"不知火に落ち度はない"×"青葉の取材手帳"『未だ柔らかなその想い』

水凪月(@minagiduki)さんの書いてくださった落ちぬい二次です。 トラック諸島で艦隊指揮を行っている少女提督のお話。 戦闘訓練依頼を受けた駄提督はそこで……? どうぞお楽しみくださいませ。 続きを読む
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水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

当日。 書類の山を片付けた俺は、煙草分補給という名目で演習用の空き地に来ていた。 久々に自販機でコーンスープを買って、ふと思いつきもう一つ買う。 21 #落ちぬい二次

2015-02-07 22:29:39
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「よう」 「提督、こんにちは」 予想大当たり。浜風がそこにいた。 コーンスープを投げてやると、慣れたもので難なくキャッチする。 やや雪の残る中、ベンチに二人で座る。 22 #落ちぬい二次

2015-02-07 22:30:17
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「今日はお客さんが来られると聞いていたんですけど」 「客なんかじゃねえよ」 正直今すぐにでも追い返したい。 あー、誰か変わってくんねーかなー。 23 #落ちぬい二次

2015-02-07 22:30:51
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

浜風がマッチに火を灯し、俺の煙草に火を付ける。 肺いっぱいに煙を吸い込み、この気分を払拭しようと試みる。 結果的には、成功とは言えなかったが。 24 #落ちぬい二次

2015-02-07 22:31:24
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「後でちょっと見に行きますね」 え、マジで? 綾崎の秘蔵っ子だっつーからあえてきつめに当たろうと思ってたんだけど。 ポケットからメモを取り出す。 25 #落ちぬい二次

2015-02-07 22:31:56
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

この数日間で北上が集めた虹羽水月の情報。 大して情報管理などをしているわけではなく、あっという間に必要な情報は集まった。 26 #落ちぬい二次

2015-02-07 22:32:39
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

ホームレスとして行き倒れていた彼女を、綾崎の野郎が保護した。 でしばらく一緒に暮らしていたがあいつが病に倒れ、死の間際に働き口として軍を紹介したと言うことらしい。 「あの野郎ボートに乗ってねぇ時は紳士のツラしてたもんな…」 煙を溜息と共に排出する。 27 #落ちぬい二次

2015-02-07 22:33:17
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

その直後、携帯が震える。 北上からの、「門の所に虹羽水月御一行が来ている」というメールだ。 守衛に通せと、北上には到着次第道場に案内するようにと連絡した上で、残りの煙草を味わう。 28 #落ちぬい二次

2015-02-07 22:34:42
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「行かなくていいんですか?」 浜風が指摘してくる。 「せめてこれくらいは吸わせろ一本目だぞ?」 そういうと、浜風は小さく吹き出す。 29 #落ちぬい二次

2015-02-07 22:35:24
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「来客時ぐらいはちゃんとしてくださいね?」 だから客じゃねーっての。 やや急ぎ気味に残りの煙草をふかすと、いつも通りコーンスープの缶に捨てる。 そしてゴミ箱に投げ込むと、道場へ向かって歩き始めた。 30 #落ちぬい二次

2015-02-07 22:36:13
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

着いたときには、既に北上が入り口に寄りかかって待っていた。 「兵頭っち遅ーい」 「すまん」 ここは大人しく謝っておく。 「もう準備してるから、兵頭っちも早く準備した方がいいよー」 31 #落ちぬい二次

2015-02-07 22:37:29
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

道場に入ると、中にいた4人の女性がこちらを向く。 「初めまして、虹羽水月と申します」 そう言って敬礼をする白髪の少女。 「どうも、兵頭一也です」 敬礼を返し自己紹介。 32 #落ちぬい二次

2015-02-07 22:38:23
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

後ろの3人を見る。 虹羽の側にいるのは秘書官、青葉だ。 いつも通りの制服に身を包み、自身の上官と共に敬礼をしている。 33 #落ちぬい二次

2015-02-07 22:39:26
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

一番後ろで座り込んでいるのは恐らく隼鷹か。 酒を完全に抜いたら髪の癖が取れるというのは聞くが、別人と見まごうばかりのストレートである。 流石にいつもの服では運転などやり辛いのか、色合いこそいつも通りだがややカジュアルな洋服を着ている。 34 #落ちぬい二次

2015-02-07 22:40:36
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

少し離れた位置で柔軟を行っているのは艦娘ではない。 とすると… 35 #落ちぬい二次

2015-02-07 22:41:30
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「あの子は夕月悠、うちのスタッフです。今日は一緒に訓練を受けたいとのことで」 そう言えば北上の集めた情報に乗っていた。 上には秘密で民間人を一人雇い入れたとか。 虹羽と比べると彼女の方が戦闘には向いている様に見える。 36 #落ちぬい二次

2015-02-07 22:42:51
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「それでは本日一日、よろしくお願いします。」 深々と礼をする二人。 こちらも会釈を返し、防具を付けに更衣室に入る。 一応袴も着けなきゃなんねーしな。 おっさんのパンツなんて見るもんじゃなし。 37 #落ちぬい二次

2015-02-07 22:43:38
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

着替えを終えて戻る。 二人もそれなりの装備に着替えた…かと思いきや、肘と膝にサポーターを付けただけという これから戦闘訓練するとは思えない軽装備。 38 #落ちぬい二次

2015-02-07 22:44:42
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「防具、貸しましょうか?」 流石に気になるので聞く。 女子更衣室になら少々大きいサイズだが合いそうな防具があるはずだ。 39 #落ちぬい二次

2015-02-07 22:45:17
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「実際の戦闘時に防具なんてありませんから、これでいいんです」 と言って首を振る虹羽。 「じゃあ真剣にすっか」 「まだ死にたくないので…」 おっと背中に北上からの冷ややかな視線を感じる。 40 #落ちぬい二次

2015-02-07 22:46:13
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「んじゃ、始めますか」 竹刀を持って虹羽と対峙する。 虹羽は足を肩幅より広めに開き、やや腰を落とす。 両手には60センチ程度とやや短めに作られた木刀が一本ずつ。 右手は逆手、左手は順手という変則的な持ち方だ。 41 #落ちぬい二次

2015-02-07 22:47:04
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

互いに動くことはなく、相手が動くのを待っている。 恐らく虹羽は自ら動けば高確率で不利な状態になると読んでいる。 実際にそれは事実であるが、こちらも先に動いてやる気はない。 42 #落ちぬい二次

2015-02-07 22:48:04
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「ぶえっくしょーいっ!!!!!」 隼鷹が盛大におっさんのようなくしゃみをした。 44 #落ちぬい二次

2015-02-07 22:49:12
水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

虹羽の意識が取られた隙を見て、正面から竹刀を振り下ろす。 あえて遅めに動いたので、受けるなりかわすなりはかろうじて可能だ。 案の定右手の木刀で受け、そのまま流すように滑らせて避ける。 しかし木刀から離れたところで軌道を変え、そのまま横腹を狙う。 45 #落ちぬい二次

2015-02-07 22:50:38
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