〈御手洗シリーズ〉のすべて

ねむるさかな(芹香)氏による、島田荘司作『御手洗潔』もの全作レビュー。異版における異同も丁寧に追い、公式のコミカライズ・同人アンソロジーなどもカバーしておられます。
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芹香(ねむるさかな) @aquamensis

ここからシリーズは第3期に入ります。ノベルスの装幀が北見隆さんになり、とてもノーブルな印象に。 御手洗さんは1994年以降渡欧し、2015年に至るまで1度も帰国していません。 「さらば遠い輝き」にて、石岡さんに代わって主な記述者となるハインリッヒ・シュタインオルト初登場。

2015-02-13 14:01:29
さちみりほ@夢やしき舞台配信&DVD @sachimiriho

有難うございます♡ “@aquamensis: 御手洗シリーズ番外『石岡和己の事件簿』(1)(2)公式アンソロジーにも参加しているさちみりほによる書き下ろし。「里美上京」はここが初出。 私はこのシリーズの里美ちゃんが大変好きです。 pic.twitter.com/EsVNJEj0WE

2015-02-13 14:35:06
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芹香(ねむるさかな) @aquamensis

〈御手洗シリーズ〉をざっくりと分けたとき、1期を勢いと革新、2期を驚きと安定と表現するならば、3期は変化と混沌のタームだと云えます。 単なる「推理装置」に過ぎないはずの探偵に対してすら、その「過去」を引き寄せずにいられない、というシリーズの長期化の持つジレンマをどう克服していくか

2015-02-13 14:51:14
芹香(ねむるさかな) @aquamensis

を見守るのが3期以降の醍醐味、とも云えるんではなかろうかと思っています(ここまで来ると、残っているのは「最後まで付き合うぜ!」な層ばかりな気がする……)。

2015-02-13 14:52:26
芹香(ねむるさかな) @aquamensis

〈御手洗シリーズ紹介〉(11)『Pの密室』。御手洗潔の幼年時代と少年時代を描いたお話2作。単行本とノベルスの装幀が共通して北見さんなのはこの作品だけですね。大変大変勿体ない……と思うくらい、個人的には5本の指に入るベストデザインです。 pic.twitter.com/t2RXo1bWvB

2015-02-13 15:01:48
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芹香(ねむるさかな) @aquamensis

〈御手洗シリーズ紹介〉(12)『最後のディナー』。「里美上京」「大根奇聞」「最後のディナー」を収録。いずれも石岡・里美コンビによる進行で、御手洗は謎解きのみ電話で参加or未登場となる。番外と云えば番外編かな。 pic.twitter.com/oPzFXhJMDP

2015-02-19 12:21:04
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芹香(ねむるさかな) @aquamensis

御手洗さんがいなくなったあとの石岡さんの落ち込みっぷりが半端ではないので、シリーズを一気に読むとそのギャップに驚くかもしれません。因みに基本的にノベルスは本文2段組みが基本ですが、おそらく分量の関係でこのノベルスのみ1段組みとなっており、開くと不思議な感じがします。

2015-02-19 12:25:54
芹香(ねむるさかな) @aquamensis

〈御手洗シリーズ〉紹介(13)『ハリウッド・サーティフィケイド』。『アトポス』に続く、松崎レオナが主人公を務める長編2作目。御手洗は電話のみでの登場。『エンゼル・フライト』というタイトルで続編が予定されていたが、未刊行に終わっている。 pic.twitter.com/NaYod01LBJ

2015-02-19 12:32:22
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芹香(ねむるさかな) @aquamensis

フィティ? ティフィ……? とタイトルをいつも間違ってしまう。 こちらは角川書店からの発行なのでノベルス版はありません。

2015-02-19 12:36:12
芹香(ねむるさかな) @aquamensis

〈御手洗シリーズ〉紹介(14)『セント・ニコラスの、ダイヤモンドの靴』。シリーズ最長タイトル。表題作と、書き下ろし後日譚「シアルヴィ館のクリスマス」の合本。久々に馬車道時代のコンビものになります。御手洗さんは小さな女の子には優しい。 pic.twitter.com/xlHIdaCFwM

2015-02-19 12:41:58
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芹香(ねむるさかな) @aquamensis

書き下ろし短編では『ハリウッド…』に共通して「ケルト神話」が語られ、当時の作者の興味が垣間見えます。 ちなみに、A5変形の透明カヴァーでカラー写真多数、という親本の豪華な仕立ては『最後のディナー』とお揃い。並べるとかわいい。 pic.twitter.com/fHhv7ovY96

2015-02-19 12:46:37
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芹香(ねむるさかな) @aquamensis

〈御手洗シリーズ〉には「クリスマスもの」が意外と多く、『セント・ニコラスの、ダイヤモンドの靴』は親本が12月24日、親書が12月5日、文庫が12月25日と発売日まで徹底してクリスマス! である(文庫に関しては、角川文庫は毎月25日の発売なのでたまたまですが)。

