ガラスバッジによる個人の線量測定

ガラスバッジ(個人線量計の一種)を用いた個人の線量測定についての補遺. ・前半は個人線量計の示す値の意味を計測の基本まで遡って掘り下げたもの ・後半は低線量率でガラスバッジが使えるかどうか(低線量率相反則不軌) を扱っています. 続きを読む
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参考資料:

東京電力㈱福島第一原子力発電所事故に係る個人線量の特性に関する調査

  (独)放射線医学総合研究所, (独)日本原子力研究開発機構
    (PDF) http://fukushima.jaea.go.jp/initiatives/cat01/pdf99/report.pdf?1

「東京電力(株)福島第一原子力発電所事故に係る個人線量の特性に関する調査」の追加調査

-児童に対する個人線量の推計手法等に関する検討-の報告書

    (PDF) http://www.nirs.go.jp/information/event/report/2015/03_16/houkokusho5.pdf

RADIOISOTOPES 連載講座 「福島周辺における空間線量率の測定と評価」

  I 連載講座のねらいと概要
    (RADIOISOTOPES Vol. 63 (2014) No. 11 pp. 515-517)
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/radioisotopes/63/11/63_515/_article/-char/ja/

  II 放射線防護で用いられる線量の意味と特徴
    (RADIOISOTOPES Vol. 63 (2014) No. 11 pp. 519-530)
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/radioisotopes/63/11/63_519/_article/-char/ja/

  III 環境γ線の特徴と被ばく線量との関係
    (RADIOISOTOPES Vol. 63 (2014) No. 12 pp. 585-602)
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/radioisotopes/63/12/63_585/_article/-char/ja/

  IV 環境中における空間線量率測定の実際
    (RADIOISOTOPES Vol. 64 (2015) No. 4 p. 275-289)
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/radioisotopes/64/4/64_275/_article/-char/ja/

  V 福島周辺における空間線量率分布の特徴
    (RADIOISOTOPES Vol. 64 (2015) No. 9 p. 589-607)
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/radioisotopes/64/9/64_589/_article/-char/ja/

  VI. 個人の外部被ばく線量評価の現状と課題
    (RADIOISOTOPES Vol. 65 (2016) No. 2 p. 93-112 )
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/radioisotopes/65/2/65_650205/_article/-char/ja/

"VI. 個人の外部被ばく線量評価の現状と課題"のp.97に以下の様に記されています.

(引用開始)
新聞等で,「個人線量計の表示が周辺線量当量に比べて4割も低い」ことが取り上げられて問題となったことがあるが,これは誤解に基づくもので,環境中においては「周辺線量当量が実効線量に比べて4割も高い」ことを正しく認識することが必要である。
(引用終わり)

日本原子力学会 保健物理・環境科学部会 2014秋の大会

    http://www.aesj.or.jp/~hobkan/kikaku.htm
「コミュニケータにとって線量の単位「シーベルト」は混乱の一因か?」

  (1) シーベルトとは? 平山 英夫 (KEK)
    (ppt) http://t.co/aOf667PagR

  (2) 福島第一原発周辺の空間線量率分布と被ばく線量 斎藤 公明 (JAEA)
    (PDF) http://t.co/VnGxXY7hna

  (3) 個人線量計と個人被ばく線量評価の経験 大町 康 (放医研)
     (PDF) http://t.co/b5r0N9RHlX

主要な問題については以下で既に述べられていますので参照してください.

“放射線防護に用いられる線量概念”

http://ccdb5fs.kek.jp/tiff/2012/1227/1227044.pdf
(平山英夫 ほか,KEK Preprint 2012-44,January 2013)
(掲載誌:平山英夫 ほか "放射線防護に用いられる線量概念" 日本原子力学会誌, 55, pp.83-96, 2013 )

