ガラスバッジによる個人の線量測定

ガラスバッジ(個人線量計の一種)を用いた個人の線量測定についての補遺. ・前半は個人線量計の示す値の意味を計測の基本まで遡って掘り下げたもの ・後半は低線量率でガラスバッジが使えるかどうか(低線量率相反則不軌) を扱っています. 続きを読む
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cwt @clear_wt

13) 0.54mSv/年というのはシンチ式サーベイメータの測定値を考えると少し高めにも感じますが,宇宙線を拾いやすいGM管式サーベイメータがPD式やシンチレーション式より0.06μSv/h程度高い値を示したのと似ているかもしれません.

2015-03-09 00:00:14
cwt @clear_wt

14) 参考:twitter.com/clear_wt/statu…

2015-03-09 00:00:34
cwt @clear_wt

【放射線計測勉強会】勉強会中にご紹介した,「GM管のバックグラウンドは宇宙線由来の成分がほとんどらしい」という話(大深度地下での検証)については @utsunomiaa_com さんの utsunomia.com/y.utsunomia/Ga… のA5と,そこから辿れるリンク先に詳しいです.

2013-05-21 19:49:42
cwt @clear_wt

14) 一応,思いつく範囲での要因を挙げてみましたが,一つ一つについてきちんとした調査を行っていませんし,抜けている要素もまだある気がします.

2015-03-09 00:01:28
cwt @clear_wt

15) 全体としてみると,空間線量率(周辺線量当量率)や,空気吸収線量率がいくらだからそれを人体遮蔽分で何倍にしていくらになるはず,それに比べて大きい小さい,というのは問題を単純化しすぎているように感じます.事実や実測に基づいた検討が必要です.

2015-03-09 00:02:12
cwt @clear_wt

16) 一方で,最初に述べたように,ガラスバッジの測定の限界を考え,それを超える大きなバイアスのあるかないかだけが問題です.<仮に>それを疑う要素なり,事実があるなら調査は必要でしょうが,その場合でもあまり細かく数字を出すことにこだわりすぎても意味はありません.

2015-03-09 00:04:24
cwt @clear_wt

17) あらゆる測定には限界があるので,限界を踏まえたうえで適正に運用する事が重要です. (以上)

2015-03-09 00:05:53
cwt @clear_wt

おまけ)以前千代田テクノルの方に伺ったところによると,福島で使われているガラスバッジはGI型で,この用途のために測定線種がγ線のみ,測定エネルギー範囲が80keVから10MeVになっているそうです.モニタコードはMSで,FSに近いが測定範囲とバックグラウンド処理が違うとのこと.

2015-03-09 13:20:14

ガラスバッジ測定値から引くバックグラウンド値と算出根拠

ガラスバッジ測定値から引くバックグラウンドの値の根拠,および,この値を決定した際のコントロールバッジの保管環境について千代田テクノルの方に詳しく教えていただきました.

cwt @clear_wt

1) ガラスバッジのバックグラウンドとして引く値を決める基準となる,千代田テクノルで管理しているコントロールバッジについて詳しく教えていただいた結果をまとめておきます.

2015-03-23 23:33:02
cwt @clear_wt

2) バックグラウンドとしては0.54mSv/年をガラスバッジの使用期間に応じて差し引いている.

2015-03-23 23:33:42
cwt @clear_wt

3) 大洗研究所で管理されているガラスバッジは個人が身に着けるガラスバッジと同じ仕様.

2015-03-23 23:34:01
cwt @clear_wt

4) 測定環境詳細については, ・大洗の測定センター(コンクリート2階建)の1階で測定した,複数個の平均 ・値は震災前の測定値を固定値として採用 ・コントロールバッジは,実際に装着している期間の以外(輸送中等)の線量も差し引く意味合いがあり,条件を上記に統一して評価を行っている

2015-03-23 23:34:57
cwt @clear_wt

5) ・自然放射線量45μSv/月は、茨城県大洗町にある弊社測定センター建屋内でのガラスバッジによる実測値 ・測定場所は,ガラスバッジを保管しているコンテナプールと呼んでいる所で、周りに遮蔽物があるため,放射線量が低い場所

2015-03-23 23:35:39
cwt @clear_wt

6) ・測定方法は、使用前後のガラスバッジを保管しているのと同じ条件.オンファントム(個人線量当量)でも自由空間(周辺線量当量)でもない.

