屈折法地震探査の原理

地震は災害のイメージが強いものだけれども、生活の中で有効利用されているものでもあるの。 今回はその一部をご紹介します。
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地震たん @jishin_tan

これから人工地震による地下構造探査、特に屈折法地震探査について説明を行うわ。 この連続ツイートの対象者は高校生以上となっています。また範囲は高校地学(無印)および一部発展的内容を取り扱います。 また、一応学術たん冬期講習のタグをつけておくわね。 #学術たん冬期講習

2015-01-07 19:11:44
地震たん @jishin_tan

『人工地震』と聞くと、「地震テロや地震による他国攻撃をする」というイメージを持つ人もいるみたいだけれども、地震学の世界で『人工地震』と言った時には、ふつうは「地面を叩いて振動(地震波)を発生させる」ことを指すわ。間違えないでね。 #学術たん冬期講習

2015-01-07 19:13:35
地震たん @jishin_tan

屈折法地震探査の目的は地下の地震波速度構造を解析することです。地震波はその物質の種類や状態によって伝播速度が異なります。つまり地下の地震波速度がどのようになっているのかを知ることは、地下にどのような物質があるのかを調べることにつながるのです。 #学術たん冬期講習

2015-01-07 19:16:42
地震たん @jishin_tan

さて、屈折法地震探査では地表付近で地震波を発生させるわ。発生させる方法にはその用途に合わせて、カケヤ(大工さんが使うような大きなハンマー)、エアガンなどを用いて地震波を発生させるわ。(画像はカケヤ) amazon.co.jp/%E3%83%88%E3%8… #学術たん冬期講習

2015-01-07 19:19:31
地震たん @jishin_tan

その発生させた地震波を、設置した地震計で記録するの。この記録した地震波形を見て、最初に地震波が到達するまでにかかる時間に注目していくのよ。 #学術たん冬期講習

2015-01-07 19:23:00
地震たん @jishin_tan

今回は最も単純な水平二層構造を想定して地下構造を推定してみましょう。 図のように第一層の地震波伝播速度をV1、第二層の地震波伝播速度をV2、第一層の深さをh、震源と地震計の距離をxとします。 #学術たん冬期講習 pic.twitter.com/OzXlJEBdF5

2015-01-07 19:26:10
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地震たん @jishin_tan

また通常地震波伝播速度は地下であればあるほど速くなりますので、V1<V2です。 #学術たん冬期講習

2015-01-07 19:27:17
地震たん @jishin_tan

地震波は震源を中心に球対象に波及していきます。矢印は震源から第一層を通って直接地震計で観測された地震波です。 #学術たん冬期講習 pic.twitter.com/B8WwdwoWwl

2015-01-07 19:31:45
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地震たん @jishin_tan

もし地下構造がこの第一層のみであれば、最初に地震計に地震波が到達するまでにかかる時間(これを『走時』といいます)とxは比例関係になるわ。 #学術たん冬期講習

2015-01-07 19:32:43
地震たん @jishin_tan

でも水平2層構造の場合、xがある程度大きくなると、今度は下図の経路を通る地震波のほうが地震計に早く到達してしまうの。 #学術たん冬期講習 pic.twitter.com/zEkgbJHXdi

2015-01-07 19:35:30
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地震たん @jishin_tan

これはV1<V2であるためよ。車で近距離移動するときは一般道を通ったほうが早いけれども、長距離移動する場合は遠回りしても高速道路を使ったほうが早く着くのと同じね。 #学術たん冬期講習

2015-01-07 19:38:22
地震たん @jishin_tan

このとき、第一層のみを通り最短距離で地震計に到達する地震波を『直接波』、一度第二層を経由して地震計に到達する地震波を『屈折波』といいます。 #学術たん冬期講習 pic.twitter.com/vcFK4hdgu8

2015-01-07 19:39:43
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地震たん @jishin_tan

この二つの波について、震源と地震計の距離xと最初に地震計に地震波が到達するまでにかかる時間(走時)tとの間には下のグラフが描けます。このグラフを『走時曲線』、直接波と屈折波の走時が一致するところを屈折点といいます。#学術たん冬期講習 pic.twitter.com/aMFg0KF65M

