不知火に落ち度はない お正月スペシャル2015 その3

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yamoto @yamoto

そうして、半刻ほど牙を交えた。 主殿を座した場所より動かせば、儂の勝ち。 儂が動かなくなれば、主殿の負け。 勝敗はというと──。 #不知火に落ち度はない

2015-01-10 03:49:55
yamoto @yamoto

「呆れた御方よ。地ごと抉り動かしおったとは」 「なに、そうでもせねば勝てぬゆえ」 カラカラと笑う。 そう、儂の勝ちである。 なかなか手強い──否、座したる場所から動かすという条件でなければ、死合となる相手である。 #不知火に落ち度はない

2015-01-10 03:52:46
yamoto @yamoto

その身は、鉄の海妖より遥かに固く、加減などして勝てる相手ではない。 相手もまた同じく。両手両足を使わねば、儂を倒すことは能わぬ。 千日手となる前に、壺の横に穴を開け、中身をスリ取る必要があったのである。 お陰でちと、河の形が変わってしまった。 #不知火に落ち度はない

2015-01-10 03:54:55
yamoto @yamoto

「根比べの腹積もりが見事に覆された」 「年の功──おっと、儂の方が若輩であったな」 いかんいかん。相手の方が年上ぞ。 「では、これは貰っていくとするが、よいかね」 「どうぞ」 ちらり。 拾った小指の先ほどの星辰の欠片を見せると、主殿は頷いた。 #不知火に落ち度はない

2015-01-10 03:58:41
yamoto @yamoto

「しかし、良いのか。場合によっては世が滅ぶが」 「何、それなら愉快と笑い飛ばしてくれよう」 今の世は所詮、人の世。 滅ぶとも一興。 いずれは他の者達が、また似たようなことをするはずである。 それこそ──次は妖の世になるやも知れぬ。 #不知火に落ち度はない

2015-01-10 04:00:43
yamoto @yamoto

「では、主殿。息災でな」 「そちらこそ。杞憂であるか?」 「あと百年も経てば、儂とて死ぬるさ」 そうして、来たとき同様── 儂は雪を踏み、風を踏み、雲を伝って元の場所へと戻ったのであった。 さてはて、星辰の結果はいかなるものか。 楽しみである。 #不知火に落ち度はない

2015-01-10 04:03:47
yamoto @yamoto

うー? 頭がぼんやりします。 目の前は真っ白で、ちょっと身体が冷えてきてます。 うん? もふもふ毛皮暖かいです。 何か、鼻先に当ってます。 #不知火に落ち度はない

2015-01-10 04:11:22
yamoto @yamoto

でも、雪風は眠いのです。 もうちょっとお休みしたいのです。 だってさっき、とてもいい夢を見ていたのです。 どんな夢だか忘れました。 でもいい夢だったのは確かです。 だって龍田さんと司令が、楽しそうに笑ってたのです。 #不知火に落ち度はない

2015-01-10 04:13:39
yamoto @yamoto

うー? なんでしょう。 手の上になにか乗っかりました。 何だか暖かいです。 カイロでしょうか。 じゃあせっかくだから、手の中に握りこんで。 おやすみなさい。 #不知火に落ち度はない

2015-01-10 04:14:54
yamoto @yamoto

また──司令と龍田さんの笑顔が見えますように。 ぐう。 #不知火に落ち度はない

2015-01-10 04:15:18
yamoto @yamoto

そして、次に目を覚ますと雪風はバスの中に居ました。 あれ? あれ? パンダさんが居たと思うんですが。 運転手さんに聞くと、そんなのは居なかったよ、と言われました。 あれー? #不知火に落ち度はない

2015-01-10 04:17:36
yamoto @yamoto

もしかして、ですけども。 「雪風はずっとバスの中で寝てました?」 運転手さんは、少し気まずそうにうん、と言いました。 ふわああああああああああああ……。 雪風は、お休みをバスの中の居眠りで過ごしてしまったのです。 なんて残念。すごく残念。 #不知火に落ち度はない

