通勤電車

PoKo @Poko8_m

【通勤電車327】忠義＊side 「はい」 返事して、少し離れたテーブル席に座る。 「あの…すんません。これから、店の混む時間なんで、そっちやなくて、カウンターのお席にしてもらえませんかね？」 すばるくんが、トンッと置いたお冷が入ったグラスの前に、渋々移動して座るあいつ。

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【通勤電車328】忠義＊side 「なぁ、元気やった？」 「はい、まぁ、それなりに元気にはしてましたよ」 「はい、お客さん生中」 「あ、ありがとうございます」 「とりあえず、俺…いろいろ聞きたいことがあるんやけど。まず、ホンマに横山くんと婚約解消したん？」 「…はい」

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【通勤電車329】忠義＊side 「じゃあ、何でその指環まだつけとんの？」 「それは…」 「意外と知らないところで、こいつモテるみたいやから、大倉のこと待つんやったら、男除けにつけとけって俺が言うたの」 「えっ？横山…くん？」 「すばる、俺…タンメンな」 「なんで？」

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【通勤電車330】侯隆＊side 「はいよ」 「ん？せやな。すばるから大倉が来るって聞いたから、来ただけやけど？」 もし、大倉が来んかったら、こいつ連れ帰るって決めて来たんやけど、居ったか… もし、居らんかったら、気持ちが変わるまで、今度は俺が待つつもりでおったけどなぁ…

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【通勤電車331】侯隆＊side 「横山くん…。ホンマにゴメン」 「は？謝る筋合いあらへんで？こいつを好きになったのは自分の勝手やし、最終的に選ぶのこいつなんやし」 そんなこと、言うたけど、謝られると、逆に俺の立場がなくなやろ。 pic.twitter.com/4YnxvwHZTC

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【通勤電車332】彼女＊side 私が居るのに存在と気持ち全部無視して、2人で話し続けられて、気まずいし、恥ずかしいし、ムカついてきて、いつもと同じ金額をカウンターの上に出す。 もう、この場から去りたい… そんな気持ちになっていて。 「お会計…」 「え？ちょっと待って」

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【通勤電車333】彼女＊side 「まだ、俺の話…。終わっとらんのやけど」 「だって、私の気持ち無視して、一方的に話してるんだもん。意味わからない帰る！」 「あの…お3人さん？とりあえず、営業妨害」 「す、みません」 「それから、注文したんやから、全部食うてから帰って」

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【通勤電車334】彼女＊side 「すばるくん、怒るとめっちゃ怖いから、吃驚したやろ？」 「悪いの私だし、別にそれは…」 「それから、お前の気持ちを無視したような感じになって、ゴメンな。ホンマに、あそこで会えるって思っとらんかったし、それに横山くんにも会うと思わんかったし」

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【通勤電車335】彼女＊side 「忠義くんって、テンパるとよく喋るよね？」 「バレとる？」 生ビール飲んで、ラーメン、餃子を食べて、店を出ようとしたらついて来た忠義くんと人、1人分の空いた距離を保ちながら、駅までの道を並んで歩く。 「なぁ、折角やし…1駅くらい歩かん？」

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【通勤電車336】彼女＊side 「…いいけど」 「さっきの話の続きもあるし、それに、今日…お前ヒールちゃうしさ。食後の運動。動かないから肥るんやで？」 もし偶然会って、ご飯食べて、終電乗れなくて、歩くってなってもいいように、あんまり、足に合わない靴を履くの辞めたんだよな。

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【通勤電車337】忠義＊side 「それからさぁ…指環の件はわかったゎ。せやけど、それ外してくれへんかな？お前が横山くんのって言う気がして嫌やねん。それから、話の続きなんやけどな？」 前は… 好きな人に嫌われたないって思って、今までは、そんなこと、よう言われへんかったけど。

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【通勤電車338】忠義＊side そう言って、彼女の指から指環を外して、手渡す。 「それからさ、何で返事くれへんかったん？確かに、あんなLINEを送ったんも、あかんとは思ったけど」 「…うん、どうしたらいいかわからなかったって言うのもあったんだけどね…。1番は、やっぱり…」

