「クイックリー・アズ・アローズ、サイレントリー・アズ・イン・アンブッシュ」

Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

KBAM！KBAM！リカルドとアーロンが携帯していた小型トリモチランチャーをツ級に打ち込み、完全に動きを封じる。これで手足が再生しても、動くことは叶わないだろう。「さぁ」アーロンがトラック泊地の鎮守府施設を見上げた。「突入だ」 19

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トラック泊地施設内食堂。拘束された提督と艦娘は全員此処に集められていた。既に1日ほど、この状況が続いている。大胆な奇襲により通信私鉄を乗っ取られたと同時に、潜水艦群による包囲により港を封鎖され、瞬く間に彼らは上陸してきた深海棲艦の囚われてしまったのだ。 21

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「阿賀野姉ぇ、大丈夫かしら」「分からん」捕虜にされた能代と彼女の提督がぼそぼそと小声で話し合う。「無事に脱出してくれたことを祈るしかない」彼はこのトラック泊地の大将であり、他の泊地への救援を求める作戦を立案した男だ。平静を装っているが、額に流れる脂汗が彼の焦りを如実に示す。 22

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能代は周囲を見渡した。集められた提督と艦娘は食堂の中心部に座らされ、それを4隻のリ級が取り囲んでいる。そして、その外側にはル級が2隻。抵抗しても、射殺されるのが落ちだ。故に彼らは息を潜めて待っていた。命懸けで送り出した外への救援を。 23

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「痛ッ」不意に、虜囚の中から声が漏れた。リ級達が声を出した提督を見る。提督が一人、頭を押さえ呻いていた。その傍には筒状の何かが落ちていた。キゴーン！突如、音を立て筒が破裂し、辺りに煙が充満した！煙は瞬く間に食堂を覆い、深海棲艦から視界を奪う！ 24

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外周に控えたル級達は状況を判断しようとした、その時！「イヤーッ！」「イヤーッ！」カラテシャウトと共に、ル級達は突き飛ばされる！CRAAAAAASH！窓ガラスを突き破り、中庭に放り出されたル級達は下手人を睨む。「さぁて」蒼黒の鎧を纏うリカルドがヨロイ・カラテを構える。 25

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「2対2ってところですかい」ロダンが銃弾を装填し呟く。「体勢を低くせよ！イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」KBAM！KBAM！煙が充満する食堂からはマズルフラッシュとカラテシャウトが響く。ル級は食堂へ砲塔を向けようとした。「気にしてる場合か」リカルドが踏み込む！ 26

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「イヤーッ！」腰を落とし、繰り出されるはポン・パンチ！ル級はワイヤーアクションめいて吹き飛ぶ！もう1隻のル級はその動きを目で追ってしまう！「イヤーッ！」左腕に3発の徹甲榴弾が突き刺さり、即爆発！KABOOOOM！左腕ごと盾一体型16インチ三連装砲が吹き飛ぶ！ 27

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吹き飛ばされたル級は壁に激突！リカルドは己が吹き飛ばしたル級を追撃する！「イヤーッ！」勢いよく繰り出されたチョップがル級の首を痛烈に曲げる！「イヤーッ！」更にチョップ！「イヤーッ！」更にチョップ！「イイヤアアアーッ！」チョップ！ル級の頭部が吹き飛ぶ！ナムアミダブツ！ 28

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「イヤーッ！」KBAM！KBAM！リカルドはすかさずル級の四肢をトリモリ弾で拘束する！これでしばらくル級は無力化された！ゴウランガ！「リカさん！？」ロダンの声が響く。リカルドの後ろにはもう1隻のル級が迫る！残った右腕の盾一体型16インチ三連装砲の薙ぎ払いが迫る！アブナイ！ 29

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「イヤーッ！」リカルドは背後から迫る鉄塊を、眼前の壁を蹴り、斜め上空へと逃れる！そして、ル級の背後へと着地すると同時に、痛烈なる後ろ回し蹴りを放つ！「イヤーッ！」ル級は吹き飛ばされ、既に拘束されたル級に覆い被さる！トリモチが体に付着し、体の自由を奪われる！ 30

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「スゥー…」リカルドは呼吸を整える。拘束は不完全だ。ならば更なる追撃を叩きこみ、動きを封じるべし。「ハァー…」リカルドは、弓を引き絞る弓師めいて、左腕をまっすぐ突き出し、右腕を強く引く。一瞬、リカルドの体が、ぴったりと止まる。そして！「イヤーッ！」SMAAAAASH！ 31

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腰を捻って繰り出された右ストレートが、二つのル級の頭を、そしてその奥の壁を砕く！ゴウランガ！これぞヨロイ・カラテのヒサツ・ワザ、アロー・ポン・パンチだ！リカルドは素早く右腕を引き抜き、残心する。KBAM！KBAM！リカルドの背後からトリモチ弾が飛び、ル級をさらに拘束する。 32

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「終わったか」リカルドが振り向くと、小型トリモチランチャーを構えたアーロンがそこには居た。「ああ」リカルドは残心を解く。「そっちは？」「無論、全員無事だ」アーロンは食堂に視線を向ける。既に4隻のリ級はトリモチで雁字搦めに拘束され、桂とアッワリが人質を介抱していた。 33

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「ありがとう、ありがとう」譫言めいた感謝の声が聞こえる。「良かった、間に合った」ロダンはほっと胸を撫で下ろす。アーロンはどこかへと通信していた。恐らく、第2・第3小隊が通信施設を開放し、通信を回復させたのだろう。リカルドは、天を仰いだ。太陽はまだ、黒い瘴気で霞んでいた。 34

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「クイックリー・アズ・アローズ・サイレントリー・アズ・イン・アンブッシュ」終