添乗員

PoKo @Poko8_m

【添乗員の横山55】 ってますます、にらまれてる「いや、その…特に理由はないんやけどさ」「じゃあ、そのことは、あんたには関係ないじゃない」顔に似合わず言い方、きっついな「話はそれだけですか？私…。もう行くから。それに、彼氏がいないのは、できないんじゃなくて、作らないだけだから！」

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【丸山の元カノ8】 なんなのアイツ！感じ悪すぎるって思いながら、土産物屋に入る。ふと、やっぱり…姿の見えない、あの2人がどうしてるのかと気になっている自分に気付く。丸山…、あの子とうまく行くのかな？自分でそう仕向けたのに…。でも、うまく行かなかったら、私のところ戻って来てくれる？

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【丸山の元カノ9】 もう、望みが叶う可能性は少ないのに、残り少ない可能性のことを考えてしまう自分が情けない。あれから、3年近く経つのにどうして、丸山のこと引きずっている自分がいるんだろう。もしかして、丸山みたいに誰かに、私も素直に一途に誰から、愛されたいって思っているのだけかな？

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【同期の丸山57】 やっぱり、御守が見つからなくて、カバンの中身を軽く見てみるけど、見当たらへん「おっかしいな…」ガサゴソやっとる間にも目的地についてしもうて。急いでバスを降りると、彼女がバスの前で待っていて「俺と一緒に居るんが嫌やったんとちゃうの？」と心ないことを言ってしまう。

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【同期の丸山58】 「別に待っていたわけじゃないし。コレ、返すね」って俺が無くしたはずの御守を持ってるあいつ「どうしたん？無くしたって思ってたんやけど…。それより、お前さ…御守要らんかったら、要らんで、添乗員に渡すんやなくて、俺に返せよ」「…え？私も御守が昨日から見当たらなくて」

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【同期の丸山59】 「さっき、要らないって言ってたって、添乗員のいけ好かない奴に渡されてん」「そんなこと、一言も言ってない。その御守だって、どこかで落としちゃって…。その丸山くんのかもしれない御守は先輩に渡すように頼まれて、それだけだから、じゃあね」って歩き出す彼女を引き留める。

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【同期の丸山60】 「昨日のこと、悪かったって思っとんねん。もう、あんなことしようとは思わんし、今朝とか避けられた時点で、俺…耐えられんのやったけど」って思わずしゃがみこんでしまう。ホンマに情けない「おっ前ら、うっさいわ！こんなところで、ホンマにもう…。何があったか知らんけどさ」

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【同期の丸山61】 1号車の運転席の窓が開く「その御守なぁ…昨日、横が拾ったって言ってたゎ。多分、その彼女のやろって言っとったで？アイツんことやから、理由があってそんなこと言ったんと違うか？とりあえず、痴話喧嘩の類やったら、こんなところですんなや？寝られへんやろ？ホンマにもう…」

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【同期の丸山62】 1号車の運転手に怒られて「すみません」と謝っていると周りに会社の人間は誰も居らんようになっとって「昨日のこともあって、気まずいの分かるんやけどさ…その…話とかできへんかな？それとも、急いで、みんなんとこ…合流するか？」一瞬黙った彼女が「私も話したいことがある」

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【同期の丸山63】 「あ、そうなん？」まさか、あいつから話したいことがあるって言われるとは思わんくて、一瞬、固まって反応に困る。あいつからの話ってなんなん？もう、悪い想像しかできないんやけど。もう近づくなとか、そんな類なんかな。ホンマに、昨日の夜…あんなことをしなければよかった。

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【同期の丸山64】 周りをざっと見て、近くにあった休憩所で向かい合いに座る。話したいことがあるって言われて…。なのに、ずっと無言で。昨日のことをずっと責められているような気分になる。無言の状態に耐えかねて「何か飲むか？」って聞くけど、反応もなく。何か言いたそうにしてるのは分かる。

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【同期の丸山65】 「あとさ、昨日のこと…ちゃんと、謝らないといけないと思っとるんやけど…。ホンマにごめん。でも、ホンマに…俺…」とにかく話をしないのなら、只管…。こいつに俺は弁解をしないとあかんって思った。なかったことにはならないんは分かるんやけど、そしたら「ねぇ、何で今更？」