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【通勤電車339】彼女＊side 「待てないなって思って。忠義くん自分のやりたい仕事始めて。でも、そんなこと言ってても、いつになるかわからないし、忘れられたりしたらって、思ったから、自分から会いに行こうと思ったの。でも、忠義くんは待っててほしいのかなって思ったら、時間経ってて」

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【通勤電車340】彼女＊side 「忘れるわけないやろ？幼稚園の時のこと覚えてたり、すんねんで？第一、お前との思い出、幼稚園の時と今しかあらへんし。それに覚えてなかったら、大人になって、電車で会っても気づかんと思うで？」 気がつくと、1人分空いていた距離はもう無くなっていた。

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【通勤電車341】侯隆＊side 「なぁ、すばる」 「ん？どしたん？」 「俺のわざと、遅く出したやろ？あの2人先に店を出すために。麺伸びてた」 「順番があんねん。メニューに書いてあるやろ？商品によってって」 「あの2人、うまく行ったやろか？」 「行ったんとちゃうの？」

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【通勤電車342】侯隆＊side 「だったら、えぇなぁ…」 「大倉に腹いせとか、昔みたいにしたら、あかんで？机ん中におもちゃの蛇入れたり…」 「せぇへんゎ！」 「でも、かっこよかったで？」 「すばるから、言われると照れるゎ」 pic.twitter.com/DTIBjr2K8Y

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【通勤電車343】忠義＊side 並んで隣駅まで歩きながら、何なん？ 待たれへんって、こいつどんだけ俺のこと好きなんって自惚れてまう。 ニヤニヤが止まらない。 そんな笑う俺を見て… 「忠義くん、気持ち悪っ。嫌いになりそう」 「そんなこと言うても俺を好きなんやろ？なぁ？」

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【通勤電車344】忠義＊side 「どうだろ」 「そんなこと、言わんとさぁ」 そう言って、少し先を歩いてた彼女の手を捕まえる。 「でも、なんか変な感じだよね」 「ん？何が？」 「幼稚園の頃好きだった子を大人になってから、また好きになるなんてさ」 「そんだけ、俺が…」

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【通勤電車345】忠義＊side 「お前にとって魅力的やったってことやろ？」 「そうだね」 「そこは、素直に認めるんや？」 「だって、認めてあげないと」 そう言って彼女が笑った。 久々に笑った顔、見た気がすんな… 「あのさ、待ちたくないって言うたやんか。一緒に来る？」

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【通勤電車346】忠義＊side 「どこに？」 「その…さ…俺の出張先。帰ったら、海外出張やねん。しばらく帰ってこんし。また、いろいろ待たせることもあるやんか。その…一緒に居られへんしやなぁ…。ちょっと言うてみただけなんやけどさ」 pic.twitter.com/uf7JpNL7WK

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【通勤電車347】彼女＊side いきなりのことで吃驚する。 「待てないわけじゃないの。気持ちの問題。出張から帰って来るのとかは待てるよ…」 「でも…俺が出張先で出会った金髪のお姉さんとラブラブになっても、ええの？」 「それは…嫌。でも、機会あったら行ってみたいな。海外」

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【通勤電車348】彼女＊side 暫くして、忠義くんの海外転勤が決まって、私も着いて行くことになって、通勤電車だった電車は、ただの交通手段になった。 海外へ行く少し前、実家に帰省して都会に帰る電車の中。 電車で忠義くんに出会わなかったら、こんな風にはならなかったんだろうなぁ…

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【通勤電車349】彼女＊side そんなこと考えていたら、左肩が重たい。 「着いたら起こしてな？」 そう言って、寝息を立てはじめる忠義くんともうすぐ2人で海外生活。 私の退屈な生活から変えてくれる存在だったんだな。なんて改めて思う。 「ありがとう」 「ん？何か言うた？」

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【通勤電車350】彼女＊side 「重いって言ったの」 「このやりとり、久々やなぁ」 って肩にまた寄りかかられる。 「なぁ？俺の方こそありがと。これからも、よろしく頼むな」 もう、聞こえてたんじゃん。 「は、い」 いろいろあったけど…幸せになろうね。 おしまい♡