ア・クルエル・ナイト・ウィズ・レイジング・フォース・フロム・ソー・サイレント・フィアフル・レルム #7

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

KBAM、KBAM……カラテミサイルの爆発の光が広間を破滅的に照らす中、奥ではヴァストバルクの巨体がよろめき、重苦しく片膝をつく。その利き腕はセグメント分割された奇怪な剣のワイヤーによって肘先を固定されて封じられ、その背にのしかかったスパルトイがカワラ割りの拳を打ち下ろした。73

2015-02-03 23:09:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」カイシャク!「サヨナラ!」ヴァストバルクの頭部が破砕、崩折れながら爆発四散すると、スパルトイは転がり落ちて床に叩きつけられた。「グワーッ……」「シルバーキー=サン」ユカノが呼びかけた。シルバーキーは歯を食いしばり、ジュエルを、メイルシュトロムを睨み続ける。 74

2015-02-03 23:11:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ユカノはシルバーキーの肩に触れたまま、決然とチャドー呼吸を開始する。「スゥー……ハァーッ……」「スゥー……ハァーッ……」シルバーキーが応える。強張った身体の震えが引いてゆく。「「スゥー……ハァーッ!」」「イヤーッ!」「グワーッ!」 75

2015-02-03 23:16:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ゲニンが満身創痍のドモボーイを圧倒! ドモボーイにはもはや気力すらも残されておらぬ。更に襲いかかるゲニンに対し、新たに立ちはだかるニンジャあり。ディミヌエンドである。「イヤーッ!」「グワーッ!」彼女の状況判断は、果たしてギルドにとって吉か凶か? 76

2015-02-03 23:18:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

シルバーキーの視界が吹き飛び、再び彼はローカルコトダマ空間の浜辺に己を見出している。目の前にはジュエル。ジュエルを挟み、山のようなメイルシュトロムの圧倒的な姿。だがシルバーキーの傍らにはユカノがいる。チャドー呼吸。シルバーキーの身体が内側から輝き出す。 77

2015-02-03 23:20:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「いける。吹き飛ばしてやる」シルバーキーは目を見開いた。ユカノが呟いた。「ジュエルはオヒガンを渡る鍵のようなもの」コトダマの海の上に霧が立ち込め、幻じみて、太古のキョート城の光景が目まぐるしく浮かんでは消えてゆく。シルバーキーがユカノを照らし、記憶の残滓を投射しているのだ。78

2015-02-03 23:25:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「迷ってはなりません。よいですか」ユカノが言った。シルバーキーはニューロンをブーストする。「グワーッ!?」メイルシュトロムの身体が膨れ上がり、崩壊を始める。シルバーキーはジュエルの力を送り込む!「グワーッ!?」ユカノは続けた。「機会を逃してはなりません。今この時を」 79

2015-02-03 23:27:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イイイヤアアーッ!」ジュエルの力を循環させたシルバーキーは今や銀の太陽フレアと化し、夜のコトダマ浜辺を真昼めいて照らし、そしてメイルシュトロムの巨体を焼き尽くす!「グワアアアーッ!」「ジュエルはオヒガンに穴を穿つ」ユカノが言った。彼女は懐から何かを取り出した。黄金の星座盤!80

2015-02-03 23:30:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「キョート城に辿り着いた今、この星座盤は私にはひとまず用済みです」「……何を言ってる」シルバーキーはユカノを見た。ローカルコトダマ浜辺は、今やもとの静けさと夜の暗さを取り戻していた。ユカノは黄金の星座盤をシルバーキーに差し出した。「帰ることができる。オヒガンに道を探しなさい」81

2015-02-03 23:47:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何を言ってる!」シルバーキーはユカノを掴み、肩を揺さぶった。「こんなところ用済みだ。ダークニンジャの奴が生きてる事もわかった。俺はアンタのクエストに便乗させてもらって、こうして俺の身体も取り戻せた。万々歳じゃねえか。帰るんだ!ニンジャスレイヤー=サンだってアンタを待ってる」82

2015-02-03 23:54:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「帰ります。必ず帰ります」ユカノは頷いた。そしてシルバーキーの手に触れ、やさしく肩から離した。「ですが、私にはまだ為すべき事があるようです。ドラゴン・ニンジャとしての責任が」シルバーキーは狼狽えた。打ち寄せる波が極度のスローモーションになり、広間のイクサが周囲に戻ってきた。83

2015-02-03 23:59:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

メイルシュトロムは爆発四散し、既に彼の目の前から消え去っていた。広間に残るゲニン達を、パーガトリーのカラテミサイルが執拗に焼き滅ぼしていく。ギルドのニンジャ達が一人、また一人、シルバーキーとユカノのもとへ用心深く集まりつつある。すぐそばでディミヌエンドが威圧的に刃を鳴らす。 84

