孫泰蔵さんが、「ART COMPANY 知識デザイン企業」を読んで考えたことまとめ
ヨーロッパにはオランダ政府を中心として様々な人々の知を集積、駆動させてイノベーションを起こすための場として「フューチャーセンター(Future Center)」という場所があるそうだ。
2010-12-10 08:35:05フューチャーセンターは、省庁や自治体、企業などの通常の組織では作れない、人々の組織横断的ネットワークを形成するための社会資本として機能することを狙って作られたものだという。
2010-12-10 08:35:11フューチャーセンターの原型は1995年にレフ・エドヴィンソン氏によって提唱され、まずスウェーデンの生命保険会社スカンディアの施設としてストックホルム郊外に実現し、次にオランダ政府がその発展に大きく寄与し、現在ではデンマーク、イギリスなど20か所以上で展開されているそうだ。
2010-12-10 08:35:17フューチャーセンターが目指しているのは、同所が様々な人々や組織の「ハブ(Hub)」や「梃子(Lever)」となって新しいアイデアの獲得・共有・創造・伝搬を行う「知のプロセスの場」となることであり、実際ここが地域のイノベーションに貢献する起点となって様々な革新が生まれているそうだ。
2010-12-10 08:35:24多摩大学大学院教授、京都工芸繊維大学新世代オフィス研究センター特任教授であり、知識イノベーション研究所(KIRO)代表の紺野登氏は、実際にフューチャーセンターを訪問し、その特徴は次の7つであったと分析している。
2010-12-10 08:35:33①まず何よりも「結果を出す(知識創造のサイクルを回す)」場所であること、②五感を刺激すること(日常モードからの意識の切り替え)、③物理的に柔軟なミーティング・スペース、④カルティベータ(場の育成者)・ファシリテータ(場の促進者)など場のリーダーシップがソフト面で求められる
2010-12-10 08:35:37⑤カルティベータ・ファシリテータを支援する機能・設備・什器が求められる、⑥グループワークの場であると同時に、個人作業も可能であること(集中ゾーンの設置)、⑦ライブラリ機能・外部へのインターネットアクセス機能の充実
2010-12-10 08:35:43紺野氏「私が訪れたフューチャーセンターの多くは、ユニークなインテリアで、いずれも創造性を触発するような仕掛けや環境のセッティングがなされていた。」
2010-12-10 08:35:51ふーむ、なるほど。これはこれからの自分たちのオフィスのあり方に大いに参考になる。ぜひ一度訪問してみたいなあ。紺野登著「ART COMPANY 知識デザイン企業」(日本経済新聞社)を読んで、今朝はイノベーションを起こす場のあり方について学んだ。
2010-12-10 08:35:56同書はこのようなトピックだけでなく、これからの時代のプロダクト戦略論、組織論、経営論、デザイン論、社会論などについて豊富な研究事例を散りばめながらきわめて鋭い分析と考察が行われており、久々に読みごたえのある書であった。最新の経営学の教科書として機能すると思う。素晴らしい!
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