助かった二人は神殿の縁に引っかかった状態で助かりますが、どちらも疲れて立ち上がることができませんでした。雪の上で倒れた二人でしたが、実はそこは雪庇の上で、重さに耐えられなくなった雪の床は崩壊し、二人もまた広間へと落ちて行く事となりました。
2018-11-18 07:39:11しかし幸いにも雪と天使の死体とがクッションになった事で、二人はほぼ無傷で助かりました。広間は暖かく、共に落ちた雪が溶けたのち、二人は目を覚ましたのでした。
2018-11-18 07:39:31顛末を思い出した二人は、かたわらに横たわる首の長い天使の左目を奪うと、自分の姿を人間に変え、ふたたび街へと歩き出したのです。 そして、それからずっと、人間として暮らしました。
2018-11-18 07:40:36夢を見た。 普段使っていない書斎。本が散乱しているせいでドアからは入れず小窓のようなところから入ると、オーク調の立派なデスクの傍に動くものがあった。──鳥だった。それも背が高く、ハシビロコウのように巨大だった。しかし外見はアオサギのようで、暴れるでもなくこちらを見ている。
2020-07-21 14:54:40一体どこから入ったのだろう。とにかく早く自由にしてやらねばと、剥製のように佇む鳥の横を通って外へつながる窓を開ける。が、長年閉めっぱなしだったせいか錠が固くてなかなか動かない。四苦八苦していると、足にふわりとした触感があった。振り向くと、鳥が猫のように私の足に擦り寄っていた。
2020-07-21 14:54:41その様子が可愛くて、より早く自由にしてやらねばという気持ちになった。ようやく窓を開け、ほら出て行けと促すが、なかなか出て行こうとしない。巨大な鳥は助走ができないと飛び立てないとどこかで聞いたことがあったので、それが原因なのかと思った。
2020-07-21 14:54:42窓はもう一面ある。とりあえずやれるだけの事はやろうと、本や雑貨をかき分けて部屋の反対側に向かった。ステージのように一段小上がりになっているのは、その中に引き出しがあるからだ。中は収納と階段を兼ねており、窓に向かうためにはそれを引き出す必要があった。
2020-07-21 14:54:43なんとか引き出し、窓を開ける。さあおいで、と振り向くと、いつのまにか付いてきていた鳥がすぐ下にいた。だが鳥の興味は引き出しの中にあるようで、小分けにされた中身を確認して空いた一角を見つけると、身体を縮ませてするすると入ってしまった。
2020-07-21 14:54:44だめだよ、ここに巣を作っちゃ。と言ってはみたが、いまいち伝わっていないようだった。黒く丸い目を細めて、引き出しの中にすっぽり収まっている。もうこの部屋は鳥のものかな、と諦めたところで目が覚めた。
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