"青葉の取材手帳"×"不知火に落ち度はない"『心底の傷を癒すのは』

水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「五人来ると言うことで準備お願いできますか？」 「畏まりました」 「じゃあお願いします。あと私に手伝えることが有れば」 「お嬢様はお気になさらずご自分の準備を」 20 #落ちぬい二次

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お嬢様…か。 やっぱりそう言われるのはちょっと違和感がある。 「じゃあ部屋にいるから、何かあったら呼んでね」 「畏まりました」 深々とお辞儀するメイドさん達にこちらもお辞儀を返して自室へと戻る。 21 #落ちぬい二次

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艦隊これくしょん二次創作 "青葉の取材手帳"×"不知火に落ち度はない" 『心底の傷を癒すのは』 #落ちぬい二次

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「お帰りなさい、司令官」 部屋に戻ると、青葉ちゃんがベッドの上に寝転がっていた。 手に持っている本は『十二国記』。 読書を晩年の趣味としていた御義父様が買って、私にくれた物だ。 御義父様が倒れてから、読むのをやめてしまったっけ。 22 #落ちぬい二次

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「青葉ちゃん行儀悪いよ？」 「別に私室ならいいじゃないですか」 「一応言っておくけどここ青葉ちゃんのじゃなくて私の部屋だからね？」 そう言うと起きあがり、ベッドの端にちょこんと座る。 23 #落ちぬい二次

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「この後お食事会でしたっけ？」 「ええ、折角だし御義父様の事も話したいからって兵頭さんも誘ってみた」 「大丈夫ですかねぇ。一応隆玄さん達と夏目艦隊仲悪かったんでしょう？」 「ちょっと心配ではあるけれど何とかなるでしょ」 「司令官も結構適当ですよね」 24 #落ちぬい二次

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「それはそうと、青葉ちゃんももうちょっといい服に着替えなきゃ」 法事の間はいつもの服だったが、栄一兄様は「派手じゃないなら着替えてもいいよ」と言っていた。 25 #落ちぬい二次

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「とは言え前にも言いましたが青葉、私服あまり持ってませんし」 「この前買ったのも向こうに置いてきちゃったもんねぇ」 その時、扉をノックする音がする。 26 #落ちぬい二次

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「水月ちゃん、いるかしらー？」 「あ、はい、今開けますー」 扉を開けると美恵姉様がやや大きめなケースを持って入ってきた。 27 #落ちぬい二次

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「美恵姉様、どうかしたんですか？」 「水月ちゃんがお友達を呼ぶって聞いたから。青葉ちゃんも着替えた方がいいでしょー？」 「そのケースってもしかして…」 「私が昔着てた服だからサイズは合うと思うわよ」 28 #落ちぬい二次

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美恵姉様が衣装ケースを開けると、丁度私たちが着れそうな服が何着か丁寧に折りたたまれていた。 白系が多いのは美恵姉様が白色が好きというのもあるだろうか。 29 #落ちぬい二次

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「ナイスタイミングです美恵姉様、丁度その話をしていたところで」 「あらー、じゃあ是非着て欲しいわねー」 クローゼットから鏡を取り出し、青葉ちゃんの前に置く。 30 #落ちぬい二次

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「着替えは確定ですか」 「そうね、ここまで来たら諦めましょ？」 そう言うと、青葉ちゃんは衣装ケースの服を合わせ始めた。 31 #落ちぬい二次

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一八二五。 着替えをすませた青葉ちゃんと私は、家の玄関に着ていた。 呼んだのは私だから出迎えはしないとと言う事で、数人のメイドさんとともに待っている。 私の司令部からは隼鷹さん、長門さん、悠も来ているのだけど、三人はゲストルームでのんびりしてるはず。 32 #落ちぬい二次

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隣でそわそわしてる青葉ちゃんは、水玉のワンピースを着ている。 裾の方は淡い青緑のグラデーションがかかっており、普段の制服よりとても可愛い。 33 #落ちぬい二次

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「やっぱりこれ変じゃないですか？」 「少なくとも私のワンピース着たときよりは似合ってるわよ」 以前私の私服であるワンピースを着て出掛けたことがある。 その時は完全に私服がなかったためなのだけれど。 34 #落ちぬい二次

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「司令官のワンピースも素敵だとは思いますが青葉にはやっぱり不釣り合いでした」 「まぁ青葉ちゃんはアクティブ派だからねえ」 私の服は淡い紫のワンピース。 御義父様が私に買ってくださったのを私が非常に気に入った結果、同じ物が何着も用意されている。 35 #落ちぬい二次

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「冬用のはいまいちでしたけど、それなら…いややっぱり微妙ですかね」 冬用はスカート部分が薄い生地を何枚も重ねているためふわふわなのだけれど、 今着ている夏用は普通のスカートタイプ。 「青葉ちゃんは赤系は合わないからねえ。やっぱり青か青緑なのかしら」 36 #落ちぬい二次

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そんなことを話していると、兵頭さんの車が入ってくるのが見えた。 「おや、来ましたね」 車は来客用の駐車場に入り、ドアの開く音。 四回の閉まる音の後鍵のかかる音がして、その後足音が近づく。 37 #落ちぬい二次

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「どうも、今日はお招きいただいてありがとうございます」 軍人らしく第一種夏服に身を包んで入ってきたのは兵頭さん。 「いつもの口調で大丈夫ですよ」 「んじゃそうさせて貰います」 38 #落ちぬい二次

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「こんにちは、今日はよろしくお願いします」 そしてその後ろには浜風さん。 黒と紺色の格好いいワンピースが凛々しく見える。 39 #落ちぬい二次

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「虹羽っちも青葉っちも久しぶりー。今日はよろしくー」 続いて北上さんも。 まだ着替えておらず、いつもの服に衣装ケースを持っている。 40 #落ちぬい二次

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「初めまして。ギンブチこと鷲塚紡(つむぐ)と言います」 銀色の髪にあだ名通りの銀縁の眼鏡。 御義父様と最もいがみ合っていたという鷲塚さん。 軍服も相まって確かに冷たい雰囲気をまとっている。 41 #落ちぬい二次

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そして最後の人が私の視界に入った時。 「…！」 私は意識が遠のく感じがした。 42 #落ちぬい二次

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