【邪悪の樹――二籠】第一戦闘フェイズ――生の樹

【貪欲】ハープギーア @habgier_toe

自ら放った炎を消すこともせず、戯曲を終えた演者を貫く。心臓を抉り、取り出す。 溢れる血は鮮やかな緋色の大河。そのまま蛇にくれてやるのは少しだけ気にくわない。 「花束の代わりにもならないけれど、押し付けさせて貰うよ」 赤に触れる。再現するのは、屋敷で見た、【愚鈍】の禍罪。

【貪欲】ハープギーア @habgier_toe

『定義』が正確に満たせず、豪奢とはとても言い難いけれど、まるで穢れを知らないように透明な、小さな薔薇が凛と咲く。 この場で得た禍罪をこのように別の場所で使うことはないだろうなと、ぼんやりとした確信を抱え、求めていたものを手に入れた【貪欲】は、屋敷へと戻る道を目指した。

【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

己の胸に刃が貫こうとも、それは悲鳴すらあげることはなかった。 何せ深部の感覚は死んでいる。 それよりも身を焼くこの炎のほうが痛い。 見ゆる己が心の臓。 ふと屋敷のこと、この場にくる前のことを思い出す。 ーー…約束、したのに守れなかった。 怒られるかもしれないな、と気持ち苦笑した。

【拒絶】アップレーヌング @Az2_abl

零れる、赤。 ーー…そういえば最後まで紡ぐことができなかった。 【貪欲】という名の、ひとつの戯曲を。 ああ、また新たな旋律が脳裏に溢れる。 でももう、…休みたい。 薄れてゆく意識の中、確かにその花を目にした。