「ワン・ミニット・ビフォア・ザ・タヌキ」 #3

B・ボンド&P・モーゼズ作。ネオサイタマを舞台としたサイバーパンク・ニンジャ活劇「ニンジャスレイヤー」の私家翻訳物 詳細はこちら http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「うるせえな。解ったよ、なら、こうしようぜ」チョンマゲのニューロンが閃く「専務のお楽しみが終わって、あのオイラン屋形船が帰ってきたら、ここを出る直前に柵を締めて、動けないようにするんだ」。 「そんで……どうすんだよ? 再度ボディチェックか?」と首を傾げるサイバネ義手。

2010-12-10 00:51:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ファック&サヨナラさ」チョンマゲは事も無げに言い放つ「敷地内だし、死体を沈めりゃ足はつかん」。 「サエてるな。悪くない。でも……」サイバネが何か引っかかったような顔を作る「万が一バレたらどうすんだ?」。 「捕まる前に逃げりゃいい」「仕事は?」「湾岸警備があるだろ」「サエてるな」

2010-12-10 00:55:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

KABOOOOM。非常水路の奥から、オイラン船の爆発音が伝わってきた。「何だ?」「どうせプラント事故だろ?」 2人の傭兵が奥を申し訳程度に覗き込んだその時……チョンマゲが立っていた側の警備用足場の横に、腕を組んだ人影が不意に降ってきた。その人影は、薄緑色のニンジャ装束を着ていた。

2010-12-10 01:06:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ニンジャ?」と言い終わらないうちに、チョンマゲの胴体は斜め真っ二つに切断されていた。上半身だけがずるりと滑って、水路の中にダイブする。トミーガンの引き金を引く余裕すら無かった。だが、薄緑色のニンジャは腕を胸の前で組んだままである。ナムサン! 果たして、いかなるジツで殺したのか?

2010-12-10 01:13:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ニンジャ? ワッタファック?」事態が呑み込めないサイバネ義手だったが、腐っても元傭兵である。彼はニューロンに染み付いた殺人回路をフル回転させ、目の前のニンジャらしき敵を排除しにかかった。サイバー義手によって常人の10倍ほどにまで高まった腕力で、チギリキが振り下ろされる!

2010-12-10 01:15:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」薄緑色のニンジャは腕を組んだまま、掛け声だけを発した。腕は依然として胸の前で組んだままである。だが……おお、ナムアミダブツ! 何か鋭い刃物のようなものが一瞬だけ閃いたかと思うと、鋼鉄製のチギリキは真っ二つに切断され、さらに傭兵の首も切断されていたのだ!

2010-12-10 01:19:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「見たか、オレのバイオ・イアイドは無敵だぜ!」薄緑色のニンジャは、首を失ったサイバー義手傭兵の死体を水路に蹴り落としながら笑う。胸の前で組んだ腕の少し下で、何かがごそごそと蠢く。何とそれは、イアイ・カタナについた血を払って鞘に仕舞おうとする、彼の三本目と四本目の腕であった!

2010-12-10 01:22:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

インガオホー! 彼こそは四本の腕を持つ恐るべきバイオニンジャ、ノトーリアスであった。自尊心に満ちあふれる彼は、雑魚相手にその四本の腕を全て使うまでもないという意思表明を行ったのだ! 「馬鹿者! 静止を聞かなかったのか! ここがナムだったらお前は死んでいるぞ?」別な声が聞こえた。

2010-12-10 01:26:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「すまねえな大将! でもこっちのほうが話が早いだろ! なにしろ、オレのバイオ・イアイドは無敵だからな!」ノトーリアスが大きな声で言う。 「無駄口を叩くな」迷彩ニンジャ装束を纏ったフォレスト・サワタリが、ぴしゃりと言う。「行くぞノトーリアス。先に別な潜入者がいたようだ、都合が良い」

2010-12-10 01:30:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ワン・ミニット・ビフォア・ザ・タヌキ」 #3終わり。 #4へ続く

2010-12-10 01:31:40