2015-02-19 12:48:39
芹香(ねむるさかな) @aquamensis

〈御手洗シリーズ〉紹介(15)『ロシア幽霊軍艦事件』。ロマノフ朝の皇女アナスタシアをめぐる歴史解釈ミステリ。93年秋、数ヶ月後に渡欧を控えた、御手洗潔・馬車道時代最後期の1作。 pic.twitter.com/DsuMuNYI6b

2015-02-19 13:07:42
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芹香(ねむるさかな) @aquamensis

因みにこの作品、「季刊島田荘司02」(初出、原書房)→単行本(原書房)→新書(講談社)→文庫(角川書店)→新潮社文庫nex……と様々な出版社から出ているものとしてはシリーズ随一を誇ります。

2015-02-19 13:09:18
芹香(ねむるさかな) @aquamensis

〈御手洗シリーズ〉紹介(16)『魔神の遊戯』。ネス湖を臨むスコットランドの寒村で起こった猟奇的連続殺人事件。所要で訪れていたミタライ教授はどう解決するのか? キヨシ・ミタライものとしては初めての長編。語り手はバーニー・マクファーレン。 pic.twitter.com/1EmQCkEG2y

2015-02-19 13:35:45
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芹香(ねむるさかな) @aquamensis

いろいろ説明するとネタばれになってしまうためもどかしいな。個人的には、2000年代の長編としては1,2位を誇る仕上がり。 文藝春秋80周年記念「本格ミステリ・マスターズ」シリーズの第1配本。シリーズの統一表紙デザインは、京極夏彦 with Fiscoによる。

2015-02-19 13:38:58
芹香(ねむるさかな) @aquamensis

〈御手洗シリーズ〉紹介(17)『上高地の切り裂きジャック』。石岡・里美によるコンビ進行、謎解きは電話御手洗(端的)による表題作と、馬車道時代の「山の手の幽霊」の合本。お話の出来としては、「山の手」の方が上かな……。 pic.twitter.com/P9pJxtSKan

2015-02-19 13:44:19
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芹香(ねむるさかな) @aquamensis

親本カヴァーの中心にうっすら線が濃く見えているのは、カヴァーに切れ目が入って本体部分が透けているため。こちらも原書房→講談社ノベルス→文春文庫とあちこち移動してますね。

2015-02-19 13:46:08
芹香(ねむるさかな) @aquamensis

どのタイミングで紹介しようかなと思ってましたが、「切り裂き」繋がりで1988年に切り裂きジャック事件100年記念(?)で発表された『切り裂きジャック・百年の孤独』。100年を経てロンドンに蘇る連続猟奇殺人の犯人は……? シリーズ番外。 pic.twitter.com/OAaABNMvMw

2015-02-19 13:57:35
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芹香(ねむるさかな) @aquamensis

因みに文春文庫版は2冊お揃いのデザインになっています。 pic.twitter.com/cXqriwrb7W

2015-02-19 13:58:08
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芹香(ねむるさかな) @aquamensis

〈御手洗シリーズ〉第3期は、どうにも補助線を引きにくいラインナップ。現在と過去、行ったり来たりだし、その「時期」によって御手洗さんの性格も変化するし、むしろここから読み始めて初期作を読むとどんな感想を持つのか大変興味深い。

2015-02-19 19:15:47
芹香(ねむるさかな) @aquamensis

〈御手洗シリーズ〉紹介(18)『ネジ式ザゼツキー』。「ある時期」のみ記憶を失った男と、彼の語る、童話のような物語を巡るプロフェッサー・ミタライの洞察。語り手はハインリッヒ。『異邦』以降しばしば書かれる記憶喪失をテーマにした1作。 pic.twitter.com/wv86LKM0XE

2015-02-19 19:25:33
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芹香(ねむるさかな) @aquamensis

親本が新書という珍しい形態で、背表紙にも「講談社ノベルス初の書き下ろし!」と入っているのですが、講談社ノベルスでのノベルス書き下ろしは『斜め屋敷』です。担当さんだからって全作チェックしている訳じゃないのは判ってるけど自社の作品なのに……、と当時ちょっとがっかりした1冊(笑)。

2015-02-19 19:30:23
芹香(ねむるさかな) @aquamensis

〈御手洗シリーズ〉紹介(19)『龍臥亭幻想』。『龍臥亭事件』の続編であり、〈吉敷シリーズ〉との明確なクロスオーバ作品でもある。ノベルス、文庫ともに帯で大々的に「御手洗と吉敷」と謳っているが、対面は叶わず、石岡さんが久々に頑張ります。 pic.twitter.com/88i8eJr7xv

2015-02-19 19:44:08
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芹香(ねむるさかな) @aquamensis

ノベルスは、当時流行っていた「帯なの? カバーなの?」な帯。今作は、発表年よりも一部作中で未来を描いている、という少し変わった設定を持つ。 元々「1冊」として書かれていたが、『龍臥亭事件』に合わせるべく、刊行時に上下別巻となった。

2015-02-19 19:47:54