「スシ・ナイト・アット・ザ・バリケード」
ヤマキタ=サンが、爆発四散した。超爆発は明け方の闇を真昼のように照らしあげた。「アイエエエエ!」カブラ=サンは閃光に目をやられ、地面を転がった。「まずいな」ラプチャーがアジトを飛び出した。アムニジアもそれに続く。彼らが会話をして、さほどの時間が開かずの襲撃であった。
2010-09-08 21:27:08ズシン、ズシン、ズシン、三体のモーターヤブが塀の内側に着地した。アムニジアは手に持った照明弾を投げた。モーターヤブが前進を始めると、家々の陰に待機していたレジスタンスが仕掛けヒモを引っ張った。途端に、土の下に仕掛けてあった霞網が野球場のネットのごとく立ち上がった。
2010-09-08 21:35:06前進を開始していたモーターヤブの一体は止まりきれず、霞網に飛び込んで、そのまま絡め取られた。家屋の窓々から顔を出したレジスタンス達が、網を破ろうともがきながらガトリングを乱射するモーターヤブにグレネードを投げつけた。立て続けの爆発の直撃を受けては流石のロボ・ニンジャもたまらない。
2010-09-08 21:44:37装甲がひしゃげ虫の息となったモーターヤブの関節部に羽根飾りのついた矢が飛び来たり、容赦なく突き立った。村の火の見ヤグラで弓を構えるアムニジアの精確無比な狙撃であった。これがトドメとなったか、センコ花火のような火花を散らしたのち、そのモーターヤブは動きを停止した。
2010-09-08 22:07:34「いいぞ!ガンバレ!気を抜くな!」メガホンで激励の言葉を叫びながら、リーダーが走り回る。だが、モーターヤブは一体でも一軍に匹敵する殺戮マシンである。それが二体も残っているのだ。さらに二度の僥倖は期待できるのだろうか?
2010-09-08 22:12:21突如、家屋のひとつが砂煙をあげて根元から爆発四散した。中に隠れ、窓からライフルでモーターヤブを銃撃していた数人のレジスタンスが、根こそぎ犠牲となった。悠々とその側を歩くのは肥満したシルエットのニンジャ。エクスプロシブである。
2010-09-08 22:19:28たちまち他の家屋から銃撃が浴びせられる。しかしニンジャ反射神経の持ち主に通常の銃撃は無効だ。エクスプロシブはブリッジからバク転、そのまま宙を飛び、手近の建物の陰へ隠れてしまった。「ニンジャだ!」「ニンジャだと?」「どうしてニンジャが…」「アイエエ!」さらに一軒、爆発四散した。
2010-09-08 22:23:50数人のレジスタンスが建物から飛び出し、エクスプロシブを狙う。だが、無残!その横からモーターヤブが機銃掃射を行い、なぎ払った。皆殺しであった。
2010-09-08 22:28:49ニンジャの登場により、微かに見えていた勝利の二文字は手の届かない高さへ持ち去られたかのようだった。「ラプチャー=サンは?ラプチャー=サンはどこに…」リーダーが空しくさけんだ。そこへ一体、モーターヤブが襲いかかった。弾の切れたガトリング砲を廃棄し、右手のサスマタを振り上げる。
2010-09-08 22:38:00「アイエエエ!」リーダーはモーターヤブの刺突を横飛びに避け、倒れこんだ。地面から生える仕掛けヒモに気づき、それへ手をのばし、引いた。リーダーの足元近くで落とし穴が口を開く。サスマタでさらなる攻撃を加えんとしていたモーターヤブがその穴へ落ちかかる。しかし、ナムサン!
