ニンジャスレイヤー二次創作【ラン・コワード・ラン】#8

(これまでのあらすじ:ザイバツ・シャドーギルドのアッパーガイオン警護隊に所属するニンジャ、リフレックスは、サラマンダーの訃報と、彼の汚名を雪ぐために彼の配下がセプクを決めたことを知る。彼はかつてのセンパイ、ミノタウルとフューズフィンガーのカイシャクを引き受けることとなった……)
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鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

翌日。リフレックスが目を覚ましたのは昼過ぎだった。彼は慌てて飛び起きようとして……現在が休暇であることを思い出し、深呼吸する。のろのろと着替え、個室から出てリビングへと向かう。「あ」驚いたような声が響く。イルネスだ。「オ……オハヨウゴザイマス」21 #4215tk

2015-02-09 19:50:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「……オハヨ」一人でリビングにいたイルネスを見て、リフレックスは怪訝な顔でアイサツを返した。「ベルとディプレッション=サンは?」「アー……レンタル・ドージョーに」「そうか。元気だな」「体を動かさないとやってられないと」「ベルがか」「ハイ」22 #4215tk

2015-02-09 19:55:04
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

会話が途切れ、奇妙な沈黙がリビングを満たす。どうしたものか。リフレックスは立ち尽くした。「あ、あのっ!」「おおっ!?」唐突に声を上げ、立ち上がったイルネスに彼は驚愕する。彼女は困ったように手振りを交え、こう言った。「朝食……作りますから」23 #4215tk

2015-02-09 20:00:04
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「そう……か」リフレックスはイルネスを見上げ、ぼんやりと答えた。「……じゃあ、頼む。手伝うか?」「いえ、ダイジョブです。その……アー……リフレックス=サンは、ゆっくりしててください」イルネスはそそくさとキッチンに向かっていった。ややあって彼は椅子を引き、座る。24 #4215tk

2015-02-09 20:05:11
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

……トースト。目玉焼き。サラダ。コーヒー。手際よく並べられる朝食に、リフレックスは目を見張った。「悪いな、イルネス=サン」「いえ」イルネスはリフレックスの向かいに腰を下ろす。その手にはスシ・パック。「私もちょうど食べようとしてたとこなので」25 #4215tk

2015-02-09 20:10:09
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

そういえばもうそんな時間なのだった。リフレックスは思わず苦笑する。「アリガト、イルネス=サン。それじゃ、イタダキマス」「イタダキマス」二人は手を合わせた。リフレックスはトーストに手を伸ばしかけ、止める。不意にイルネスが気になったのだ。26 #4215tk

2015-02-09 20:15:05
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

当のイルネスは左手で自らのノレンメンポを僅かに捲り、タマゴ・スシを食べようとするところだった。艶かしい、真っ赤な唇が垣間見える。しかし彼女もリフレックスの視線に気づいたか、動きを止めた。「あの……何か?」「いや」お互いに困ったようなやりとり。27 #4215tk

2015-02-09 20:20:06
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

少し気まずいアトモスフィアが流れた。どうすべきか。いや、彼女もまた仲間だ。隠し事はするまい!一瞬で状況判断したリフレックスが切り込む!「その、だな。イルネス=サン、食事の時くらいはそのメンポ、外したらどうだ」「え」イルネスは呆気にとられたようだった。28 #4215tk

2015-02-09 20:25:08
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

リフレックスの言葉は本心からのものであり、またタテマエでもある。彼はふと気づいてしまったのだ。このアプレンディスの素顔を一度も見たことがないという事実に!「……嫌なら無理強いはしないが」「ア……いえ!ダイジョブです、ハイ」イルネスは慌ててメンポに手をやった。29 #4215tk

2015-02-09 20:28:08
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

リフレックスが密かに注目する中、イルネスは存外あっさりとメンポを外す。やはりオシロイが塗られたかのように真っ白な肌。目の下に隈取り。死人めいてはいるものの、端正な顔立ちであった。「これでいいですか」彼女は小首を傾げる。リフレックスはこくこくと頷いた。30 #4215tk

2015-02-09 20:31:14
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

イルネスはほっとしたようにスシを口に運ぶ。リフレックスはコーヒーを啜った。(((あんな顔してるんだな、イルネス=サン)))眼前の女ニンジャを見て思う。(((なかなか美人じゃないか)))「あの、リフレックス=サン」「アイエッ!?ゴホッゴホッ!」31 #4215tk

2015-02-09 20:34:11
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

その思考を読まれたかの如きタイミングで話しかけられリフレックスが蒸せる!「ス、スミマセン!」「ゴホッ!いや、いい!ちょっと見惚れてただけだ」イルネスが硬直する。リフレックスは思わず己の口に手を当てた。「いや、違う……いや、違わない!アー、そういう意味では」32 #4215tk