2015-03-23 23:36:09
cwt @clear_wt

7) 以下,ガラスバッジ測定値から引き去るバックグラウンド(BG)値と,その算出根拠となるコントロールバッジの保管環境についてのコメント(実績のある専門メーカーに対し,本来私ごときが何か言うことでもないですが…).

2015-03-25 17:18:28
cwt @clear_wt

8) コンクリート建屋の屋内測定値(宇宙線もある程度減衰)/震災前の値/(建物以外にも)ある程度の遮蔽のある状況という点を考慮すると,多少の地域差はあるとしても(丸め誤差を超えるレベルの)引きすぎの心配はまずなさそう.当然,ばらつきへの対応もなされている.

2015-03-25 17:19:58
cwt @clear_wt

9) 実際に使う個人線量計と同じものを使っているので,差動計測法としてきわめて正当な測定. 重箱の隅を突こうとすれば何も無いわけではないけど,制約を考えるとこれが現実的な方法であるし,それらの違いから来る誤差は要求精度や他の誤差要因と比べると問題にならないレベル.

2015-03-25 17:20:49
cwt @clear_wt

10) 注意するべき点は,0.54mSv/年の値は<同型ガラスバッジを用いた差動計測にのみ有効な値>であること.このガラスバッジの特性も含めて決まる値なので,特性の異なる測定器の値とは(厳密な評価/試算時には)単純に比べたり差をとったりできる値ではない.

2015-03-25 17:22:12
cwt @clear_wt

11) 厳密に言えば,このBG値は個人線量でも,空間線量でも,さらには実効線量でもない値. あくまで,<このガラスバッジでの測定値から引き去るBG値として適した値>にすぎない.

2015-03-25 17:22:38
cwt @clear_wt

12) この値に限らず,意味や限界,適用範囲を考えずに数字をいじってもおかしな結果を導き出しかねないことには注意(理解している人が,その限界や性質を分かった上で試算することは否定しない.しかし,その数字は独り歩きしないよう十分注意をはらうべきもの―線量計直置きの測定値の様に).

2015-03-25 17:23:32
cwt @clear_wt

13) 実際,千代田テクノルの方に質問を投げかけた時の回答は極めて慎重なもの.

2015-03-25 17:23:50
cwt @clear_wt

14) Q. 0.54mSv/年(=0.061μSv/h)はシンチレーション式サーベイメータ測定値に比べ大きいとするコメントがあるが,これはシンチ式線量計で感度の落ちる3MeV以上の領域にもガラスバッジはフラットな特性を持ち,宇宙線を良く拾うために大きく見えるという理解で良いか?

2015-03-25 17:25:17
cwt @clear_wt

15) A. 値についてはガラスバッジの蛍光量から求めております。サーベイメーターとの比較については一概に評価することは難しい面がございます。

2015-03-25 17:25:36
cwt @clear_wt

16) というわけで,私が教えていただいた内容から, <ガラスバッジのバックグラウンド値については,様々な点に十分配慮された実測値を根拠に用いており,誤差レベルを考慮しても問題の無いもの> と考えます.(以上)

2015-03-25 17:26:05

D-シャトルのバックグラウンドをどう設定するのが妥当かという問題については以下を参照

まとめ 個人線量計のバックグラウンド値をどう設定するか-D-シャトルを例に 個人線量計の一種,D-シャトルのバックグラウンド値にガラスバッジのバックグラウンド値0.54mSv/年を流用するのは問題ではないかという話に対する検討. ガラスバッジ測定の詳細な技術的検討は以下にまとめてあります.バックグラウンドについても最後の方にあります.http://togetter.com/li/778890 3850 pv 12 1 user 1

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