2010-09-08 22:42:49モーターヤブはただのマシンではない、ロボ・ニンジャなのだ。よろけながらも、モーターヤブは器用にバランスを取って穴の淵に踏みとどまる。今度の刺突は避けようがない!「イヤーッ!」
2010-09-08 22:45:27横から飛んで来たニンジャの飛び蹴りがモーターヤブの頭部を直撃した。モーターヤブは体勢を崩し、今度こそ落とし穴に転落した。飛び蹴りの主は青紫の装束を着た長身のニンジャであった。「あ、あんた」リーダーは震えた。「ドーモ、ラプチャーです」「ニンジャだったのか!」
2010-09-08 22:49:51リーダーを助け起こすラプチャーの足元に、バクチクの束が転がって来た。「イヤーッ!」ラプチャーはリーダーを抱えて跳び、爆発を危ういところで回避した。砂煙の中からエクスプロシブがゆらゆらと歩いて来る。「お前がニンジャか!グッハハハハ!」屋根の上に着地したラプチャーに向かって哄笑した。
2010-09-08 22:54:17「ドーモ、ハジメマシテ、エクスプロシブです」「ドーモ、エクスプロシブ=サン。ラプチャーです」「ほれ!」エクスプロシブはバクチクをアンダースローで投げつけた。「イヤーッ!」ラプチャーが掌を突き出した。空気が波打った。
2010-09-08 22:58:48奇怪!空気の波はバクチクを空中に押しとどめた。空中で虚しく爆発するバクチク。「子癪なジュツを。だが無駄だ。なぜというに」エクスプロシブが指を鳴らした。ラプチャーが足場にしていた建物が、爆発四散した!「グワーッ!」
2010-09-08 23:03:17「注意一秒、怪我一生。もはやこのトットリは俺の庭も同然だ。この意味がわかるな?」地面に投げ倒されてうめくラプチャーとレジスタンス・リーダーのもとへ、悠々とエクスプロシブが歩み寄る。「他人を庇うなど、愚の骨頂!ロクにチカラも見せられず退場する気分はどうだ、ラプチャー=サン?」
2010-09-08 23:09:55「キエーッ!」斜め後ろからの飛び蹴りがエクスプロシブを襲う。「グワーッ!」エクスプロシブは側頭部に蹴りを受け、よろめいた。カイシャクを阻止したのはアムニジアであった。「もう一人ニンジャだと?……いや、違うな」エクスプロシブはズレた顎の骨を直しながらひとりごちた。
2010-09-08 23:58:58「女、お前にはニンジャソウルが入っていない。ニンジャの真似事か?」エクスプロシブは冷静にバクチクを手に取った。「キエーッ!」アムニジアがスリケンを投げた。エクスプロシブに当たるはずもない。流麗なブリッジでスリケンを避けると、次の瞬間には彼はアムニジアの目の前に立っていた。
2010-09-09 00:02:43「設置完了!グハハハ!グッハハハハ!」エクスプロシブは哄笑した。「アイエエ!」アムニジアのたわわな胸元に、首輪の如くバクチク・ベルトが巻き付けられていた。タツジン!一瞬の事である。エクスプロシブは爆風の届かぬ距離へあらかじめ後退した。「花火を見せてもらおう!まとめてオダブツだ!」
2010-09-09 00:13:26「なるほど、それはなかなか面白そうではあるな」この場にいる誰のものでもない声が答えた。「ナニヤツ!」エクスプロシブは周囲を見回した。聞こえてくるのは、遠くでレジスタンスと銃撃戦を繰り広げているモーターヤブの戦闘音だけである。
2010-09-09 01:58:26「だが、花火になるのはお前一人で十分だ。エクスプロシブ=サン」声はエクスプロシブの背後で聴こえた。「グワーッ!」エクスプロシブは反射的に前方へ大きくジャンプし、元いた場所を振り返った。そこには新手のニンジャがいた。赤黒いニンジャ装束、「忍」「殺」のメンポ。
2010-09-09 02:02:39「お…お前は……」エクスプロシブは後ずさった。赤黒のニンジャは片手でバクチクを弄んでいた。女の首筋に設置したはずのバクチクである。「お前は、ニンジャスレイヤー!?」「ハジメマシテ。エクスプロシブ=サン、ラプチャー=サン。そして」そして、女に向かって言った。「ドーモ、ユカノ=サン」
2010-09-09 02:09:15