2015-02-09 20:37:13
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

慌てて弁解を始めるリフレックス。イルネスが小さく吹き出した。「ウフフ……リフレックス=サンはお世辞が上手です」「いや、世辞じゃなくてだな……アー!」彼は訂正を加えようとし、唸る。「違う!つまり、お前は美人だが、さっきの俺の言葉に猥褻はないんだ。いいな?」33 #4215tk

2015-02-09 20:40:09
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「ハイ」微笑みながら頷くイルネス。リフレックスは頭を掻いた。どうも調子が狂っている。話題を変えよう。「ところでイルネス=サン。その肌は……化粧なのか」「これですか」頬に手を当てたイルネスが眼を細める。「いえ。ニンジャになってからですね」34 #4215tk

2015-02-09 20:45:03
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「そうなのか」リフレックスは目を丸くした。ソウル憑依の影響で身体に変化が起こるケースがあるという。イルネスの肌もその一環らしい。「じゃあ、その身長も」「いえ、これは生まれつきで」「……そうなのか」彼は目を丸くした。わからないものだ。35 #4215tk

2015-02-09 20:50:07
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「リフレックス=サンはなかったんですか?そういうの」「俺?俺はあれだ、ニンジャ第六感だよ。あとニンジャ反射神経だ。それだけだな」「羨ましいです」イルネスが息を吐く。「少なくとも、私のこれは目立って……しかもイクサに関係ないですから」36 #4215tk

2015-02-09 20:55:21
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

成る程、言われてみればその通りかもしれない。「俺はてっきり、その……ユーレイゴスってのか?それに合わせてるもんかと」「逆です。こっちに装束を合わせたんです」イルネスが答える。その目が不意に遠くを見据えた。「同期のアプレンディスのアドバイスで」37 #4215tk

2015-02-09 20:58:09
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

俄然興味の湧いてきたリフレックスは、居住まいを正す。「どんな奴だったんだ?その同期って」「どんな……」イルネスは言葉に詰まったようだった。「エート……スゴイ子でした。私と何もかもが正反対で。ランチハンド=サンにもいつも食ってかかってばかりで」38 #4215tk

2015-02-09 21:01:11
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

リフレックスは眉をひそめ……ややあってから頷いた。「そうか、イルネス=サンは元々ランチハンド=サンがメンターだったな」「ハイ。とにかく物怖じしないというか、なんというか……パンクスっていうんですかね、あれ」「パンクス」リフレックスは思わず呟いた。39 #4215tk

2015-02-09 21:04:04
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「パンクスってあれだろ?あのアンタイセイがどうこう言ってる連中」「ハイ」「……ザイバツで、それを」「ハイ」リフレックスは眉をひそめる。「平気なのか、それは?」「ダメでした」イルネスが深刻そうに首を振る。「彼女、今はネオサイタマにいるはずです」40 #4215tk

2015-02-09 21:07:06
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「ネオサイタマか」リフレックスは腕組みする。ニンジャスレイヤーがネオサイタマの逗留組に大打撃を与えたことは、記憶に新しい。「それは……心配だな」「ええ」イルネスが沈痛な様子で頷いた。彼の地でザイバツニンジャがどれだけ生き残っているのか。二人にはわからぬ。41 #4215tk

2015-02-09 21:10:20
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「まだ生きてるんじゃないかな」リフレックスはふとそう言った。イルネスは驚いたように彼を見つめる。「それは……勘ですか?」「そうだな。勘だ」彼は頷いてみせた。イルネスが顔をほころばせた。「なら安心です。きっとまた、会えますね」「ああ」42 #4215tk

2015-02-09 21:13:13
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

会話が途切れた。二人は食事を再開した。外の環境音だけが響く。「……昨日は、オツカレサマでした」唐突にイルネスが呟いた。リフレックスは、わずかに顔を上げて彼女を見る。「その……こういう言葉は相応しくないと思うんですけど」「……いい。気にしていない」43 #4215tk

2015-02-09 21:18:05
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

イルネスがじっとリフレックスを見つめる。その瞳には懸念の色が濃い。「……大丈夫、ですか」彼女の問いに、一瞬だけリフレックスは言葉を詰まらせた。彼は無理やり笑みを浮かべようとし、やめた。「少しはマシになったよ」代わりに、正直な心境を答えた。44 #4215tk

2015-02-09 21:23:21
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「まだ整理がつかないとこもあるさ。ミノタウル=サンとフューズフィンガー=サンは……いや、あの二人に限らず、サラマンダー=サンの元にいたニンジャが、ギルドに弓引くようなことをするわけがない。もちろん、サラマンダー=サン本人もそうだ。けど、その末路があれだ」45 #4215tk

2015-02-09 21:26:14
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