2015-02-04 00:06:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

二人の傍の空中にジュエルが静止している。ホログラム映写機めいて、虚空に黒い歪みを投げかけている。「わかった」シルバーキーは頷き、星座盤を受け取る。「俺もアンタと同じような啖呵を切ったさ」「うまくやります」ユカノは言った。ディミヌエンドに油断なくカラテを構え、邪魔を許さない。85

2015-02-04 00:12:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「行きなさい!」「イヤーッ!」シルバーキーは両手を広げ、上体をのけぞらせた。ジュエルが彼の意志力に反応、歪みを拡大させる!「イヤーッ!」ディミヌエンドが短剣を投擲!「イヤーッ!」ユカノが裏拳で弾き飛ばす!「私が相手をしましょう!」「イヤーッ!」シルバーキーは歪みに飛び込んだ!86

2015-02-04 00:15:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

01010000100101ルバーキーのコトダマ視界には、絶え間なく流れ続ける無限の情報の上に灯台めいて輝く確固とした無数の光が見えていた。シルバーキーは黄金星座盤のガイドを頼りに、飛翔角度を注意深く調整する。キョート城は遥か後ろ。彼は眼前に新たな海を見出す。そして舟を。87

2015-02-04 00:24:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!」シルバーキーは重力に捕えられ、おぼつかないボートの上に落下した。「ホーッ!ホーッ!ホー!なんとも慌ただしくシツレイな」船頭は尻餅をついて彼の落下を避けていた。彼は身体を叩いて起き上がり、水面に浮かんだ海賊帽を素早く拾い上げた。「来たりて去りてまた来たる、善哉」88

2015-02-04 00:29:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アンタは」「うむ、俺はカロン……」「カロン・ニンジャじゃなく、コルセア=サン!」シルバーキーは指さした。コルセアはやや気分を害したように海賊帽のつばを整えた。「ま、そうご無沙汰でもないゆえな。しかし不躾な奴。ドーモ。シルバーキー=サン」「俺がわかるのか」「お前と同じにな」 89

2015-02-04 00:36:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「この船はどこへ向かってる」「波のゆくまま」「ジョークに付き合わなかったことは謝るよ」シルバーキーは顔をしかめた。「帰らなきゃ」「帰れるとも。実際早いぞ。間に合うやもしれん」コルセアは頷いた。シルバーキーは眉根を寄せた。「間に合う?」「ああ、イクサにな」コルセアは言った。90

2015-02-04 00:38:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イクサだと?」「ヒヒヒヒ……なかなかに忙しいだろうな。人の子よ」コルセアはほくそ笑んだ。「ここ最近、随分と様々な連中が乗り合わせる。大忙しだ。麗しい金髪女やら、水晶じみた人形に、ヒヒヒ、サラリマン」「……」シルバーキーは聞き返すのをやめた。ボートは滑り出した。 91

2015-02-04 00:41:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ZANKZANKZANK……風穴洞じみたドーム状の広間の一角、闇が沸騰し、身をもたげると、それは不明瞭なニンジャ存在を形作った。再び産み落とされた存在はしめやかに歩き進み、中央のタタミ玉座を目指す。メイルシュトロムは煮えるような怒りを胸に、新たな手管に思い巡らせる。 93

2015-02-04 00:49:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「シるバーキー」メイルシュトロムは呪詛めいて呟いた。これでは飼い犬に噛まれたも同然の不名誉である。コトダマ適性者はくびきを逃れ、現世への復帰の希望で餌付けしたニンジャ達を惜しみなく投入した決戦がくだらぬ敗北に終わり、ジュエルを奪取することもかなわなかった。 94

2015-02-04 00:52:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

しかし、この狭間の世界……キョート城ある限り、彼は無限に再生する事が可能だ。ニンジャソウル原形達を組織し、使役し、やがてはダークニンジャの軍勢を滅ぼすに至る。そして、いずれ現世に帰還する事ができよう。「ドらゴン・にンジャか……いマだ感じルゾ」彼は呟いた。「あレモ必ず掌中に」95

2015-02-04 00:55:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「否。それは叶わぬ」タタミ玉座から思いがけぬ声が降ってきた。メイルシュトロムは玉座の上を凝視した。「誰ノ許しあッテ、そコニ上がルか!」「……」その者は低く笑った。フードを目深に被った、ローブ姿のニンジャである。メイルシュトロムは驚愕に凍りついた。「バカな」96

2015-02-04 00:59:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ。ダークニンジャです」カタナめいた眼光が超自然の悪霊を射抜いた。メイルシュトロムは呻いた。「バカな……しカシ、いクサは……!」「全て、この為に。貴様の存在を根源から断つには努力を要したな」反射的にカラテを構えたメイルシュトロムの眼前に、ダークニンジャが立った。97

2015-02-04 01:07:33
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