内容を紹介するドキュメント
「放射線計測についての少し詳しい(長い)解説」
https://goo.gl/wDCvkm

togetterまとめ
「実環境におけるガラスバッジや個人線量計による測定値の妥当性~サーベイメータとの比較」

まとめ 実環境におけるガラスバッジや個人線量計による測定値の妥当性~サーベイメータとの比較 “放射線防護に用いられる線量概念” http://ccdb5fs.kek.jp/tiff/2012/1227/1227044.pdf (平山英夫 他,KEK Preprint 2012-44,January 2013) に記された,<ガラスバッジや個人線量計の測定値の妥当性の検討結果>の注目ポイントに関するツイートをまとめました. (要点) (1) ガラスバッジや個人線量計は前方照射条件で1センチメートル個人線量当量(厳密にはICRUスラブ線量当量)Hp,slab(10,0°)にあわせて校正されている.これは<前方照射条件下では>被ばくの影響を見積もるための推定量である実効線量より高めの値を示す様に調整されている(安全を見込んだ少し高めの数値が表示される)ことを意味する. (2) しかし,現実環境では様.. 24882 pv 432 4 users 14


cwt @clear_wt

千代田テクノル 個人線量当量と周辺線量当量について 2015/1/28 週刊誌などで個人線量当量と周辺線量当量について誤解が見受けられますので、弊社見解について説明致します。 c-technol.co.jp/archives/1038

2015-01-30 10:26:18
cwt @clear_wt

←一般向けに説明を少し端折ってる部分はありますね…(結論はもちろん正しい).企業の出す見解としてはこのような形で正解なのですが. 詳しすぎても結論が伝わらなければ意味が無いので.

2015-01-30 11:26:42
cwt @clear_wt

放射線計測の文献を読んでいて,計測の観点からは以下の区別が明確でないか,違いを意識せずに書かれているものが結構あるのはずっと前から気になっている 1)個人線量当量の定義に従う量 1')個人線量当量測定器実現のために定義される量 2) 1')の定義に従い校正された測定機の出す値

2015-01-30 11:32:35
cwt @clear_wt

この話に限らず,計測/測定や校正の世界では 1)ある量の定義に従う量 1')ある量を測るための測定器実現のために定義される量 2) 1')の定義に従い校正された測定器の出す値 はそれぞれ別物として扱う.

2015-01-30 11:40:29
cwt @clear_wt

1)=1')の場合もあるけれど. 1')と2)は校正場と実際に測定器を使用する場が近似あるいは外挿できる関係にある場合はさほど意識しなくて良いが(できるだけそのように規格や校正条件を決める),場合によってはかなり乖離がでてくる.今回の場合にはそれがかなり違ってしまった典型例.

2015-01-30 11:43:53
cwt @clear_wt

では,実際にはどうするの,という話になると,原理的に現実に使える数字は2)しかありえないわけで,2)を1)の定義に従う量と<みなす>として運用するしかないし,実際にそうなっている.

2015-01-30 11:46:59
cwt @clear_wt

今回の1cm個人線量当量について言うともう少し複雑で,その大元に<実効線量を評価する>という大目標があるわけで(1cm個人線量当量も1cm周辺線量当量は実効線量を推測するための代用量にすぎない),現実には2)で運用しつつ,実効線量評価として問題が無いか確認するのが重要.

2015-01-30 11:52:50
cwt @clear_wt

実際,定義上の安全マージン分が奏功して,問題なさそうという内容の文献と実測結果がでてきたので今のところシステムの変更には至っていない. 万一これが2')が実効線量を下回っていれば早急に運用方法を変更をするべき(例えば一定の補正係数をかける)だけど,幸いそうなっていない.

2015-01-30 11:57:54
cwt @clear_wt

リスクに関する不確定性があるのは間違いないだろうし,社会の判断がそうでなるなら安全側にかなりの余裕をもって評価するということも必要になる場合もある.しかし,それは計測値をいじるのではなく(現行の計測の体系を壊してしまうのでは無く)それ以後の値の評価の部分でなすべき.

2015-01-30 12:03:52
cwt @clear_wt

計測の部分(測定量の定義等)に取るべき安全マージンー今回の場合は1cm個人線量当量の定義,ならびにその校正方法ーは,測定部分で生じる不確実性に対応する分だけというのが計測の基本的な考え. <計測>と<測定値の評価部分>はそれぞれ別に検証すべきで,両者を混ぜて考えてはいけない.