2015-01-10 04:19:34
yamoto @yamoto

起こして欲しかったです。 起こして欲しかったです。 あれだけ動きまわってたのが、全部夢の話だったなんて!! なんて残念!! おいしいカレーも、絵本いっぱいの本屋さんもお預けです。 はうああああ……でも、居眠りしたのは雪風です。 #不知火に落ち度はない

2015-01-10 04:21:24
yamoto @yamoto

せめて、どこかお休みをしたという証拠程度になる、プリクラでもあればいいのですが。 そう思い、寄れる時間を見ようと携帯を見たところ。 響から着信がなんと5件も入ってました。 これは異常事態です。 あの電話無精の響が、電話を5回もかけてきたのです。 #不知火に落ち度はない

2015-01-10 04:23:16
yamoto @yamoto

慌てて電話をかけなおします! バスの中ですが、雪風は気にしません! 何度かのプルルル音を聞いた後で、響が出ました。 「響だよ。これは留守番電話だ。30秒以内でなにか面白いことを言って早く」 「嘘はいけないと思います」 しょっぱなからこれです。 #不知火に落ち度はない

2015-01-10 04:26:14
yamoto @yamoto

「はいはい。まったく、大ニュースがあるのにどこをほっつき歩いてたのかな、雪風は」 「えーと。……バスで寝てました」 正直に言いました。 すると、クスクスと笑い声。 そういう反応もやむなしです。 「じゃあ、かわいそうな雪風に面白い話を聞かせてあげる」 #不知火に落ち度はない

2015-01-10 04:28:43
yamoto @yamoto

「司令と龍田さんがケッコンしたよ」 「え──」 ケッコンですか。 え、ケッコンなんですか? え、え。 えー!? #不知火に落ち度はない

2015-01-10 04:29:26
yamoto @yamoto

びっくりです。 なにがあったんでしょうか。 あの仲悪い空気のお二人が、ケッコンです。 ウェディングでブライダルでハネムーンです。 なんだかよくわからないけど、すごいことです。 奇跡が起きたのでしょうか。 #不知火に落ち度はない

2015-01-10 04:30:36
yamoto @yamoto

「早く帰っておいでよ。司令が今必死で不知火に説明してるから」 「はえ?」 「多分、雪風の助けが要ると思うよ」 「えーと?? わかりました!」 「ホントはわかってないだろう」 「はい!」 YESです。だってわからないことはわからないんですもの。 #不知火に落ち度はない

2015-01-10 04:33:32
yamoto @yamoto

でも助けが要ると言われたら、やっぱり行かないと。 寄り道してる時間はありません。 「じゃあ、基地で待ってるよ」 「はい。早く帰ります!」 電話を切るととことこと、雪風は運転手さんの所に向かいました。 お願いしないといけないことができたのです。 #不知火に落ち度はない

2015-01-10 04:35:03
yamoto @yamoto

「この基地に、一番早く帰れる便ってどこに乗ったらいいか教えて下さい」 運転手さんは、少し困った顔をした後。 じゃあ、まっすぐ行ってあげるよ、と言いました。 そうして雪風は、まっすぐ基地に帰るルートを取ることができたのでした。 #不知火に落ち度はない

2015-01-10 04:37:31
yamoto @yamoto

そのあと基地についたら、司令がマントをかぶって逃げ回っていたのは別の話。 今日はひとまずそれでおしまいです。 なんだか、一日中バスに乗ったままグルグル回ってた(らしい?)一日でした。 明日はもっと、いい日になればいいなあ。 雪風がお送りしました! #不知火に落ち度はない

2015-01-10 04:39:03

おまけ

yamoto @yamoto

「元帥だー、元帥だー」 「眉毛かいちゃえー」 「こらー、元帥いじめないのー!!」 「長良がきたー! 逃げろー!!」 「逃すかー!」 アウターヘブンのいちまく。 放し飼いにしてるパンダに眉毛が書かれる。 ちゃんとそのあと帰ったみたいです。 #不知火に落ち度はない #おまけ

2015-01-10 04:51:16
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