航空力学と計算機から考える「効率の上限」とは マキノさんとCordwainersCatさんの考察(2015.1.9)

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Jun Makino @jun_makino

航空力学では、 B. Melville Jones, The Streamline Aeroplane, Journal of the Royal Aeronautical Society, 33(1929) という論文がある。

2015-01-09 21:43:38
Jun Makino @jun_makino

これの大きな主張は、 ( 当時の ) 航空機の空気抵抗は理論的に可能な下限 の数倍であり、極めて効率が悪く改善の余地が大きい、ということである。

2015-01-09 21:43:42
Jun Makino @jun_makino

ここで、可能な下限は、基本的には誘導抗力と摩擦抗力の和で与えられ る。

2015-01-09 21:43:44
Jun Makino @jun_makino

誘導抗力は、有限幅の翼で 0 でない揚力を発生させると翼端渦が発生する ことに伴うもので、基本的には小さくするには翼の縦横比を上げるしかない。

2015-01-09 21:43:45
Jun Makino @jun_makino

摩擦抵抗は表面境界層に速度勾配が存在することに由来するもので、も ちろん揚力を発生させるという観点から余計なもの ( 胴体とか尾翼 ) を小さくし て表面積を減らすことはできるが翼面積は必要なわけで 0 にはならない。

2015-01-09 21:43:47
Jun Makino @jun_makino

もちろん、レイノルズ数が大きな実機では、乱流遷移を遅らせることで 摩擦抵抗を減らすという話はある ( いわゆる層流翼 ) 。

2015-01-09 21:43:49
Jun Makino @jun_makino

で、まあ、いずれにしても、翼面積と縦横比、あと胴体の表面積くらい を決めると、空気抵抗の下限値が決まるわけで、それに比べてどれくらい効率 が悪いか、という議論ができるようになる。

2015-01-09 21:43:51
Jun Makino @jun_makino

この論文は「そういう議論が可能であり、意味があるものである」ということを主張するものである、といえる。

2015-01-09 21:43:53
Jun Makino @jun_makino

だからなんだ、というと、もちろん、では HPC 向けの計算機にとって 効率の上限は何か?という話である。ここでは効率は電力効率である。飛行機 にとっても飛ぶのに必要な動力なので、まあ同じ。

2015-01-09 21:43:55
Jun Makino @jun_makino

アプリケーションを決めないともちろん効率の議論はできないであろう。

2015-01-09 21:43:57
Jun Makino @jun_makino

アプリケーションを決めて、アルゴリズム、演算毎の必要精度を決める と、演算に必要な最小パワーが決まる。

2015-01-09 21:43:59
Jun Makino @jun_makino

あ、利用可能なデバイス技術も決めないと駄目ですね。 NAND ゲート状態 変化での消費パワー単位みたいなので。リークとかあるのはそもそも論外なの でそんなのは考えない。

2015-01-09 21:44:01
Jun Makino @jun_makino

ここで問題なのは、では、「理想の計算機」で考えるのは演算でのエネルギー消費だけでいいのか、それでもデータ移動のコストも考える必要があるのかであろう。

2015-01-09 21:44:03
Jun Makino @jun_makino

まあ、粒子系計算とか、流体でも陽解法でかつ最近の演算量の大きいス キームとかだと、データ移動のコストは小さくできると思われる。

2015-01-09 21:44:05
Jun Makino @jun_makino

非構造格子で、本当にベクトルと疎行列の積を繰り返す、みたいなのは ではどうか、というとどうだろうか?

2015-01-09 21:44:07
Jun Makino @jun_makino

但し、これも、疎行列の全体サイズがオンチップメモリにのる程度 ( もちろん並列 化はするとして ) なら、 SRAM からの読出しコスト自体が演算コストよりも大き いということはないであろう。

2015-01-09 21:44:09
Jun Makino @jun_makino

つまり、「理想の計算機 (+ アプリケーション ) 」を、消費電力が「演算で のエネルギー消費」に等しいもの、として定義するのはそれなりに真っ当では ないかしら。

2015-01-09 21:44:11
Jun Makino @jun_makino

@dai_dereg そっちは可逆計算とかそういう無限に深い世界があって、とりあえず立ち入らない方向で。

2015-01-09 21:47:24
Jun Makino @jun_makino

@TsudaIdzuru 本当の理論限界だとランダウアーの原理 ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9… で決まるような話になるかと。私は「現在利用可能なデバイス技術で」という方に興味があります。

2015-01-09 22:05:06

CordwainersCatによる考察

彫木🌗環🧷✂️✏️(オミクロン株にはガッカリだよ) @CordwainersCat

「現在、利用可能なデバイス技術で」計算に必要な最小エネルギーを果たして定義できるか?回路構成にもよるし、同期回路か非同期か(本当に必要な時だけクロックが入る構造か)にもよるので、定義するのは恐ろしく難しそうな… やはりランダウアーの原理の方からどれだけ非可逆な計算をしてるか?から

2015-01-09 23:51:56
彫木🌗環🧷✂️✏️(オミクロン株にはガッカリだよ) @CordwainersCat

本当に必要な最小エネルギーをはじき出して、その何倍か?を計算する方が理論的にはスッキリしそう。可逆計算の事は考えないw

2015-01-09 23:53:16
彫木🌗環🧷✂️✏️(オミクロン株にはガッカリだよ) @CordwainersCat

テクノロジーを決めてしまえばゲートのON/OFFによる消費電力はこのベージのように計算できるから、演算回路部分で最小限どれだけのゲートON/OFFが必要になるかを見積もれば良いのかなぁ?データパスやその周りの制御回路の事は考えない。

2015-01-10 00:04:05
彫木🌗環🧷✂️✏️(オミクロン株にはガッカリだよ) @CordwainersCat

データパスの事も考えないし、計算速度向上のための付加的な仕組みも考慮しないけれども、データ変化に必要な最小エネルギーはテクノロジー依存で考慮する。何だか半端に実用的な基準…

2015-01-10 00:06:38