2015-01-30 12:07:37

cwt @clear_wt

1)ガラスバッジ(個人線量計)での線量測定の補遺の補遺 先に togetter.com/li/778890 で書いた様に,いかなる測定であれ,真の値は知ることはできない.

2015-02-27 18:53:35
cwt @clear_wt

2) これはどのような分野であれ計測を専門に検討する上での常識 (但し,学部の計測の教科書レベルでは書かれていないさらにその先の話)

2015-02-27 18:55:29
cwt @clear_wt

3) いかなる測定でも,と述べたように,個人線量計での測定に限らず,サーベイメータによる1cm周辺線量当量の測定でも同様に<真の値はわからない>.だから測定の目的に合わせて校正規格を決め,それに沿って校正された測定器の示す値をその値としてみなす運用がなされる.

2015-02-27 18:55:53
cwt @clear_wt

4) 現在の計測の体系では<1cm個人線量計の規格で校正された測定器の示す値>を<1cm個人線量とみなす>. 1cm個人線量当量は実用量として測れる値と考えられているが,真の1cm個人線量当量というのも厳密には概念上の存在にすぎない.

2015-02-27 18:56:47
cwt @clear_wt

5) そういう意味では,<実効線量>も,<1cm個人線量当量の真の値>も本質的には同じ.

2015-02-27 18:57:11
cwt @clear_wt

6) では何が違うかというと,1cm個人線量当量はさまざまな環境,すなわち,入射の状態(照射ジオメトリやエネルギー分布)が不明の状態で使われる前提で(裏を突くような極端な場合を除いた通常の使用状態で)安全側となるように決められている.

2015-02-27 18:58:06
cwt @clear_wt

7) 計測規格の安全マージンは,<計測の場面で>状況が変わる事を想定して妥当な範囲で付けられている.その範囲内に収まる分には問題が無いというのが基本的な考え方.本来の値が<ほぼ確定できる状態で>,さらに<測定値に>安全マージンを乗せるのは計測の基本に反している.

2015-02-27 18:59:06
cwt @clear_wt

8) 但し,これは測定値や,測定/校正規格に限定しての言及で,別途,その値を用いた判断基準の部分で安全マージンを取る考え方は否定していないし,それは当然あっても良い.そもそも,基準値というのは基本的に十分な安全マージンが入っている(ギリギリには設定されていない).

2015-02-27 19:00:22
cwt @clear_wt

9) もし仮に,ROTなり,ISOなり,より実環境に近い照射条件なりを想定して,それに合わせた校正をするならば,数値を合わせこむべき対象はそれぞれROTの実効線量,ISOの実効線量…になるにすぎない.

2015-02-27 19:00:54
cwt @clear_wt

10) <条件が不明だから>一番影響が大きい想定のAP条件をもとにしている(実際にはHp(10),H*(10)の空気カーマからの換算率はAPの実効線量よりもさらに高い値になっている). 逆に言えば,照射条件が決まれば条件が固定でき,とるべき安全マージンはその分少なくなる.

2015-02-27 19:02:06
cwt @clear_wt

11) <ROT条件で使うという前提で>ROT条件で照射を行うなら<ROTの実効線量>が判明しているわけで,その照射結果を(APを前提とし,その上に安全マージンをとった)現在のHp(10)の換算率に合わせて値付けするというのはおかしい.

2015-02-27 19:04:27
cwt @clear_wt

12) もし照射条件がほぼ判明しているので<ROT条件で使うという前提で><ROT条件の実効線量にあわせて校正>(このような規格は存在しませんが)をしたなら,実質的には現行の校正規格に合わせた個人線量計をROT環境で使うのとほぼ変わらないというのが平山氏らの論文の示すところ.

2015-02-27 19:05:07
cwt @clear_wt

13) このような校正規格の変更をすれば実効線量を多少正確に把握できる可能性はあるものの,値はほぼ変わらず,得られるメリットに対するデメリットが大きすぎる. (それより他の誤差要因の方がはるかに大きいので,実質的なメリットは皆無に近い)

2015-02-27 19:06:13
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