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【同期の丸山66】 「どうして、今更、私にそんなことしたり、そんなこと言うの？ずっと好きだったんなら、何で今なの…？亮くんに告白されたって話をしたときに、何で一言、言ってくれなかったの？俺にしろって言ってくれなかったの？何で、いいやん。亮ちゃんと付き合ったらとか言ったのよバカ！」

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【同期の丸山67】 「それに、ずっと私のこと好きって言ってくれてたのに、いつの間にか私のこと好きって言ってくれなくなってるし、もう、嫌いになったんだと思って…」いきなりのこと過ぎて、頭の中がよう回らん。ようするに、こいつ…。ホンマは俺のことが好きってことでイイんと違うんかなぁ…？

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【同期の丸山68】 「好きや！って言わなくなったのは、お前が俺のこと何とも思ってないと思ってたから、逆に本気で迷惑やと思うようになったからで…。それに、俺が亮ちゃんに勝てる要素なんてそれこそ、身長が高いってことくらいしかあらへんし…とか思って。亮ちゃんのがお似合いやと思ったし…」

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【2号車の彼女54】 私だって悪いのは分かってた…。丸山くんに何とも思われてない…（多分、勘違いだけど）って思うようになってから。ううん、その前からだ。多分、彼が私のことを好きでいてくれるっていう事実にどこか甘えてたというか、亮くんと別れてからも、ずっと近くで励ましてくれてたし、

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【2号車の彼女55】 好きだからこそ、丸山くんに寄り掛かって居られたんだよね？「もう、いいよ。言い訳なんて聞きたくない…。今、どう思っているかが聞きたい」「…好きです。はじめて会ったときからずっと好きです」思いっきり顔を真っ赤にしてる丸山くんの目は、凄く真剣で何も言えなくなった。

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【添乗員の横山56】 バスに戻ってきた時に、なんだか、あの2人の様子が変わっていることに気付く。もしかして、うまく行ったんかなぁ…？朝は別々だった席も隣同士の席に戻っていて、なんだか雰囲気も丸くなっているような、居ないような…？まぁ、よかったんと違う？でも、俺としてはこうなると、

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【添乗員の横山57】 あの男を好きだと言ったツンツン女が気になる。さりげなく、乗車人数を確認した時に、声を掛けてみる「大丈夫か？」「何が？」「うまく行ったみたいやで？」「言われた。ありがとうございますって」「だから、大丈夫かって聞いてんねん」「好きな人が幸せならいいんじゃない？」

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【添乗員の横山58】 意外とあっさりした反応で、吃驚した「強がりじゃないですよね…？」「え？」「え、いや…なんでもないです」でも、そんな彼女はどこか寂しそうな感じに見えた。そりゃ、その分、あんたも、あの男に片思いしてたんだもんな「きっと、いい出会いありますよ」「だと、いいけどね」

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【添乗員の横山59】 こうして、2人の恋愛騒動に巻き込まれた添乗の社員旅行は終わった。別れ際の最後に2人にお礼を言われた。せやから俺は「もし、何かあったらいつでも言ってくださいね」って彼女に言ったら「そういうこと無いんで、大丈夫です」っていう同期の男。俺はそれに苦笑いを浮かべた。

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【添乗員の大倉12】 「横山くんさ…。ホンマに人が良すぎんねん。自分よりも人のことばっかで…」と思わず言ってしまう「えぇねん。あいつがそれで幸せになれんなら。あいつ…妹みたいなもんやと思うし」といつものように笑うから俺も、安心した。意外とこう見えてこの人、繊細やから、心配やねん。

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【添乗員の大倉13】 「横山くんがそれでえぇなら、いいんやけどさぁ。人のお節介を焼くのもいいけど、自分の幸せも考えた方がえぇで？」「同じことヒナにも言われたわぁ」「あ、もし、女の子紹介してほしかったら、言ってないつでも、紹介したるから」「お前にそんな、心配されたないわ」－END－