2015-01-07 19:42:39
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地震たん @jishin_tan

この走時曲線を解析することで、地下構造が見えてきます。では次からは具体的な解析方法についてみていきましょう。屈折法地震探査は大雑把に次の流れで行われます。なお、誤差の評価については今回は省略させていただきます。 #学術たん冬期講習 pic.twitter.com/XtzhhHWzF6

2015-01-07 19:43:36
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地震たん @jishin_tan

最初にデータの取り方よ。屈折法地震探査では、xをどのように変えるとtがどう変化するのかが重要なので、様々なxについて測定するわ。大抵の場合、地震計を複数設置して、観測していくわ。 #学術たん冬期講習 pic.twitter.com/THZ8Pjm2h7

2015-01-07 19:44:20
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地震たん @jishin_tan

次に、波形データね。例えば各地震計で次のような波形データが記録されたとするわ。このとき最初に波がやってきた点をチェックしていくの。これをpickすると言うわ。このグラフにおいて、点で示した部分がpickした部分ね。 #学術たん冬期講習 pic.twitter.com/QeNeHqpkam

2015-01-07 19:46:06
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地震たん @jishin_tan

pickした点だけを表示して、その点に沿った走時曲線を推定してみるわ。私はこのように線を引いてみたのだけれども、みんなならどういう線を引くかしら? #学術たん冬期講習 pic.twitter.com/xKTt2yR0fQ

2015-01-07 19:48:40
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地震たん @jishin_tan

このようにして、直接波および屈折波由来の一次関数のグラフを描けば、そのグラフの傾きと切片が見えてくるわね。これを解析に用いるわ。 #学術たん冬期講習

2015-01-07 19:49:12
地震たん @jishin_tan

次に速度構造を調べるために、観測結果とモデルを結び付ける式を導くわ。以下では直接波の走時をt1、屈折波の走時をt2とします。まずは直接波についてですが、こちらは単純ね。直接波についてはこのような式が成り立つわ。 #学術たん冬期講習 pic.twitter.com/3dmWAXG3y5

2015-01-07 19:50:24
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地震たん @jishin_tan

次に屈折波についてですが、ここではスネルの法則と呼ばれる波に関する法則を用いるわ。高校物理では、光の屈折でお目にかかる式ね。復習しておきましょう。 #学術たん冬期講習 pic.twitter.com/6lePGM1HkO

2015-01-07 19:51:36
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地震たん @jishin_tan

話を戻して、屈折しているところを拡大してみてみるわね。ここでの入射角をθとすると、屈折角は90°になっていることがわかるわね。つまり、ここでスネルノ法則を用いて、次のように式変形をすることができるわ。 #学術たん冬期講習 pic.twitter.com/fXfUwfwOmH

2015-01-07 19:53:32
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地震たん @jishin_tan

次にt2をxの式で表していくわ。図よりt2は次のようになるわね。 #学術たん冬期講習 pic.twitter.com/K1I2rZUp8M

2015-01-07 19:55:30
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地震たん @jishin_tan

また、屈折点では反射波の走時(t1)と屈折波(t2)の走時が等しくなるわ。屈折点での震源と観測点との距離をXとすると、ここから次の式を導くことができるわ #学術たん冬期講習 pic.twitter.com/hStk6jRBwo

2015-01-07 19:57:26
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地震たん @jishin_tan

これで式は出そろったわ。観測結果から推定された走時曲線の傾きと、(1)式および(4)式を比較することで、V1とV2が推定できるわ。同じく走時曲線から推定されるXおよび、先ほど推定したV1とV2を(5)式に代入すると、第一層の層厚が導けるわね。めでたしめでたし。 #学術たん冬期講習

2015-01-07 19:58:39
地震たん @jishin_tan

なお、このように水平二層構造といった事前情報と観測結果を元に、モデルを推定する手法をインバージョンモデリングといいます。このあたりの詳しい話は統計たんにでも譲ろうかしら(丸投げ)。 #学術たん冬期講習

2015-01-07 19:59:16
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