これら3グループの粒子の物理的・化学的性状の違いは,その生成・放出過程の違いに起因するものであると考えられ,事故後に複数のプロセスによって粒子状の放射性物質が環境中に放出されたことが化学的に実証された。

nao @parasite2006

JAEAによる福島第一原発から放出された放射性物質の拡散シミュレーション動画がこのページに公開bit.ly/1rZDt7z 最新版はページの一番下の2014年3月27日版。閲覧ソフトbit.ly/1rZE1u2 はWindowsとLinuxだけ

2015-01-06 12:15:44

(↑Mac版がないとはくやしい)